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灰色巨人-大象天行

时间: 2021-11-28    进入日语论坛
核心提示:空飛ぶ巨ゾウ そのデパートの屋上の空には、巨大なビニールのゾウが、飛んでいました。アドバルーンなのです。ほんもののゾウの
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空飛ぶ巨ゾウ


 そのデパートの屋上の空には、巨大なビニールのゾウが、飛んでいました。アドバルーンなのです。ほんもののゾウの二倍もある大きなゾウが、屋上から綱でつながれて、高い空にふわふわと、ただよっていました。
 元刑事や店員たちは、「わあっ。」といって、その綱のまきとり器のところへ、かけよりました。松村をつかまえるのは、わけはありません。まきとり器をまわして、アドバルーンを、引きおろせばよいのです。
 空中にぶらさがった松村は、いつのまにかビロードのケースをすてて、真珠塔だけを黒い大きなふろしきにつつみ、それをじぶんの首にくくりつけて、両手で綱をたぐりながら、上へ上へとのぼっていきます。
「そら、みんなで、これをまくのだ!」
 元刑事のひとりが、大きな声で号令をかけ、じぶんもまきとり器のハンドルにとりついて、エッサ、エッサと、まき始めました。店員たちも、それにならって、ハンドルをにぎり、おおぜいが力をあわせて機械をまくのです。
 巨ゾウのアドバルーンは、ユラユラゆれながら、だんだんおりてきました。
 綱にすがった松村は、それを知ると、いっそう速度を早めて、上へ上へと、のぼっていきます。そして、もうゾウの太い足のところまで、のぼりつきました。
 しかし、いくらのぼっても、ゾウのところでおしまいです。そのゾウは、綱でぐんぐん屋上へ引きよせられているのですから、にげようとて、にげられるものではありません。
 綱の長さは、もう半分ぐらいになりました。店員たちは、いっしょうけんめいです。エッサ、エッサと、かけ声をしながら機械をまわしています。
 綱は三分の一になり、四分の一になり、ガスではりきったビニールのゾウが、おそろしい大きさに、見えてきました。松村は、そのゾウの腹のところに、すがりついています。真珠塔をつつんだふろしきは、やっぱり首にくくりつけたままです。
「さあ、もう、ひといきだ。がんばれっ! すぐに真珠塔は、とりもどせるぞ!」
 元刑事のかけ声に、店員たちは、いっそう、力をこめて機械をまわしました。
 そのときです。あっと思うまに、ハンドルにとりすがっていた店員たちが、みんな、しりもちをつきました。ハンドルがきゅうに軽くなって、からまわりをしたからです。
 びっくりして空を見あげると、ビニールの巨ゾウは、はりきったガスの力で、もう五十メートルも飛びあがっていました。そして、風のまにまに、フワフワと東の方へ飛びさっていくではありませんか。
 綱が切れたのです。いや、ゾウの腹にとりすがっている松村が、ナイフを出して、綱を切ったのです。
 見ると、ゾウの腹の下に、ハンモックのようなものがとりつけられ、松村はその上に寝そべって、下界を見おろしながら、右手をひらいて、じぶんのはなさきにあて、さもばかにしたように、ヘラヘラと動かしています。「ここまでおいで。」といわぬばかりです。
 切れた綱を見ますと、四十センチおきぐらいに、むすび玉がこしらえてありました。松村はそれに足の指をかけてのぼったのです。このむすび玉も、ゾウの腹のハンモックも、夜のうちに、だれかが、つくっておいたものにちがいありません。
 その日は、西北の風が、そうとう強くふいていたので、ビニール風船の巨ゾウは、高い高い空を東南にながされて、みるみる小さくなっていきます。やがて、松村の姿が、肉眼では見えなくなり、それから、巨ゾウのすがたさえも、まめつぶのように小さくなってしまいました。
 支配人は、そのときまで、ぼんやり空をながめていたわけではありません。綱がはんぶんほどに引きよせられたとき、ふと、そこへ気がついて、あわてふためいて、屋上のエレベーターの前にかけつけ、しきりにボタンをおすのでした。貴賓室に待たせてある真珠王に、このふいのできごとをしらせるためです。
 エレベーターで二階におり、貴賓室にとびこみますと、ここにもまた、あっというようなことが、おこっていました。
 貴賓室はからっぽだったのです。女給仕にたずねても、いつ出ていかれたのか、少しも知らないということでした。
「さては、あの真珠王は、にせものだったのかもしれないぞ。」
 支配人は、まっさおになって電話器にとびつき、真珠王の東京の店をよびだしました。そして、真珠王が上京しておられるかどうかをききますと、先方の店員は、びっくりしたような声で、
「いいえ、社長はおくにのほうですよ。しばらく東京へはこられません。ちかく、こられるようなおはなしもありません。」
と、はっきり答えました。
 これでもう、さっきの真珠王が、にせものだったことは、まちがいありません。松村という職長も、むろんにせものです。
 支配人は真珠王に、一―二度しか会ったことがありませんので、にせものと、見やぶれなかったのです。まさか八十歳のにせものの老人が、やってこようとは夢にもおもわなかったので、ついだまされたのです。それにしても、このかえだまは、じつによくにていました。じっさい年も八十ちかい老人にちがいありません。口のききかたなども、りっぱで、まさか、これがにせものとは、どうしても思われなかったのです。
