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黄金豹-怪兽的真面目

时间: 2021-12-01    进入日语论坛
核心提示:怪獣の正体 そのとき、どこからともなく、ふしぎな口ぶえの音が、聞こえてきました。やわらかい調子の口ぶえです。それが、暗や
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怪獣の正体


 そのとき、どこからともなく、ふしぎな口ぶえの音が、聞こえてきました。やわらかい調子の口ぶえです。それが、暗やみの地下室のむこうのほうから、だんだん、近づいてくるように、感じられるのでした。
 すると、みょうなことがおこったのです。いままで小林君にいどみかかっていた黄金豹が、前足を小林君の肩からおろして、口ぶえにさそわれるように、その音のほうへ、のそのそと、歩いていくのです。
 これを見た老人は、びっくりして、懐中電灯の光を、そのほうへ、ふりむけました。
「アッ! き、きさま、なにものだッ!」
 地下室のむこうのすみに、黒い背広をきた、せいの高い男が、立っていたのです。その男はニコニコ笑いながら、ピストルの筒口を、じっとこちらに向けております。
 老人は、そのピストルを見て、たじたじと、あとずさりをしました。老人もポケットに、ピストルを持っていましたが、それを出すひまがないのです。
「アッ! 先生!」
 小林少年が、かんだかい声で叫んで、その男にかけよりました。それは、おもいもよらぬ明智探偵だったのです。
 怪老人も、それをさとりましたが、相手にピストルをつきつけられているので、どうすることもできません。
「おい、じいさん。その懐中電灯を、小林君にわたすんだ。」
 小林少年が老人に近づくと、老人は、しかたなく、懐中電灯をわたしました。
「さあ、きみは、これを持って、あいつを、ねらっていたまえ。いま、おもしろいものを、見せてあげるからね。」
 小林君は、いわれるままに、ピストルをうけとって、右手にかまえました。懐中電灯は、左手に持って、明智と、黄金豹と、怪老人とを、かわりばんこに、てらしているのです。
 明智はまた、やさしく口ぶえを吹きました。すると、あの恐ろしい黄金豹が、まるで小犬のように、明智にからだをすりよせて、あまえるのです。明智はその豹の背中を、なでながら、説明しました。
「ぼくは、自動車をかくして、すぐにもどってきた。そして、あやしい男を尾行している、きみのあとから、森のなかへ、はいった。それから、きみたちの先まわりをして、西洋館のそばに、かくれていたのだ。
 あの男は、西洋館の入口からは、はいらなかった。横手の草におおわれた洞穴(ほらあな)の中へ、はいっていった。秘密の出入り口なのだ。ぼくもあとからその穴へはいった。それは、この家の地下室へつうじていた。この部屋ではない。地下室はいくつもあるのだ。むこうのほうの部屋だ。
 あの男が、むこうの地下室へはいったので、ドアのすきまから、のぞいていると、男がみょうなことをはじめた。
 その部屋には、一ぴきの大きな犬がとじこめてあった。あの男は、部屋の戸棚から、金色の豹の皮を取りだして、それをその犬にきせた。すると、たちまち、一ぴきの黄金豹が、できあがってしまったのだ。
 そのとき、きみが玄関のベルをおしたので、男はいそいで、一階へあがっていった。なにか、さしずをしているらしく、しばらくおりてこなかった。
 そのすきに、ぼくは、豹の皮をかぶった大犬と、すっかり仲よしになってしまった。ぼくは動物を手なずけることが、得意だからね。
 しばらくすると、男が上からおりてきたが、そのときは、白ひげのおじいさんに変装していた。それが、このじいさんなのだ。」
 明智はそういって、立ちすくんでいる怪老人を指さしました。
「そして、いま、ぼくにじゃれついているのは、じいさんの飼っている大犬だ。黄金豹の皮をかぶせられた犬にすぎないのだ。ほら、見たまえ。こうして、腹のかくしボタンをはずせば、わけなく皮をぬがせることができる。」
 いいながら、明智は手ばやく、豹の皮を、はぎとってしまいました。その皮の下から、あらわれたのは、大きな一ぴきの犬でした。皮をはがれた犬は、おとなしく明智のそばに立っています。
「おい、じいさん。きみは、あのネコじいさんと同じ人間だね。黄金豹が、すがたを消したあとには、かならず白ひげのじいさんがいた。きみはあのじいさんだね。いや、ほんとうは、じいさんなんかじゃない。きみはまだ若い、くっきょうな男だ。でなくて、あんな危険な離れわざが、できるはずはない。」
 明智は、そんなことをしゃべりながら、怪老人に近づいていきました。
