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奇面城的秘密-箱子里头

时间: 2021-12-28    进入日语论坛
核心提示:かばんの中 お話は、すこしまえにもどります。 明智探偵が総監の公舎へ電話をかけ、警視庁にあらわれた総監が、にせものだとい
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かばんの中


 お話は、すこしまえにもどります。
 明智探偵が総監の公舎へ電話をかけ、警視庁にあらわれた総監が、にせものだということをたしかめるまでは、明智のそばに、小林少年とポケット小僧がついていましたが、それから明智と小林少年とが、総監室へいそいでいくのを見おくって、ポケット小僧だけは、べつのほうへ歩きだしました。ポケット小僧は、こんなふうに考えたのです。
「四十面相が警視総監に化けたとすると、その変装用の服は、あのかばんの中にはいっていたにちがいない。あいつは、どこかのあき部屋へかくれて、あのかばんの中から、総監の服をだして着かえ、顔をかえてから総監室へあらわれたのだ。
 それなら、あのかばんが、どこかにおいてあるにちがいない。そのまますてていくかもしれないが、ひょっとしたら、あれを四十面相のすみ家へ持ってかえるかもしれない。
 かばんの中のものを、みんなとりだせば、からだの小さいおれは、あの中へかくれられる。そして、四十面相のすみ家をつきとめることができるじゃないか。
 よし、やってみよう。見つかったら見つかったときのことだ。まさか、殺されやしないだろう。」
 ポケット小僧は、かしこくも、そう考えると、あき部屋からあき部屋へと、かばんをさがして歩きました。
 そして、十いくつめの部屋で、とうとうそれを見つけたのです。
「まてよ。このままかばんの中にはいって、ふたをしめたら、息がつまってしまう。かばんの皮に、小さな穴をたくさんあけておかなけりゃあ。」
 そこで、ポケット小僧は、べつの部屋から、紙をとじるきりをさがしだしてきて、それを持ってかばんのある部屋にはいり、ぴったりドアをしめて、しごとにかかりました。
 まず、かばんの中のものをすっかりとりだして、その部屋の戸だなの中にかくし、それから、かばんの皮の目だたない場所へ、きりをさして五十ほどの穴をあけました。
 そのしごとは、十分ほどでおわりましたので、すぐにからだをまるくして、かばんの中によこになり、自分でふたをしめました。すると、ふたについているばねじかけの金具(かなぐ)が、ぱちんとしまって、もう中からはひらかぬようになってしまいました。
 ポケット小僧は、浮浪少年あがりのチンピラ隊員ですから、苦しいことにはなれています。からだをまるめて、長いあいだ、じっとしていることなんか、へいきなのです。
 穴をあけたおかげで、息はらくにできます。また、その穴から、そとの物音も聞こえるので、たいへん便利です。
 するとまもなく、しずかにドアのひらく音がして、なにものかが、しのび足で部屋の中へはいってきました。
 そして、かすかな足音が、すぐそばに近づいたかとおもうと、ポケット小僧のからだが、ぐらッとひっくりかえりました。だれかが、かばんを持ちあげたのです。
「おっそろしく、重いかばんだな。」
 そんなひとりごとが聞こえました。ポケット小僧は、うたがわれやしないかと、びくびくしていましたが、それは四十面相の部下のものらしく、かばんの中に、なにがはいっているかもよく知らないのでしょう。べつにうたがいもせず、そのまま、えっちら、おっちら、かばんをどこかへはこんでいきます。
 やがて、建物のそとへでたようです。五十いくつのきりの穴から、つめたい風が、はいってきました。
 そして、また五分ほども歩いたと思うころ、
「おい、持ってきたよ。あけてくんな。」
というささやき声がして、なにかドアのひらくような音が聞こえ、かばんは、ふわッと(ちゅう)に浮いて、どっかりと下におろされました。
「ああ、わかったぞ。ここは自動車の中だな。ふふん、うまくいったわい。この自動車は、きっと四十面相のすみ家へいくにちがいない。」
 ポケット小僧は、まるめたからだのいたみもわすれて、にやりと笑うのでした。
 すぐに出発するのかと思うと、そうではなくて、自動車はすこしも動きません。そのまま、三十分ほどもすぎました。その三十分が、ポケット小僧には、二、三時間にも思われたほどです。
 かれは知りませんでしたが、ちょうどそのころ、にせ警官隊が、にせ総監の四十面相をとりかこんで大さわぎをやっていたのです。そして、うまく警視庁の裏門から逃げだしたのです。
 やがて、自動車のドアの音がして、だれかふたりほど中へはいってきたようです。
「出発! フルスピードだ!」