 ずっと、あとになって、わかったのですが、このにせの真珠王は、賊のなかまではなくて、七十いくつのくずやのじいさんが、五万円のおれいでやとわれ、賊に教えられるとおりのことを、やったばかりでした。ほんとうの賊は職人にばけた松村のほうでした。それなればこそ、風船の綱をきって、どことも知れず、ふきながされるような冒険もやってのけたのです。
 しかし、巨ゾウの風船は、どこまで、ふきながされていくのでしょう。西北の風ですから、まもなく品川(しながわ)から、お台場(だいば)をすぎて、東京湾にながされていくでしょう。そして、気球の中のガスは、だんだんもれていって、ついには太平洋の海の中へ落ちてしまうでしょう。そばを船が通ればよいけれども、広い広い海の上です。とても、そんなうまいぐあいにはいきません。松村と名のる怪盗は、海におぼれて死ぬほかはないのです。かれは、なにを思って、こんなむちゃな冒険をやったのでしょうか。
 巨ゾウの風船が、デパートの空に飛びあがって、だんだん小さくなっていったころ、元刑事のひとりが、警視庁の捜査課へ電話をかけて、この事件を報告しました。
 それを聞くと、警視庁では、捜査一課長をとりまき、三人の係長が、あわただしい会議を開き、大急ぎで方針をきめました。警視庁内の広場に待機している警察ヘリコプターに、犯人ついせきの命令がくだったのです。
 ヘリコプターには、操縦士と機関士のほかに、銃と双眼鏡を持った警部がのりこみました。
 風船の綱がきれてから、もう三十分もたっていましたが、風船は風だけで飛ぶのにくらべて、ヘリコプターは、風とプロペラと両方で飛ぶのですから、風船においつけないはずはありません。
 ヘリコプターは警視庁の上空五十メートルにのぼり、風のふく方向へ、全速力で飛びました。機上の警部は、双眼鏡を目にあてて、しきりに空中をさがしています。
 やがて、ヘリコプターは、東京の町をはなれ、品川の海に出ました。もうお台場が、目のしたに見えます。
「あっ、いた、いた。あすこを飛んでいる。千メートルかな。八百メートルぐらいかな。ほら、肉眼でも見えるだろう。この方向だ。全速力を出してくれたまえ。」
 ヘリコプターは、警部の指さす方向に、いままでよりも、いっそうはやく飛びました。空中のまめつぶのような点が、りんごほどの大きさになり、それから、おもちゃのようなかわいらしいゾウの形になり、そのゾウが、みるみる大きくなって、いまは、ヘリコプターから百メートルほどの空を、ユラユラゆれながら飛んでいました。ゾウの腹の下のハンモックに、のんきそうに寝そべっている、賊のすがたも、手にとるように見えます。
 そのとき、警部は双眼鏡で、うしろの海面をながめました。すると、ヘリコプターのうしろ三百メートルほどのところを、一そうのランチが、白波をけたてて、ばくしんしてくるのが見えます。警視庁から水上署へ電話をして、いちばん速力のはやい大型ランチで、ヘリコプターを追うように命じてあったのです。
「よし、あれがくれば、もう、うち落としてもだいじょうぶだ。」
 警部はそうつぶやいて、銃をとりあげると、前方の空の巨ゾウに、ねらいをさだめました。どこへでも、たまがあたればいいのです。そして、ゾウの風船のガスがぬけて、海へ落ちればいいのです。すると、水上署の大型ランチが、賊をすくいあげるというじゅんじょです。
 一ぱつ、二はつ、三ぱつ、警部の銃は、目の前の巨ゾウのせなかをめがけて、つづけざまに発射されました。なにしろ大きなまとですから、たまは百発百中です。たまがあたるたびに、ゾウはユラユラとゆれましたが、やがて、たまの穴からもれるガスが、だんだん多くなり、風船ゾウのからだは、みるみる、しぼんでいきました。そして、海面にむかって、ぐんぐんと落ちていくのです。
「しめたっ。もうだいじょうぶだ。」
 ヘリコプターも、下降をはじめました。水上署のランチは、海面すれすれにただよっている風船ゾウに近づいていきました。
 そして、風船が水面についたときには、ランチはそのすぐそばまで近づいていたので、賊をすくいあげるのは、わけのないことでした。
 ランチが、風船とすれすれにとまると、乗りくみの水上署員が、とび口を、しぼんだゾウの足にひっかけ、ぐっと引きよせました。
 ゾウのしぼんだ腹が、こちらをむくと、そこのハンモックの中に賊のすがたが見えました。とび口がハンモックにかかりました。そのまま、引きよせて、数人の乗りくみ員の手が、賊をランチの上にだきあげたのですが、そのとき、人びとの口から、「あっ。」という、おどろきのさけび声がもれました。
「なあんだ。これはゴム人形じゃないか。」
 賊とばかり思っていたのが、人形だったのです。浮きぶくろのように、いきをふきこむと、ふくれて人間の形になるゴム人形だったのです。それに、松村の黒い背広がきせてあったのです。
 しかし、デパートの屋上から、風船の綱にのぼっていったのは、たしかに松村でした。その生きた人間が空を飛んでいるうちに、どうして人形にかわってしまったのでしょうか。
 読者諸君、この秘密がおわかりですか。それはつぎの章でわかるのですが、それまでに、諸君もひとつ、このなぞをといてみてはいかがです。

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