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恶灵(17)

时间: 2021-08-19    进入日语论坛
核心提示: 熊浦氏の荒屋は同じ中野(なかの)の、黒川邸から七八丁隔った淋しい場所にあって、丁度その中間に森の深い八幡神社がある。僕も
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 熊浦氏の荒屋は同じ中野(なかの)の、黒川邸から七八丁隔った淋しい場所にあって、丁度その中間に森の深い八幡神社がある。僕もその八幡神社へは行ったことがあって、よく知っていた。この妖怪学者は、天日(てんじつ)を嫌って昼間は余り外出しない癖に、深夜人の寝静まった時などを歩き廻る趣味を持っていると聞いていたが、昨夜もその夜の散歩をしたのであろう。
「それは本当ですか」
 僕が聞返すと、熊浦氏は鬚の奥で(かす)かに笑った様に見えたが、
「本当だよ。僕が歩いていると、ヒョッコリ、社殿の、横の、暗闇から、飛び出して、来たんだ。常夜燈の電気で、ボンヤリ、庇髪と、矢絣が見えた。だが、僕が、オヤッと、気がついた時には、そいつは、もう、非常な(いきおい)で駈け出していたんだよ。わしは、足が、悪いもんだから、到底、かなわん。追っかけたけれど、じきに、見失った。恐ろしく、早い奴だったよ。女の癖に、まるで、風の様に走りよった。あとで、境内(けいだい)を、念入りに、歩き廻って見たが、もうどこにも、いなかったがね」
「ですが、その変な女は、案外犯罪には何の関係もない、気違いかなんかじゃないでしょうか。気違いなら知合でなくったって、どこの家へでも入って行くでしょうし、夜中に森の中をさまよう事もあるでしょうからね。僕達は少し矢絣に拘泥(こうでい)し過ぎてるんじゃないかしら。犯罪者が態々(わざわざ)、そんな人目に立ち易い風俗をする(いわ)れがないじゃありませんか」
 僕がそういうと、熊浦氏は僕の方へ、近眼鏡をキラリと光らせた。
「それは君、ひどく、常識的な、考え方だよ。そりゃ、気違い女かも、知れない。だが、気違い女なら、二三日もすれば、捕まって、しまうだろう。若し、幾日たっても、捕まらなんだら、そいつは、気違い女やなんかじゃないのだ。それから、黒川君、」と顔の向きを変えて、「僕は、一つ、不思議に、思っている、ことが、あるんだが、あの日に、姉崎の後家(ごけ)さんは、誰か、秘密な客を、待ち受けて、いたんじゃあるまいか。書生も、子供も、留守の時に、どんな急ぎの、用事だったか、知らんが、女中を、使に出して、一人ぼっちに、なるなんて、偶然の様では、ないじゃないかね」
「ウン、そういう事も考えられるね。併し、そんなことを、ここで論じ合って見たって、始まらんじゃないか。(もち)は餅屋に任せて置くさ」
 黒川先生はさも冷淡に云いはなたれたが、僕の見る所では、先生は決して、言葉通りこの事件に冷淡ではなかった。
「餅は、餅屋か。それも、そうだな。ところで、祖父江君、君は、死体解剖の、結果を、聞かなかったかね」
「綿貫検事から聞きました。内臓には別状なかった相です。姉崎さんはあの日十時頃に、遅い朝食を採られた切りだそうですが、胃袋は空っぽで、腸内の消化の程度では、絶命されたのは、一時から二時半頃までの間ではないか、という程度の、やっぱり漠然としたことしか分らなかった相です」
「精虫は?」
「それは、全く発見出来なかったというのです」
「ホホウ、それは、どうも」
 この対話によって、熊浦氏が何を考えていたかが、君にも想像出来るだろう。同氏は僕の明確な否定に、ある失望を感じたに違いないのだ。ここに至って、僕はこの変物の妖怪学者に一種の好意を感じないではいられなかった。彼も(また)僕等と同じミステリィ・ハンタァズの一人であったのだ。日頃陰鬱で黙り屋の同氏が、この夜に限って、かくも雄弁であったのは、全く犯罪への好奇心に由来していたのだ。僕はここに一人のよき話し相手を得たことを、(ひそ)かに喜ばしく感じた。

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