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八墓村-第六章 春代の激情(15)

时间: 2022-06-16    进入日语论坛
核心提示:搜索复制私は闇に向かって叫んだ。「耕助君、耕助君」うしろから警部の声もきこえた。するとそのとき前方でゴソゴソ動く気配がし
(单词翻译:双击或拖选)

私は闇に向かって叫んだ。

「耕助君、耕助君」

うしろから警部の声もきこえた。するとそのとき前方でゴソゴソ動く気配がしたかと思うと、マッチをする音、やがてカンテラの灯の中に、金田一耕助の顔がうかびあがったが、驚いたことにはその顔は、ちょうど私の膝のあたりに見えるのだ。金田一耕助はキョトキョトあたりを見回しながら、

「ああ、驚いた。てっきり淵の中へ転落したと思いましたよ。気をつけてください。そこに大きな段落がありますから」

それからまた、入念に闇の中をすかしてみながら、

「しめた、警部さん、辰弥君、あと少しの辛抱だ。ここまで来ると道がうんと広くなってる」

その言葉に力を得て、蟹の横ばいを早めていくと、間もなく一メートルぐらいの段落にぶつかった。この段落をおりると、道はいくらか広くなっている。もちろん、まだ壁につかまらなければ危険だけれど、蟹の横ばいの必要はなかった。

間もなく私たちは対岸へついた。向こう岸にはちょっとした広場があり、その広場に大小五つの洞窟が口をひらいていた。金田一耕助はそれを見ると、ううんとうなっていたが、すぐいちばん右はしの孔へ入っていった。しかしすぐ出てくると、

「だめ。これはすぐ向こうで袋になっている」

それから第二の洞窟へもぐりこんだが、しばらくするともどってきて、

「こいつは奥は深そうだ。警部さん、綱を貸してください」

綱は二ふた束たばあった。金田一耕助は一束のほうを左腕に通すと、あとの一束をといてその一端を警部に握らせ、

「しっかり握っていてくださいよ。離しちゃいけませんぜ。生命の綱なんだから、辰弥さん、きみはぼくと来てください」

いわれるままに、私は金田一耕助についていったが、この洞窟も一丁ほど奥で、袋になっていることがわかった。

「チョッ、こんどもむだ骨か」

私たちは綱をつたってもとの広場へひきかえした。つまりこの綱は万一のときの道しるべなのだ。

「これも袋かな」

「ええ、袋でした。こんどは第三の洞窟です」

警部をそこに残して、私たちはまた洞窟へもぐりこんだが、この洞窟も間もなく、袋になっていることがわかった。

こうして三度失敗したが、四番目の洞窟にいたって、私たちはそこに無数の枝えだ洞どう窟くつのあることを発見したのである。金田一耕助は最初の枝洞窟にぶつかったとき、私をそこに立たせ、いままでたぐってきた綱と、それからもう一束、腕にかけてきた綱をといて、その一端と、都合二筋の綱を私に持たせて、

「ここに立っていてください。綱を離しちゃいけませんぜ。ぼくが孔の奥から綱をひいたら、あなたはこっちの綱をひいてください。そうすれば警部がやってきますから。警部が来たら、この綱の端を岩の角へでも結びつけておいて、ふたりでやってきてください。綱をつたってくればわかるはずですから」

つまり警部の綱は大本を示し、私の綱は枝道を示すのだ。なるほどこれを克明に繰り返していったら、どんな複雑な迷路といえども迷うことはあるまい。金田一耕助は綱の一端を持って枝洞窟へ入っていったが、しばらくするともどってきて、

「驚きましたよ。この枝洞窟の中にゃ、また三つ小さい枝が出てるんです。幸いどれも浅い袋だからよござんしたがね」

私たちはまた、警部の綱をのばしながら洞窟をすすんでいった。すぐ第二の枝洞窟にぶつかった。金田一耕助がまた私に第二の綱を持たせてもぐりこんだことはいうまでもない。

私は足下にカンテラをおき、左に警部の綱右に耕助の綱を持ってそこにたたずんでいた。するとしばらくして本洞窟の奥から聞こえてきたのは忍びやかな足音である。私はギョッとした。全身から冷たい汗が吹き出した。ああ違いない、確かにだれかがこっちのほうへやってくる!

私はあわててカンテラの灯を吹き消した。そして闇の中で身構えた。と、ほとんど同時に、洞窟の奥から、かすかな光がさしてきたかと思うと、しだいにそれが近づいてきた。どうやらカンテラの灯らしい。だれかがカンテラをさげてやってくるのだ。私の心臓はガンガン躍った。逃げ出せるものなら逃げ出したいと思った。しかし、私は逃げ出すわけにはいかないのだ。私の手には金田一耕助の生命の綱が握られているのだから。

私は闇の中に身をしずめ、息を殺し、いざという場合のために身構えながら、近づいてくるカンテラを見つめていた。カンテラの灯はしだいに近づき、いまや眼前数すう間けんのところまで迫ってきた。カンテラの灯を下から浴びて、ぼんやりと赤黒い顔が浮き出している。その顔の輪郭を闇の中にハッキリ認めたとき、私は心臓が裂けるかと思われた。

「金田一さん!」

思わず声をかけて、すぐ悪いことをしたと思った。だしぬけに声をかけられて、文字どおり耕助はとびあがったのである。

「だ、だれだ!」

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