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黄金豹-列车劫案

时间: 2021-12-01    进入日语论坛
核心提示:寝台車の怪 園田邸の怪事件があってから、三週間ほどのちのことです。お話かわって、東京と大阪に店をもっている日本でも一流の
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寝台車の怪


 園田邸の怪事件があってから、三週間ほどのちのことです。お話かわって、東京と大阪に店をもっている日本でも一流の大宝石商、株式会社宝玉堂(ほうぎょくどう)の大阪の店から、二十三個のダイヤモンドを、東京の店へ、もっていかなければならないことがおこりました。
 一つ五百万円もする大きなダイヤも、まじっていて、二十三個で五千万円という値うちのものですから、途中でなくしたり、盗まれたりしては、たいへんです。そこで大阪の店の支店長次席の野村(のむら)という人が、じぶんで持っていくことにしたのですが、いろいろな事情で、飛行機の時間にまにあわなくなり、といって、一日のばすわけにはいきませんので、しかたなく、夜の特急列車に乗りこみました。
 汽車なら一等寝台が安全だと思いました、が、それでは、かえってめだつから、なにげなく二等寝台に乗ることにしたのです。そのかわり、宝石には保険がかけてありますし、旅行のあいだ、宝石をいれておく場所にも、特別の知恵をはたらかせて、じゅうぶん、用心をしました。そのうえ、若い腕っぷしの強い荒井(あらい)という社員をつれて、ごえいにあたらせることにしたのです。
 支店長次席の野村さんは、わざと、上段の寝台をえらび、その下の寝台へ、荒井という社員を寝させました。そうしておけば、悪者が上段への鉄ばしごをあがってくれば、下段にいる荒井さんに、すぐわかるので、いっそう安全だからです。
 そのまよなか、列車はいま(せき)(はら)のへんを走っていました。上段の野村さんは、ダイヤをいれた、まるい革のかばんをだくようにして、うとうとと眠っていました。すると、しめきった青いカーテンが動いて、その合わせめから、みょうなピカピカ光るものが、ニューッと出てきました。
 野村さんは、なんだかへんな音がしたので、ふと目をひらいて、せまい寝台のなかを見まわしました。そして、すぐに、ピカピカ光るものを見つけたのです。カーテンの合わせめからのぞいているのは、金色に光ったものです。えたいのしれないへんなものです。よく見ると、その金色のものには、するどい(つめ)がはえていました。猛獣の爪です。野村さんはギョッとして、身をちぢめたまま、息をころして、それを見つめていますと、またカーテンが、ゆらゆらと動いて、その合わせめから、燐のような青く光る、小さなまるいものが、のぞきました。目です。猛獣の目です。それが、ヌーッと、こちらへ近づいてくるのです。そして、猛獣の顔ぜんたいが、あらわれてきました。
 その顔は、金色に光っていました。金色のなかに、黒いはんてんがあるのです。鼻のへんに、キューッとしわをよせて、ガッと、まっ赤な口を開きました。白いするどい(きば)が、はえています。
「アッ、黄金豹だッ!」
 野村さんは、それをさとると、気をうしなうほどの驚きにうたれました。それにしても、あの怪獣が、汽車の中にあらわれるなんて、まるで、恐ろしい夢を見ているようです。やっぱり夢かしら? いや、いや、夢ではない。じぶんは、たしかに目をさましている。どうして、この人目につきやすい怪獣が、汽車の中にはいってきたのか、わからないけれど、こいつは、あの恐ろしい黄金豹にちがいありません。野村さんは、もう生きたここちもないのです。こいつに、くわれてしまうのではないかという恐れと、もうひとつは、五千万円のダイヤを、こいつに、とられてしまうのではないかという心配で、気がくるいそうになってくるのです。
 野村さんは、寝たまま、だんだん、寝台のすみのほうへ、からだをちぢめて、宝石のかばんを、死にものぐるいでだきしめていました。すると、怪獣の金色の前足が、ヌーッと、その宝石のかばんのほうへ、のびてきました。しかし、せまい寝台の中ですから、逃げることも、どうすることもできません。
 金いろの前足は、恐ろしい力で、野村さんのだきしめていた宝石のかばんを、つかみとってしまいました。そして、まるで人間のように、もういっぽうの前足でかばんを開き、それを、青く光る目の前へもっていって、しばらく見ていましたが、とつぜん人間の声で、いやな笑いかたをしました。
「ウヘヘヘ……、これはみんなにせものだ。そんな、あまい手にはのらないぞ。さあ、ほんもののダイヤを出せ。」
 怪獣が人間のことばをつかったので、野村さんは、いよいよ、たまげてしまいました。たしかに、かばんの中にいれておいたのは、にせものなのです。ほんもののほうは、うすいニッケルの箱にいれて、長いきれでつつみ、それを、しっかり腹にまいていたのです。
 野村さんは、おもわず、その腹まきの上を、両手でおさえました。
「ふふん、わかったぞ。さては、腹にまいているんだな。」
 黄金豹はそういって、前足で、野村さんのきていたパジャマの胸をはだけ、いっぽうの前足を、グッとその中にいれて、むりやりに、腹まきをひき出してしまいました。
 そして、腹まきの中のニッケル箱を取りだし、ふたを開いて、中をあらためてから、ピチンとふたをしめて、それを、にせもののはいっている宝石かばんにいれると、かばんのさげかわを口にくわえて、カーテンのそとへすがたを消してしまいました。
 野村さんは、そのときになって、やっと、声をたてることができました。それまでは、あまりの恐ろしさに、口がきけなかったのです。野村さんが叫びたてたものですから、ほかの寝台に寝ていた人々がみんな目をさまして、なにごとかと、カーテンを開いて、まんなかの通路をのぞきました。すると、その通路を、一ぴきの金色の豹が、口にまるい宝石かばんをくわえて、のそのそと歩いていくのが見えたものですから、ワアッ、という叫び声がおこり、たちまち、寝台車の中は、おそろしいさわぎになりました。
 下段にいた荒井さんも、やっとそのとき、寝台からはい出して、野村さんのいる上段のベッドをのぞきましたが、もう手おくれです。荒井さんも、黄金豹がきたことは、よくしっていたのです。みょうな黒いかげが、じぶんのベッドのカーテンにうつったので、そっと、合わせめからのぞいて見ると、そこに、思いもよらぬ黄金豹が、立ちはだかっていたので、きもをつぶして、ベッドの中で小さくなっていたのでした。いくら、腕っぷしが強くても、相手が猛獣では、どうすることもできなかったのです。

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