プラットフォームに戻ると、リリーとローズの弟のヒューゴが、晴れてホグワーツに行く日が来たらどの寮りょうに組分けされるかについてさかんに話し合っていた。
「グリフィンドールに入らなかったら、勘当かんどうするぞ」ロンが言った。「プレッシャーをかけるわけじゃないけどね」
「ロン」
リリーとヒューゴは笑ったが、アルバスとローズは真剣な顔をした。
「本気じゃないのよ」
ハーマイオニーとジニーが取り成したが、ロンはそんなことはとっくに忘れ、ハリーに目配せして、四、五十メートルほど離れたあたりを、そっと顎あごで示した。一いっ瞬しゅん蒸じょう気きが薄うすれて、移動する煙を背景にした三人の影がくっきりと浮かび上がっていた。
「あそこにいるやつを見てみろよ」
妻と息子を伴ったドラコ・マルフォイが、ボタンを喉元のどもとまできっちり留めた黒いコートを着て立っていた。額ひたいがやや禿はげ上がり、その分尖とがった顎が目立っている。その息子は、アルバスがハリーに似ていると同じくらい、ドラコに似ていた。
ドラコはハリー、ロン、ハーマイオニー、そしてジニーが自分を見つめていることに気づき、素っ気なく頭を下げ、すぐに顔を背そむけた。
「あれがスコーピウスって息子だな」ロンが声を低めて言った。「ロージィ、試験は全科目あいつに勝てよ。ありがたいことに、おまえは母さんの頭を受け継いでる」
「ロン、そんなこと言って」ハーマイオニーは半分厳きびしく、半分おもしろそうに言った。「学校に行く前から、反目はんもくさせちゃだめじゃないの」
「君の言うとおりだ、ごめん」
そう言いながらもロンは、我慢がまんできずにもう一言つけ加えた。
「だけど、ロージィ、あいつとあんまり親しくなるなよ。おまえが純血じゅんけつなんかと結婚したら、ウィーズリーおじいちゃんが、絶対許さないぞ」