たけのこのように|あく《ヽヽ》の強い野菜をゆでるときは、米ぬかを一つかみ入れて、水からゆでます。このほか、昔から|あく《ヽヽ》抜きには、米のとぎ汁、塩、酢、灰汁《あく》、椿《つばき》の葉なども使われてきました。
さて、|あく《ヽヽ》とはいったいなんでしょう?
ここでいう|あく《ヽヽ》はもちろん食品にふくまれる|あく《ヽヽ》ですが、一口に|あく《ヽヽ》といっても、渋味や|えぐ《ヽヽ》味、苦味などを与える物質の混合したものとみられます。一方、食品をよく煮たとき、表面に浮かび上がるものも|あく《ヽヽ》の名で呼ぶことがあり、食品に限ってみても、|あく《ヽヽ》ということば自体は、はなはだあいまいなものです。しかし、多くの場合、|あく《ヽヽ》の味が|えぐ《ヽヽ》味を呈するものを、|あく《ヽヽ》の代表としている——と、思われるフシがあります。
一般に|えぐ《ヽヽ》味は、なす・たけのこ・ごぼう・ふき・せり・わらび・里芋などに含まれていますが、食味がわるいので、たいがいはいちど|あく《ヽヽ》抜きをしてから食べるのを例としています。|あく《ヽヽ》は水に溶けやすいものが多いので、よくゆでたり水にさらすと、ゆで汁や水に溶け出してきますから、この操作を何回か繰り返すことによって、|えぐ《ヽヽ》味を少なくすることができます。
たけのこは藪《やぶ》から掘りたて、ごぼうは畑から抜きたてをすぐ調理すれば、さほど気になるほどの|あく《ヽヽ》味は感じられません。ところが時が経てば経つほど、目に見えて自然の生気は失われ、|あく《ヽヽ》味、|えぐ《ヽヽ》味が目立つようになります。ごぼうは特に|あく《ヽヽ》が強く、ちょっといじると手が染まり、|せん《ヽヽ》に切ったり、笹|がき《ヽヽ》にしたりして、水に浸《ひた》しておくと、水が茶色になってきます。
いわゆる「朝掘り」のごく新鮮なたけのこを手に入れることができれば、ゆでずにそのまま煮るほうが香りが高く、季節の風味を存分に味わえます。しかし、一般家庭で掘りたてを手に入れるのは困難ですので、やはり、ゆでてから料理しないといけません。
以下、簡単にゆで方のコツについて触れると、まず、たけのこは根のほうの厚い皮を三、四枚むき、根の部分を切り落とします。先端のほうは斜めに切り取り、さらに身まで切らないように皮の部分にタテに長く包丁目を入れます。次にたけのこをなべに入れ、たっぷりの水を入れて、ぬかを一つかみ加え、約四、五〇分ゆでます。根に近い部分に竹串を刺して、これが楽に剌されば、ゆで上がり。なべのまま冷まし、冷めてから皮をむき、水で軽く洗います。次の日までおくときは、水にとらずにゆで汁につけておきます。このように皮つきのままゆでると、|あく《ヽヽ》抜きがいっそうよくできます。また、たけのこの皮の中には還元性の亜硫酸塩といわれるものがかなりふくまれていて、これがたけのこの固い繊維をやわらかにするのに役立ちます。
米ぬかやとぎ汁は、単にたけのこの|あく《ヽヽ》抜きばかりでなく、白くゆで上げるのにも有効に働きます。つまり米やぬかにはいっているでんぷんの粒子が、たけのこの表面につき、水の中に溶け込んでいる酸素がたけのこに触れるのを防ぎ、たけのこが酸化されずに白く上がるのです。
筍に思いついたるごもく鮓 百華
さて、|あく《ヽヽ》とはいったいなんでしょう?
ここでいう|あく《ヽヽ》はもちろん食品にふくまれる|あく《ヽヽ》ですが、一口に|あく《ヽヽ》といっても、渋味や|えぐ《ヽヽ》味、苦味などを与える物質の混合したものとみられます。一方、食品をよく煮たとき、表面に浮かび上がるものも|あく《ヽヽ》の名で呼ぶことがあり、食品に限ってみても、|あく《ヽヽ》ということば自体は、はなはだあいまいなものです。しかし、多くの場合、|あく《ヽヽ》の味が|えぐ《ヽヽ》味を呈するものを、|あく《ヽヽ》の代表としている——と、思われるフシがあります。
一般に|えぐ《ヽヽ》味は、なす・たけのこ・ごぼう・ふき・せり・わらび・里芋などに含まれていますが、食味がわるいので、たいがいはいちど|あく《ヽヽ》抜きをしてから食べるのを例としています。|あく《ヽヽ》は水に溶けやすいものが多いので、よくゆでたり水にさらすと、ゆで汁や水に溶け出してきますから、この操作を何回か繰り返すことによって、|えぐ《ヽヽ》味を少なくすることができます。
たけのこは藪《やぶ》から掘りたて、ごぼうは畑から抜きたてをすぐ調理すれば、さほど気になるほどの|あく《ヽヽ》味は感じられません。ところが時が経てば経つほど、目に見えて自然の生気は失われ、|あく《ヽヽ》味、|えぐ《ヽヽ》味が目立つようになります。ごぼうは特に|あく《ヽヽ》が強く、ちょっといじると手が染まり、|せん《ヽヽ》に切ったり、笹|がき《ヽヽ》にしたりして、水に浸《ひた》しておくと、水が茶色になってきます。
いわゆる「朝掘り」のごく新鮮なたけのこを手に入れることができれば、ゆでずにそのまま煮るほうが香りが高く、季節の風味を存分に味わえます。しかし、一般家庭で掘りたてを手に入れるのは困難ですので、やはり、ゆでてから料理しないといけません。
以下、簡単にゆで方のコツについて触れると、まず、たけのこは根のほうの厚い皮を三、四枚むき、根の部分を切り落とします。先端のほうは斜めに切り取り、さらに身まで切らないように皮の部分にタテに長く包丁目を入れます。次にたけのこをなべに入れ、たっぷりの水を入れて、ぬかを一つかみ加え、約四、五〇分ゆでます。根に近い部分に竹串を刺して、これが楽に剌されば、ゆで上がり。なべのまま冷まし、冷めてから皮をむき、水で軽く洗います。次の日までおくときは、水にとらずにゆで汁につけておきます。このように皮つきのままゆでると、|あく《ヽヽ》抜きがいっそうよくできます。また、たけのこの皮の中には還元性の亜硫酸塩といわれるものがかなりふくまれていて、これがたけのこの固い繊維をやわらかにするのに役立ちます。
米ぬかやとぎ汁は、単にたけのこの|あく《ヽヽ》抜きばかりでなく、白くゆで上げるのにも有効に働きます。つまり米やぬかにはいっているでんぷんの粒子が、たけのこの表面につき、水の中に溶け込んでいる酸素がたけのこに触れるのを防ぎ、たけのこが酸化されずに白く上がるのです。
筍に思いついたるごもく鮓 百華