 強い声が、聞こえました。
「かしら、うまくいったようですね。で、ゆくさきは?」
「きめんじょうだ。」
 いきなり、自動車が走りだしました。それからは、もうだれも、ものをいいません。
 きめんじょうというところへ行くらしいのですが、ポケット小僧には、そのいみがわからないのです。きめんじょうなんて、へんな名の町は聞いたこともありません。
 高級の自動車らしく、エンジンの音は、ごくわずかです。しかし、いくら高級車でも、道がわるいので、ときどきおそろしくゆれます。やがて三十分も走りつづけると、車のゆれかたが、きゅうにはげしくなってきました。アスファルトのしいてないいなか道にさしかかったのでしょう。
「おやおや、ずいぶん遠くまで行くんだな。」
 ポケット小僧は、心の中でおどろいています。だんだんからだのいたみが、ひどくなってきました。いいかげんにおろしてくれないと、がまんができなくなるかもしれないと思いました。
 およそ一時間も走ったころ、やっと車がとまりました。やれやれ助かったと思っていますと、かばんは、いちど車からおろされたことはおろされたのですが、こんどはまた、べつの乗りものにつみこまれたらしいのです。
「おや、こんどは、貨物列車かもしれないぞ。汽車で、十時間もはこばれるのだったら、たいへんだ。からだがいたいだけじゃない。だいいち腹がへって、がまんできないかもしれないぞ。」
 ポケット小僧は、うんざりしてため息をつきました。
 すると、そのとき、ぶるるるん、ぶるるるん、ぶるるるるる……という音が、かすかに聞こえ、スウッとからだが浮きあがるような気がしました。エレベーターに乗っているような感じです。
「アッ、わかった。ヘリコプターだ。四十面相はヘリコプターを持っているそうだから、きっとそのヘリコプターだ。だが、ヘリコプターで、いったいどこへ行くんだろう。」
 ポケット小僧は、なんだかこころぼそくなってきました。
「先生、ゆくさきはきめんじょうですね。」
「うん、警視庁と明智のやつを、アッといわせてやったから、一週間ばかりやすむつもりだ。きめんじょうは、いいからな。」
「きめんじょうのかくれ家は、世間はまだちっとも知らないのですね。」
「うん、知るはずがない。だが、おれは、きめんじょうということばを、すこしばらまいてやろうかと思うんだ。いかにも恐ろしげな名まえだからね。世間のやつはきみわるがるだろうて。名まえだけわかって、それがどこにあるかは、ぜったいにわからない神秘(しんぴ)のなぞというやつだよ。ウフフフフ……。」
 ことばのようすでは、四十面相とその部下が話しているように思われます。
 ポケット小僧は漢字をすこししか知りませんので、きめんじょうと聞いてもなんのことだかわかりませんが、もっと漢字を知っている人なら、すぐに想像できるはずです。
 きめんじょう……鬼面城……奇面城。あてはまる字といっては、まずこのふたつです。どちらにしても、恐ろしい名まえです。いったい、その鬼面城、または奇面城というのは、どこにあるのでしょう。そして、それはどんなに奇怪なお城なのでしょう。
 ポケット小僧には、そこまではわかりませんでしたが、いまの話の「恐ろしげな名まえ」ということばで、いよいよきみがわるくなってきました。きめんじょうへつれていかれて、どんなめにあわされるのかと思うと、さすがだいたんなポケット小僧も、からだが、ゾウッと寒くなってくるのでした。
 ヘリコプターは一時間ちかくも飛んで、やっとどこかへ着陸しました。
 ドアのひらく音。人のおりるけはい。そして、かばんは持ちあげられ、どこかへはこんでいかれます。
 どうも、ひどくさびしい場所のようです。空気がつめたいらしく、かばんの中にいても、おそろしく寒いのです。
 それから、長いあいだぐるぐる回り歩いているようでしたが、やがてかばんは、どこかへおろされました。
 どうも、ふつうの家の中へ持ちこまれたような感じがしません。といって、空気がすこしも動かないのをみると、原っぱでもありません。なんだか、ひどくうすきみのわるい場所です。
 いまにも、かばんのふたをあけられるかと、びくびくしていましたが、部下の男はかばんをおくと、そのままどこかへたちさったらしく、あたりは、墓場のようにしずかになってしまいました。
 しばらくがまんしていましたが、いくら待ってもだれも近づいてくるようすがないので、ポケット小僧は、ポケットからナイフをとりだして、かばんの皮をきりひらき、そこから手をだしてとめがねをはずし、そっとふたをひらいてみました。
 まっ暗です。地獄のようにまっ暗で、しいんとしずまりかえった、ひえびえとしたつめたい場所です。いったいここはどこなのでしょう?

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