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透明怪人-百货大楼之怪

时间: 2021-11-10    进入日语论坛
核心提示:デパートの怪 新聞記者がくれた名刺には、「東洋新聞社、社会部、黒川勝一(くろかわかついち)」と印刷してありました。黒川記者
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デパートの怪


 新聞記者がくれた名刺には、「東洋新聞社、社会部、黒川勝一(くろかわかついち)」と印刷してありました。黒川記者は、少年たちにわかれるとき、ふたりの住所姓名を聞いて、手帳に書きとめました。
 そのよく日の東洋新聞は、黒川記者がいったとおり、社会面の大部分が、きのうの記事でうずめられ、島田、木下二少年の写真が大きくのり、ろう仮面の尾行から、洋館のかべの中で、仮面をぬぎ、服をぬいで、消えてしまうまでのことが、地図までいれて、くわしく報ぜられました。
 その日は、東京じゅう、どこへ行っても、人の集まるところでは、おそろしい空気男のうわさで、もちきりでした。科学では説明のできないことが、おこったのです。まったく目に見えない透明な人間が、東京のどこかに、かくれているのです。あいては空気のようなやつですから、少しもゆだんができません。そんなふうに人が集まって、うわさをしているすぐそばに、あの空気男が、ニヤニヤ笑いながら、立ち聞きしているかもしれないのです。
 東京じゅうの宝石商が、ガラスだなやショーウィンドーに錠まえをとりつけました。美術店や骨董屋のショーウィンドーには、高価な品物が見えなくなりました。みんなどこかへ、かくしてしまったのです。
 いちばんこまったのは、銀行でした。目に見えないやつが、いつはいってくるか、わからないからです。そして、現金出納係(すいとうがかり)の机の上においてある、さつたばを、スーッと持っていかれるかもしれないからです。千円さつで百万円ぐらいは、片手で持てるほどの大きさです。空気男が両手でかかえたら、何千万円だって、持ってゆけるのです。
 しかし、あの新聞記事が出てから、一週間ほどは、何ごともなく、すぎさりました。人々は「あれはうそだったのじゃないか。」と考えるようになりました。「いくらなんでも、空気のようにすきとおった人間なんて、あるはずがない。東洋新聞の記者や、あのふたりの少年は、キツネにでも、化かされたのだろう。そうでなければ、新聞の読者をふやすために、でたらめを書いたのだろう。」と考えるようになりました。
 ところが、そうではなかったのです。空気男は、こんどは、だれも思いもよらないような場所へ、ヒョッコリすがたをあらわしました。
 それは日曜日のことでした。木下少年は、おかあさんといっしょに、日本橋のデパートへ出かけました。おかあさんが洋服地をお買いになる、おともでした。木下君は洋服地なんかおもしろくなかったけれど、おかあさんを書籍部へひっぱっていって、本をねだる下心だったのです。
 はやくうちを出たので、木下君たちがデパートについたときには、正面の大戸がひらかれて、まもなくでした。ひろい店内には、まだ人影がまばらにチラホラしているばかりです。エレベーターにも、らくらくとのれました。ふたりは三階でおりて、洋服地売場へいそぎました。
 いろいろな色のラシャが、滝のように、かけならべてある陳列台のなかほどに、まるい舞台のようなものが、できていて、その上に、さまざまの洋服をきた、男や女や子どもの人形が、うつくしくならんでいました。その人形たちは、鼻が高くて、目が大きくて、まるで西洋人のようでしたが、はだの色はキツネ色で、やっぱり日本人にちがいないのです。
 人形の台のまわりには、まだ五―六人の客がいるばかりでした。木下君とおかあさんとは、人形のきている服の色やかたちを見ながら、まるい台のまわりを、ゆっくりあるいてゆきました。
