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八墓村-第四章 四番目の犠牲者(9)

时间: 2022-06-06    进入日语论坛
核心提示:私はどうして姉がこのように、多弁になったのかわからなかった。また、姉のような好人物が、なぜ、こう急に、美也子の悪口をいい
(单词翻译:双击或拖选)

私はどうして姉がこのように、多弁になったのかわからなかった。また、姉のような好人物が、なぜ、こう急に、美也子の悪口をいい出したのか解せなかった。私はただあきれて姉の顔を見つめていた。すると、姉もそれに気がついたのか、顔を真っ赤にして、はたと口をつぐんだ。そして、いかにもやるせなさそうに、しばらくそわそわしていたが、やがて哀れみを求めるように眼をあげて、

「わたし、つまらないことをいってしまったわ。ひとさまの悪口をいうなんて……辰弥さん、あなた、さぞ気を悪くなすったことでしょうね」

「いいえ」

私は姉を慰めるようにつとめて優しい声でいった。

「美也子さんの悪口をいわれたからって、ぼくが気を悪くするわけがありませんよ」

それをきくと姉はいくらか顔色を取りもどして、

「そうお、それならばわたしうれしいんだけど……とにかく、ひとは見かけによらぬものだというから、これからさき、お互いに気をつけましょうねえ」

姉はなおも私と話をしたかったらしいのだけれど、私は疲れているからという口実で、それから間もなく離れへさがった。姉はなんとなく、ものかなしげな眼の色だった。

疲れていたことも疲れていたのだけれど、私が早く離れへひきあげたかったのは、もっとほかに目的があったのだ。私は今夜こそ離れにある抜け孔を発見しようと考えたのだ。

離れにはもう雨戸もしめてあり、私の寝床も敷いてあった。しかし私はその寝床に見向きもせず、座敷の裏の納戸へ入っていくと、昨夜、見当をつけておいた長持のふたをひらいてみた。まえにもいったように、この長持の底には、絹夜具が二、三敷いてあるのだが、その夜具のなかをさぐっているうちに、何やら固い梃てこのようなものが私の手にさわった。私はしばらく梃をあちこちいじくってみたのち、ぐいと強く押してみた。

と、長持の底は夜具といっしょに、ガタンと下へひらいたのである。そして、その下から、現われたのは、まっくらな縦たて孔あなだった。

私は思わず息をのんだ。

私の想像はあたっていたのだ。ここにひとつの抜け孔があり、ときおりここから、離れへしのんでくるものがあるのだ。と、同時にまた、双生児の小梅様小竹様が、この抜け孔を通って奇怪な仏参をやっているのだ。

ああ、あの奇怪な深夜の仏参。この抜け孔の奥に、いったい何人がまつられているのであろうか。

私の心臓はガンガン鳴った。額にはビッショリ汗がうかんだ。私はもう一度、座敷へもどってあたりの様子をうかがうと、電気を消して納戸へかえった。腕時計を見ると九時ちょっと過ぎだった。

かねて用意したろうそくに灯をつけると、納戸の電気も消し、私はろうそくの灯で、そっと抜け孔のなかを調べた。長持のすぐ下から、かなりひろい石段がつづいている。私はそっと石段の上におり立った。納戸の下へすっぽりおり立って、もう一度そこらを調べてみると、長持の底の裏にひとつの梃がついている。試みにそれをいじくっていると、だしぬけに長持の底はバタンと軽い音を立てて締まった。

これで私は、すっかり抜け孔のなかに、閉じこめられたわけである。私はにわかに心細さをおぼえ、あわててさっきの梃をさがし出し、それを逆に押すと、また、長持の底がガタンと跳ねかえってきた。それで安心して中から長持にふたをすると、もう一度梃をひねって長持の底をもとどおりにしておいた。こうしておけば、だれかがかりに長持のふたをひらいたところでここに抜け孔があることに気がつくはずはないのである。それから私はろうそく片手に、すりへった石段をひとつずつ降りていった。

ああ、私はいったい何をしようというのか。──私自身にもわかっていなかった。第一、この抜け孔と、一連のこんどの殺人事件と、何か関係があるのかないのか、それすらわかっていないのだ。ただ、わかっていることは、この抜け孔が何かしら田治見家の秘密とつながりを持っているらしいこと、ただ、それだけだ。だが、それだけでも、私にとっては十分冒険の価値があるのだ。私は自分を囲繞いにょうする異様な疑惑の雲をつきやぶるためには、田治見家のどのような秘密でもつきとめておく必要があったのだ。

石段はかなり長くつづいていたが、それはさして険しくもなかった。なるほどこれでは、小梅様や小竹様のような老人にでも、杖をたよりに上がり降りができるはずである。

石段をくだってしまうと、こんどは横孔。私はその横孔に立って、ろうそくの灯でつらつらあたりを見回したのち、はじめてこれが一種の鍾乳洞しょうにゅうどうであることを知った。むろん、これは天然の鍾乳洞ではない。だれかが人工的にうがったものにちがいないが、地質の関係でいつか鍾乳洞の様相を示してきたのだ。

ろうそくの灯にちらちらまたたく洞どう壁へきには、乳灰色をした縞しまがうき出し、ところどころに、やや完全な鍾乳石が垂れさがっている。つまり、これは完全な鍾乳洞ではないが、人工のトンネルが、地質と水の関係で、鍾乳洞らしい面影をそなえているのだ。

私はこの一種異様なトンネルのなかに立って、思わず心の躍るのをおぼえた。私は勇気をふるってそのトンネルを進んでいった。そのとき私が気づいたのは、このトンネルが袋になっているのではなくて、必ずどこかに出口があるらしいことである。と、いうのは、ろうそくの灯のたえまなきゆらめきから、空気が動いていることがわかり、空気が動いている以上、どこかで外気と接しているはずなのだ。

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