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恐怖王-鸟井青年(2)

时间: 2021-08-26    进入日语论坛
核心提示: 布引氏は怒気を含んで云い放った。「併(しか)し、写真のトリックがこんなにうまく行く筈はありません。盛装した女の胴体に、お
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 布引氏は怒気を含んで云い放った。
(しか)し、写真のトリックがこんなにうまく行く筈はありません。盛装した女の胴体に、お嬢さんの顔丈けを貼りつけたのかと思って、よく調べて見ましたが、そんな細工(さいく)のあとは少しもないのです。確かに本物です。それに、この台紙には写真館の名が印刷してあります。電話番号まで書いてあります。この写真屋を呼んで聞けばすぐ分ります」
「ハハハ……。写真屋を呼ぶまでもない。わしが断言する。娘は決してこんな男と婚礼なんかした事はない」
「でも、念のためです。()しいたずらだとしたら、そいつを見つけだして、こらしめてやらねばなりません。それにつけても、一応写真屋に問い(ただ)す必要があると思います」
 云われて見れば、如何にもその通りだ。仮令(たとえ)死者とは云え、娘がこの様な侮辱(ぶじょく)を受けたのを、捨てて置く訳には行かぬ。
 そこで台紙に(しる)してある写真館に電話をかけて、主人を呼び寄せることになった。
 間もなく、読者には(すで)に顔なじみの写真師が鞠躬如(きっきゅうじょ)として大銀行家の応接間に現われた。
「この写真を撮った覚えがあるか」と差出された例の写真を一目見ると、彼は直様(すぐさま)思い出して答えた。
「記憶しております。つい四五日前に出張撮影したものでございます。非常なお急ぎでございまして、殆ど修整抜きで焼きつけました様な次第で、エエと、お名前はたしか、荒目田(あらめだ)さんとおっしゃいました。変ったお名前だったものですからよく記憶して居ります」
 写真師は愛想よく、ペラペラと喋った。
「何だって? 四五日前だって? そんな馬鹿な、どうして写真なぞとれるものか。だが、一体どこで写したのだね」
「牛込区S(まち)の古いお屋敷でございました。エエと、あれは……そうそう、思い出しました。この前の日曜日でございます。子供達の学校が休みであったのを、よく覚えて居ります」
「エ、日曜日だって?」
 布引氏と鳥井青年が、(ほとん)ど同時に叫んだ。
「それは君、本当かね」
「ハア決して間違いはございません。午後になって小雨がふり出しました、あの日でございます」
 確かに最近午後に小雨が降った日と云えば、日曜の(ほか)にはないのだ。
「君、冗談を云っているのじゃあるまいね。この写真の女はわしの娘なのだ。急病でなくなって、今日が八日目だ。分ったかね。ここに写っている花嫁は、先週の木曜日になくなって、土曜日に火葬にしたのだ。その死人が、火葬になった翌日の日曜日に、こんな盛装をして、お嫁入りをするということが、あり得るだろうか」
「エ、エ、何でございますって?」
 今度は写真師の方がたまげてしまった。

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