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透明怪人-空气人

时间: 2021-11-10    进入日语论坛
核心提示:空気男 紳士はことばをつづけました。「あの化けもののことを、きみたちはまだ知らないだろうね。ぼくは新聞記者だから、よく知
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空気男


 紳士はことばをつづけました。
「あの化けもののことを、きみたちはまだ知らないだろうね。ぼくは新聞記者だから、よく知っているんだよ。ぼくは東洋新聞の記者なんだよ。このあいだから、あいつをつけているんだ。しかし、あいつは空気みたいに目に見えないやつだから、いつも、うまくにげられてしまうんだよ。」
「ふしぎだなあ、あいつ、空気みたいに、すきとおっているんだね。それで、やっぱり人間なの?」
「人間なんだよ。しかも、大どろぼうなんだよ。」
 新聞記者は、そう言って、ちょっと考えていましたが、ふたりの少年の顔を見くらべながら、
「きみたち、この近くなのかい。ウン、そんなら、晩ごはんまでには、まだすこし時間があるだろうから、どこかそのへんで、お茶をのみながら、あいつのことを話してあげよう。きみたちは、あのぶきみなやつを、勇敢に尾行してきたんだからね。この話をきく資格があるよ。」
 少年たちは、むろん、それにさんせいしましたので、三人は原っぱから町のほうに出て、一けんの小さい喫茶店にはいりました。新聞記者はコーヒーとケーキを命じ、それを少年たちにすすめながら、つぎのような話をはじめました。

 ぼくが、あのふしぎな怪物に気づいたのは、いまから十日ほどまえのことだ。銀座をあるいているとね、いきなりドーンと、ぼくのからだに、ぶっつかったやつがある。ぼくはヨロヨロとして、「おい、気をつけたまえ。」とどなったんだが、見るとあいてがいないんだよ。たしかに人間のからだが、ぼくにぶっつかったんだ。しかし、その人間がどこにもいないんだよ。
 すると、ぼくのすぐうしろから、あるいていた、ふたりづれの女の人が、「あらッ。」と言って、何かにつきとばされたように、よろめくのが見えた。しかし、べつに、つきとばした人間のすがたは、見えないのだよ。
 ぼくは「へんだな。」と思って、立ちどまったまま、見ていると、女の人のうしろで、ひとりの若い男が、またヨロヨロとした。そして、「やい、気をつけろ。」とどなったが、だれもぶっつかった人間がいないので、ふしぎそうに、あたりを見まわしている。
「まあ、きみがわるい。あれ、なんだったのでしょう。」
 女の人はふたりとも、まっさおな顔になっていた。
「たしかに人間がぶっつかった。だが、なんにも見えなかった。へんだなあ。」
 若い男も立ちどまって、キョロキョロしている。
 そのとき、目に見えないやつにつきあたられた人は、ほかにも、たくさんあった。みんなが立ちどまって、「ふしぎだ。」「ふしぎだ。」と言いあった。どうして、そんなへんなことがおこったのか、だれにもわからなかった。しばらく、ガヤガヤ言いあったあとで、そのままわかれてしまった。
 ぼくはふと、「透明人間」という小説のことを思いだした。イギリスのウェルズという人が書いた有名な小説だよ。ある学者が人間のからだのすきとおる薬を発明した。それをのむと、からだが、まったく見えなくなってしまうのだよ。今、ぼくたちにぶっつかったのは、その「透明人間」みたいなやつじゃないかと思うと、ぼくはなんだかゾーッとした。
 しかし、「透明人間」は小説なんだ。そんなつごうのいい薬ができるはずはない。目に見えない人間なんて、あるはずがない。ぼくは、自分のみょうな考えをうちけして、そのままうちに帰った。
 ところが、ところがだよ。それから二―三日してぼくはまた、じつにふしぎな出来事にぶっつかった。そして、やっぱり、この東京に「透明人間」がいるんだと、考えないではいられなくなった。
 きみたち、有楽町(ゆうらくちょう)のガードの下に、クツみがきがならんでいるのを知ってるだろう。あのたくさんならんでいるところから、ずっとはなれて、ひとりぼっちで店を出している、十三―四歳の子どものクツみがきがあった。その夕方、ぼくは町かどに立って、友だちをまちあわせていた。そして、見るともなく、少年クツみがきのほうを、見ていたんだよ。
 こわい顔の不良青年みたいなやつが、クツをみがかせていた。クツみがきのかわいい少年は、いっしょうけんめいにみがいて、青年のクツをピカピカに光らせた。すると青年はポケットに手を入れて、「こまかいのがないから、おつりをくれ。」と言っているようだった。少年は手もとにおいてあったボール箱のふたをとって、その中におしこんであるお金を、かぞえはじめた。箱の中には百円さつや十円だまが、びっくりするほど、いっぱいにつまっていた。
 青年は横目でそのボール箱を見ていたが、いきなり手をのばすと、それをひったくって、中のお金をわしづかみにして、ポケットにおしこんだ。そして、からになったボール箱をポイと地面にほうりだすと、そのままたちさろうとした。少年は泣きそうな顔になって、青年にすがりついていった。だが、力の強い不良青年にかなうはずがない。つきとばされて、しりもちをつき、べそをかいていた。
 そのときだよ。そのとき、じつにふしぎなことがおこった。不良青年が、何かにぶっつかったようによろめいて、「アッ。」と声をたてた。そして、顔をまっかにして、ひとりずもうをはじめた。あいてもいないのに、ひとりで大格闘をやりだしたんだよ。
 ぼくは、この青年は気ちがいになったのかと思った。「うぬ。」「こんちくしょう。」などと、うなりながら、ひとりで、めちゃくちゃに、あばれているんだからね。ふたり、三人と人びとが立ちはじめた。みんなびっくりして、ながめている。だれも青年をとりしずめようとするものはない。だが、大きな人だかりができるまえに、ひとりずもうの勝負がついてしまった。青年はいやというほど、地面に投げつけられて、のびてしまったんだよ。
 だれに、投げつけられたかって? 目に見えないあいてにだよ。空気のようなやつにだよ。わかったかい。不良青年は透明人間と格闘していたんだ。
 青年がのびてしまうとね、ズボンのポケットのへんが、モヤモヤと動いたかと思うと、そこにおしこんであった、お金のかたまりが、ひとりで、とびだして、スーッと宙を浮いていった。そして、少年クツみがきのボール箱の中へ、もとのとおりに、はいってしまった。それから、その箱がまた、ひとりで動きだして、しりもちをついている少年のひざの上に、チョコンとのせられた。
 ぼくはそのとき、たしかに見た。ボーッともやのように、人間のかたちをしたものが、動いているのを見た。そのもやのようなやつが、青年のポケットから、お金をとりもどして、少年のボール箱の中へいれてやったのだ。青年を投げたおしたのも、むろん、そのもやのようなやつだ。
 空気男――ぼくはこの透明人間を空気男と呼んでいるんだがね、その空気男は、大どろぼうだけれど、いっぽうでは、こういういいこともするんだね。ふざけているんだよ。そして、世間の人をアッと言わせて、よろこんでいるんだね。

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