 木下少年は、洋服を見たって、ちっともおもしろくないので、人形の顔ばかり、ながめていましたが、すると、ハッとするようなものに、気づきました。人形の中に、一つだけ顔のちがったのがあるのです。ほかのはみな、キツネ色をした日本人の顔なのに、その一つだけは、まっ白なはだに、うすく赤みのさした、西洋人の男の顔だったのです。しかも、それは、ほかの人形とはちがって、すきとおるような、ろうでできていたのです。
 木下君は、思わず立ちどまって、じっとその人形をみつめました。それは形のよい燕尾服(えんびふく)を着ていました。服装はまったくちがいます。しかし、あの顔は、おお、そっくりです。骨董屋のショーウィンドーをのぞいていた、あのろう人形と、そっくりなのです。
 木下君の両方の目が、まんまるにひらいて、いまにも、まぶたからとびだしそうになりました。
 背広を着たひとりの店員が、木下少年のそばを通りかかりました。少年は思わずその人のそでをつかみました。店員は立ちどまって、少年の顔を見ましたが、そのまんまるな目に気づくと、ギョッとして、キョロキョロと人形のほうをながめました。
「おじさん、あの西洋人のようなろう人形ね。どうして目がないの? 目がなくて、黒い穴があいているの?」
 木下君が、ささやくように言いました。店員はその人形を見ると、アッと、小さいさけび声をたてました。こんな目のないろう人形は、きのうまで、そこにいなかったからです。このデパートには、ほんとうのろう人形は、一つもないはずだったからです。
 その店員は、むこうにいたもうひとりの店員を、手まねきしました。そして、ふたりは、何か小声で話しあっていましたが、やがて、ひとりが舞台のような台の上にのぼって、人形のほうに、近づこうとしました。しかし、店員は、そのまま一歩も進むことができないで、まるで自分が人形にでもなったように、たちすくんでしまいました。燕尾服をきたろう人形が、身うごきをしたからです。
 アッというさけび声、ガタンという物音、女の人形が二つ、大きな音をたてて、たおれました。ろう人形がかけだしたのです。そして、そのみちに立ちふさがっていた人形が、たおされたのです。
 ろう人形は、おそろしいいきおいで、台の上から、とびおりると、燕尾服のしっぽを、ヒラヒラとひるがえして、木下君の前を、かけぬけ、むこうへ走っていきます。そこにあつまっていた客のあいだから、ワーッというような声が、おこりました。やっと気をとりなおしたふたりの店員は、何かわけのわからぬ、さけび声をたてて、人形のあとを追いました。
 怪物は通路を右に左にまがりながら、ひじょうな早さで走っていきます。だれもとめるものはありません。ろう人形の顔を一目みると、あまりのおそろしさに、みな逃げだしてしまうのです。
 怪物は、きちがいのように、走りに走って、店員専用の、せまい階段に、すがたを消しました。追手の店員の数は、七―八人にふえています。店員たちは、せまい階段を、おしあうようにして、口々に、何かわめきながら、かけおりていきました。
 二階、一階、地階と、三つの階段を、すべるように、かけくだって、怪物は、一本みちの廊下を、倉庫のほうへ走っていきます。行くてに一つのドアがありました。それをひらくほかはありません。うしろには、おおぜいの店員がつめかけているのです。怪物は、いきなり、そのドアをひらいて、中にとびこんでいきました。
「しめたッ。袋のねずみだ。」
 まっさきに走っていた、力の強そうな店員が、さけびました。そして、ドアにとびつくと、バタンとそれをしめて、むこうから、おしても、ひらかないように、もたれかかりました。
「もうだいじょうぶだ。入り口はここ一つしかないし、窓にはみんな、鉄ごうしがはまっている、あいつは袋のねずみだ。だれか、早く警察へ電話をかけてくれたまえ。」
「よし、ぼくが電話をかけてくる。逃がすんじゃないぜ。」
 ひとりの店員がかけだしていきました。残った人々は、ドアの前にあつまって、げんじゅうな警戒線をしきました。
 ろう仮面の怪物は、ふかくにも、出口のない、ゆきどまりの部屋へ、とびこんでしまったのです。いくら空気男でも、窓の鉄ごうしのすきまから、逃げだすことはできません。幽霊ではないからです。目には見えなくても、からだはあるからです。

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