 そして、老人のからだにさわって、ピストルのかくしてある場所を捜し、上着の右のポケットから、一ちょうの小がたピストルを取りだして、じぶんのポケットにいれてしまいました。
 そんなことをされても、小林少年が、じっと、ピストルのねらいをさだめているので、老人は、どうすることもできないのです。
「きみはこの犬を、じつによく訓練した。豹に化けているときは、ぜったいに吠えないこと、追っかけられたら、かならず、さだめておいた場所へ逃げること、そのふたつをちゃんと、まもらせたので、みんなが、だまされてしまった。
 しかし、きみが、この犬をつかったのは、銀座の美宝堂の美術品陳列所から歩きだしたときと、日本橋の江戸銀行にあらわれたときだけだった。
 美宝堂の事件では、夜の銀座通りを、長いあいだ、警官に追われて、走らなければならなかった。だから、人間が豹の皮をかぶったのでは、ごまかせない。ほんとうの動物でなくては、うまく走れないからだ。
 銀行にあらわれたときは、まず、きみが老紳士に化けて応接室にはいり、横丁に開いている窓から、この犬をいれて、豹の皮をきせ、じぶんは変装をして、若い銀行員に化けた。そして、応接室をぬけだしてしまった。そのあとへ支配人が応接室へ帰ってくると、黄金豹が安楽イスに、こしかけていたというわけだ。そして、みんなが豹に気をとられているすきに、若い銀行員に化けたきみが、金庫のなかにはいって、札たばを盗み、豹が二階にかけあがって、べつの階段からおりてくるのを待ちぶせて、豹の皮をはぎ、もとの犬にもどして、なにくわぬ顔で、裏口から逃げだしたのだ。これだけのことを、しらべるのにも、ぼくはずいぶん苦労をしたものだよ。」
 明智はそこで、ちょっと、ことばをきって、じっと怪老人を見つめました。小林少年は、懐中電灯で老人の顔をてらし、右手のピストルは、老人の胸にねらいをさだめています。また、明智もポケットの中で、老人からうばったピストルをにぎって、その筒口を、老人のほうにむけているのです。いくら悪人でも、これでは、てむかうことも、逃げだすことも、できるはずがありません。動けば、命がないのです。
 明智はまた、しゃべりはじめました。
「犬をつかったのは、その二どだけで、あとは、きみが豹の皮をかぶって、いろいろな曲芸をえんじたのだ。はじめに犬をだして、たしかに動物だと、おもいこませておけば、あとは人間が、豹の皮をかぶっていても、見やぶられる心配はすくない。それに、きみがあらわれたのは、夜ばかりだったし、人の目の前を、長く走るようなことはしなかった。そういうばあいには犬のほうを、つかうのだ。
 きみは黄金豹に化けたばかりではない。いろいろな人間に化けている。ネコじいさんもそうだし、いま化けている老人もそうだ。それから、園田家の庭ばんの助造じいさんに化けて、思うままのことをやった。
 園田家の杉戸(すぎと)の豹が、ぬけだしたのも、毛がわが生きた豹になって、動きだしたのも、みんな、きみのしわざだった。黄金豹が、助造じいさんの部屋に逃げこんで、消えてしまったのは、きみが手ばやく豹の皮をぬいで、もとの助造じいさんになって、その部屋にすわっていたのだ。また、助造じいさんが、じぶんの部屋に逃げこんだのを追っかけていくと、黄金豹に、早がわりしていたのも、きみが手ばやく豹の皮をきたのだ。
 湯屋の煙突から、ぶらさがって、空中曲芸をやって見せたのも、急行列車の中にあらわれ、列車の屋根の上の大冒険をやって見せたのも、みんなきみだった。きみはまえに、空中曲芸師をやっていたことがあるのにちがいない。
 そのほか、こまかいことをいえば、さいげんがないが、すべて、きみという曲芸師が、豹の皮をかぶっていて、とっさに、早がわりしたということがわかれば、黄金豹の怪事件は、みんな解決がつく。
 しかし、どうしてもわからないことが、のこっていた。それは黄金豹が、完全な密室のなかで、消えうせたことだ。そういうできごとが二どあった。
 一どは黄金豹が、銀座の宝石商の応接間に逃げこんだまま、消えうせたとき、もう一どは、園田家の書斎で小林君が寝ていると、黄金豹があらわれ、小林君が書斎から逃げだして、ドアをしめ、応援の人を呼んで、ふたたびドアをあけてみると、豹は影もかたちもなくなっていたとき、このふたつだ。ぼくには、このなぞが、なかなかとけなかった。
 どちらのばあいも、窓には鉄格子が、はまっていた。ドアは一つしかなかった。ドアのそとには、ずっと人が立っていた。だから、人間にしろ、犬にしろ、その部屋から、そとに出ることは、ぜったいにできなかったはずだ。
 これはじつに、むずかしいなぞだった。しかし、ぼくは、今ではそのなぞも、すっかり、といてしまったのだよ。」
 明智はそういって、ニッコリ笑うのでした。

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