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八墓村-第四章 四番目の犠牲者(8)

时间: 2022-06-06    进入日语论坛
核心提示:抜け孔の冒険この記録に筆を染めてから私がいつも不便を感じるのは、これが一種の探偵譚だんであるにもかかわらず、探偵のがわか
(单词翻译:双击或拖选)

抜け孔の冒険

 

この記録に筆を染めてから私がいつも不便を感じるのは、これが一種の探偵譚だんであるにもかかわらず、探偵のがわから筆をすすめていくことができないということである。ふつう一般の探偵小説では、探偵のがわから筆をすすめていくことによって、どの程度に調査が進行し、探偵が何を発見したかということを、読者に示すことができるのだ。そして、それによって、犯人や解決を暗示することができるのだが、この記録の場合、記述者はいつも探偵のそばにいたわけではない。いや記述者が探偵のそばにいるのは、ごく例外の場合に限るのだから、記録のすすんでいく過程において、警察がどの程度に、何を発見したかということを、ありのままに示すことができないのがほんとうなのである。

しかし、それでは、なぞを解こうとする読者にとって不親切になるわけだから、たとえ、記述者がずうっとのちにいたって知った事実でも、必要と思えば、要所要所に記入していくことにする。

それともうひとつ、この記録がふつう一般の探偵譚とちがうところは、記述者がすでに起こった事件のあとを追うのみならず、おのれ自身の身の上や、またその身辺にむらがる疑問を追究していかねばならぬことだ。現にその晚私は、梅幸尼の怪死とはほとんど無関係と思われる、あの抜け孔の秘密をさぐって、ひとつの冒険に直面したのだ。

だが、そのことはいずれあとで話すとして、それよりまえに、その日のうちに警部や金田一耕助の発見した事実をごく簡単に述べておこう。まえにもいったとおり、これはずっとのちになって知ったことなのだが、ここで書いておいたほうが、読者に対して、親切であると思うからだ。

まず梅幸尼のところへとどけられたあの会席膳だが、あれが田治見家の勝手口を出たのは、洪禅さんの騒ぎがあってから間もなくのことであり、それを運んだのは山方の仁蔵という若者であった。

仁蔵の話によると、お島から梅幸尼のところへ会席膳をとどけるように命じられて、台所へ入っていくと、会席膳がただひとつ残っていた。そのとき、座敷のほうがなんとなく騒がしく思われたが、すでに振る舞い酒にくらい酔うていた仁蔵は、べつに深く気にもとめず、会席膳をもってフラフラと田治見の勝手口を出たのであるという。もしそのとき仁蔵が、座敷の騒ぎの意味を知っていたら、そのことを梅幸尼にも話したであろうし、梅幸尼もそれを聞けば、気味悪がって箸はしをつけなかったかもしれない。屋敷じゅうにあの騒ぎが知れわたったのは仁蔵が家を出た直後であったというから、犯人は実にきわどいところで目的をとげたわけであり、それだけにまた、梅幸尼には運がなかったのだ。

さて、犯人が会席膳に毒を投ずる機会だが、それはいくらでもあった。洪禅さんが血を吐いた瞬間、座敷の客人はわっと総立ちになり、なかには座敷から逃げ出したものすらあるということはまえにも述べた。また、だれもかれも洪禅さんの様子に気をとられていたのだから、そのあいだにこっそり、座敷からぬけ出そうと思えばいくらでもその機会はあった。しかもそのとき台所にいたお島や手伝いの女たちは、座敷の騒ぎをきくと、反対に台所をからっぽにして、座敷のほうへ駆けつけてきたのだから、ある期間、台所には問題の会席膳がただひとつ、ほっておかれたことになる。現に仁蔵が台所へ入ってきたときには、だれもそこにいなかったという。

これを要するに、洪禅さんが血を吐いてからしばらくのあいだは、座敷も台所もてんやわんやだったのだから、犯人の乗ずる機会はいくらでもあったわけだ。

さて、こうして理詰めに押しつめていったところで、これからただちに犯人がわかるわけのものではないが、ただここでは、座敷にいた人間の大半に、毒を投ずる機会があったことを、わかっていただければよいのである。

さて、これだけのことをいっておいて、それではいよいよ、その夜の私の冒険のほうへ、筆をすすめていくことにしよう。

その晚の食卓では、姉の春代はとりわけ私と話をしたがった。姉もむろん、梅幸尼の事件を知っており、その死体を最初に発見したのが、私と森美也子であったということが、何かしら、異様に彼女を刺激したらしい。どうして私が美也子といっしょだったのだとか、途中で誘ったのかとか、姉のようなおっとりとしたひととしては珍しいほどの熱心さで、根掘り葉掘り尋ねるのだった。そして、最後にこんなことを付け加えるのだった。

「あの美也子さんというひとは賢いひとです。男にも負けないくらい利口なひとです。でも、わたしにはなんだか、あのひとが恐ろしく思われてなりません。眼から鼻へぬけるあの利口さが、わたしにはなんだか怖いのです。こんなこというと田舎者のひがみのように思われましょうけれども、またそう思われてもしかたのないことですけれど、怖いものはやっぱり怖いというよりほかにしかたがありませんわ。現に里村の慎太郎さんなども……」

と、姉はちょっと口ごもったが、それでも珍しく勇をふるって、

「あのひとにさんざん利用されたのだという評判がありますわ。まだ、戦争があんなことにならないで、慎太郎さんが参謀本部でときめいていた時分、美也子さんのごきげんのとりようったらなかったということです。慎太郎さんもついうかうかとそれに乗ぜられて、あのかたの旦那様が亡くなってからというものは、美也子さんの家に入りびたりになっていたそうです。それで一時は美也子さんは、慎太郎さんと結婚するのだろうという評判が、こんな田舎まできこえてきたくらいです。ところがどうでしょう。戦争がこんなことになって、慎太郎さんが尾羽打ち枯らすと、美也子さんはもう見向きもしなくなったのです。こうして同じ村に住んでいながら、ろくに口さえききません。たとい以前、それほど懇意な仲でないにしろ、一度同じ東京に、住んだもの同士だといえば、それだけでも情がうつるはずでしょう。ましてやひところ、あんなに頻ひん繁ぱんに出入りをし、結婚するのだとまでうわさされたふたりだのに、いまでは他人以上のよそよそしさなのです。それは美也子さんには、亡くなられた旦那様の遺産もあり、また眼から鼻へぬけるように利口なひとだから、戦争中に、ダイヤモンドをしこたま買いしめ、どんなインフレにもびくともしないほどの御身分なのに、慎太郎さんはあのとおり、これから先どうするというあてもない浪人ですから、以前は以前として、いまとなっては美也子さんが警戒なさるのもあたりまえのことでしょうけれど、それではあまり現金すぎると思うのですがどうでしょう。現にいま美也子さんの財産となっているダイヤモンドなども、慎太郎さんがこっそり忠告して買わせたものだという評判だのに……」

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