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八墓村-第六章 春代の激情(17)

时间: 2022-06-16    进入日语论坛
核心提示:面影双紙金田一耕助は知っていたのにちがいない。久野おじがとっくの昔、つめたい死し骸がいとなっていたことを。それでなければ
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面影双紙

 

金田一耕助は知っていたのにちがいない。久野おじがとっくの昔、つめたい死し骸がいとなっていたことを。それでなければ三日間にわたる青年団の大捜索にもかかわらず、ああも強い確信をもって、洞窟捜査を主張するはずがない。

それを考えると私は恥ずかしくてならぬ。みちみち私はかれをやりこめたつもりで、得意になっていたのだが金田一耕助はそんなことは百も承知、二百も合点だったのだろう。すべてを知り、すべての計算の上に立って、久野おじはすでに死んでおり、その死体はこの洞窟の奥に横たわっているにちがいないと、推理考察したのであろう。それを考えると、私はきまりが悪いどころではなくなった。相手を見る眼が変わらざるをえなかった。

金田一耕助──一見風ふう采さいのあがらぬ、もじゃもじゃ頭のこのどもり男は、ひょっとすると、見かけによらぬ天才ではあるまいか。……

それはさておき、久野おじの死体が発見されたことによって、またしても局面が大転換をしたことはいうまでもあるまい。

久野おじこそはもっとも有力な容疑者だったのだ。どういう理由があったのか、それはまだわかっていないけれど、日記の一ページに、あのようなけしからぬ名前を書きつらねたのは久野おじだった。そしてそれが暴ばく露ろすると同時に、姿をくらましてしまったのだ。だれの眼にもこれほど疑わしい人物はなかったのだが。……ああ、しかし、それもいまはひっくり返ってしまったのだ。

久野おじのあの腐ふ爛らんした死体を見れば、素人の私にだって、死んでから三日や四日でないことはすぐにわかった。これはのちに医者の綿密な検査の結果わかったことだが、久野おじの死体は、少なくとも死後二週間はたっているということだった。死後二週間といえば、久野おじは失しっ踪そう後間もなく死んでいたことになり、したがって小梅様が殺されたときには、久野おじは十日もまえに死んでいた勘定になるのだ。この一事をもってしても久野おじは犯人でなく、かえって同じ犯人の手によって殺された犠牲者のひとりだということがわかるであろう。

さて、久野おじの死因だが、またしてもそれはあの毒物だった。祖父の丑松以来、多くの人を殺すのに用いられた毒薬が、またしても久野おじに用いられたのだ。では、その毒物がどういうふうにしてあたえられたか。……それは死体といっしょに発見された竹の皮包みが物語っているようだ。この竹の皮包みには、カチカチになった握り飯が二つ残っていたが、そのどちらからも例の毒物が検出されている。つまり、毒物は握り飯の中に仕込んであったのだが、ではだれがその握り飯をあたえたか、それについて久野のおばは次のように証言している。

久野おじの家出は、当時、だれも知らなかったのだから、弁当など当てがうはずがない。また、久野おじはいたって無器用なひとだったから、自分で握り飯をつくるなんて思いもよらぬし、かりに、一步譲って、ひそかに握り飯をつくって家出をしたとしても、それならばそれで、だれか家人が気づかぬはずがない。おばは以上のように強調したうえ、それでもまだ事足りずと思ったのか、顔赤らめて付け加えるのに、自分のうちは知らるるごとく大勢家族で、いつも食糧不足に悩んでいる。ここ数年白い御飯など炊いたことはないのに、このお結びは銀飯であると。……

これによってこれを見るに、久野おじは家出ののち、だれからか竹の皮包みの握り飯を受けとっているのだ。

ああ、なんという恐ろしいことだろう。鍾乳洞の奥で、小さくなってふるえている久野おじ。

(久野おじがどういうわけでそんなことになったのかわからないけれど、そういう羽目におちいったかれは、おそらく不安に胸をおののかせていたことだろう)そこへこっそり忍んでくる正体不明の人物。親切ごかしにあたえる竹の皮包み。久野おじは何も知らずに、握り飯をむさぼりくらう。ひとつ、二つ、三つ、四つ、五つ。……

それからあとは、いつものとおりだ。苦く悶もん、うめき声、吐き出す血ち嘔へ吐ど、全身をゆすぶる死の痙けい攣れん。その痙攣がしだいにおとろえ、力をうしない、やがてがっくり息絶えるのを、つめたく見守る蛇へびのような犯人の眼。

ああ、恐ろしい。ゾッとする。いったいいつまでこんなことがつづくのだ。いつになったら、この恐ろしい血まみれ騒ぎは終わるのだ。もうよい、もう堪忍してほしい。そして私を昔どおりの、灰色の人生にかえしてくれ。私はもう息もたえだえなのだ。……

しかし、そういうわけにはいかなかった。私はまだまだ、この気ちがい騒ぎからぬけ出すことはできなかったし、前途には、もっともっと恐ろしいことが待ちかまえていたのだ。

第一、久野おじが殺されたことによって、私の立場がいよいよ怪しくなったことはいうまでもあるまい。久野おじの存在こそは、私にとって唯一の安全弁になっていたのだ。ところがいまや、その安全弁は完全にケシとんでしまった。しかも、いままで久野おじに対する疑いが、深ければ深かっただけ、こんどは逆に、久野おじに対する同情が、大きくなればなるだけ、私に対する疑惑と憎しみは深まっていくのであった。

「気をつけてくださいよ、辰弥さん」

ある日、姉が蒼あおい顔をして、私に意外な注意をあたえた。

「お島の話ですけれどね。だれかあなたのことを書いて、役場のまえに貼はり出したものがあるんですって」

「ぼくのことを書いて……」

「ええ、そう。つまりこの間じゅうからの人殺し、あれはみんなあなたの仕業にちがいないって、そんなことを書いて昨夜のうちに、役場のまえに貼り出したものがあるんですって」

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