日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页

透明怪人-珍珠塔

时间: 2021-11-13    进入日语论坛
核心提示:真珠塔 そのあくる日、島田君は、学校で木下君にあうと、すぐに、ゆうべのできごとを話しました。「いよいよ、へんだねえ。あい
(单词翻译:双击或拖选)

真珠塔


 そのあくる日、島田君は、学校で木下君にあうと、すぐに、ゆうべのできごとを話しました。
「いよいよ、へんだねえ。あいつは、きっと、きみのうちを、ねらっているんだよ。」
「ぼくを、ひどいめにあわせようというのかい。」
「いや、それなら、ぼくのほうを、さきにねらうよ。ぼくのおかげで、あいつ、デパートでひどいめにあったんだからね。そうじゃないよ。きみのうちには、きっと、あいつのほしいものがあるんだよ。」
「ウン、そう言えば、おとうさんも、なんだかそんなことを言ってたよ。しかし、ぼくには教えてくれないんだ。うちには、なんだか、あいつにねらわれるようなものがあるらしいんだけど。」
「それじゃ、きっと、そうなんだよ。ねえ、きみ、このことを黒川さんに知らせようじゃないか。東洋新聞の黒川さんさ。あの人なら、何かいいことを考えつくかもしれないぜ。」
「ああ、そうだ。それがいい。」
 そこで、ふたりは先生にわけを話して、学校の電話で黒川記者を呼びだし、てみじかにいままでの出来事を知らせました。
「それじゃ、一度、きみのうちへおじゃますることにしよう。きょう夕方、おとうさんが帰られるころにね。そして、くわしい話を聞こう。」
 黒川記者は、島田君のうちへの道順をたしかめて、電話をきりました。
 その夕方、黒川記者はやくそくどおり、島田君のうちをたずねてきました。ちょうどおとうさんも帰られたところだったので、さっそく洋館の応接間にとおして、おとうさんと一郎君とで、かわるがわる、おとといからの出来事を話しました。
「フーン、やっぱり影をあらわしたのですね。影といえば、ぼくも、あいつの影には、ひどいめにあいましたよ。」
 黒川記者は、いまいましそうに、つぎのような話をしました。
「二―三日まえのことです。天気のいい日でした。社の用事で、港区の屋敷町をあるいていた時です。両がわとも長いコンクリート塀のつづいた、さびしい場所でした。もう夕方のことで、赤い日ざしが、右がわのコンクリート塀を、いっぱいに照らして、あるいているぼくの影が、そこにうつっているのです。
 ところが、ふと気がつくと、その影がいつのまにか、二つになっているじゃありませんか。オヤッと思って、あたりを見まわしても、だれもいないのです。人間はぼくひとり、影だけが二つあるのです。乱視というのは、物が二重になって見える病気ですが、まさか、ぼくがとつぜん乱視になるわけもありません。乱視でも、よほどひどくならなければ、影が二つに見えるなんてことはないのです。
 ところが、一方の影は、よく見ると、帽子もかぶっていないし、服も着ていない。はだからしいのですね。だから、むろんぼくの影じゃありません。しかも、その影は、ぼくの影にくらべると、なんだかボーッと、かすんだように見える。スリガラスを、かべにうつしたような感じです。
 ぼくはもういちど、あたりを見まわしました。やっぱり、だれもいません。そのくせ、影だけは、ぼくの影を追うように、あるいているのです。ぼくはこわくなってきて、足をはやめました。すると、あいても足をはやめる。立ちどまると、あいても、立ちどまる。
 ぼくは思いきって、『だれだッ。』と、どなりつけてやりました。すると、どこからともなく、エヘヘヘヘヘヘヘヘと言う、いやーな笑い声がきこえてくるのです。ゾッとするような笑い声です。
 ぼくが立ちどまっていると、そいつの影が、ぼくの正面にまわりました。つまり、影と影とが向きあったのです。そして、あいての影は、いきなり両手をひろげて、ぼくの影につかみかかってきました。いや、影ばかりではありません。ぼくのからだに、目に見えない手が、さわったのです。
 じつにいやーな気持ちでした。ぼくはゾッとして、飛びのきました。そして、目に見えないやつを、力いっぱい、つきとばしておいて、死にものぐるいで、逃げだしたのです。もう、むがむちゅうでした。二百メートルもはしりつづけて、人通りの多い町までくると、やっと、ぼくの影は一つだけになりました。目に見えないやつは、どっかへ行ってしまったのです。
 空気男は、ぼくをにくんでいるんですよ。しかし、いたずらをするだけです。ピストルや短刀は持っていないようです。きみが悪いけれど、どこかあいきょうのあるやつです。島田君にも、いたずらをしているだけかもしれませんよ。」
「そうだといいんですが、どうも、それだけじゃなさそうです。」
 島田君のおとうさんは、心配らしく、声をひくめて言いました。
「すると、何か心あたりがあるんですか。」
「たった一つあるんです。わたしも、戦争後、いろいろなものを、なくしてしまいましたが、わたしのうちのたからと言ってもいいものが、一つだけ、たいせつに保存してあるのです。」
「フーン、あいつは、それをねらっていると、おっしゃるのですね。で、それは、いったい、どんなものです。」
「あなたは真珠塔というものを、ごぞんじですか。高さ二十センチぐらいの五重の塔で、それに真珠の玉がビッシリとはりつめてあるのです。何百ともしれぬ最上の真珠でできた、宝玉の塔なのです。この真珠塔は大正時代の大博覧会に、三重県の真珠王が出品したもので、なくなったわたしの父がそれを買いとったのです。そのころのねだんで十万円でした。今で言えば三千万円に近いものです。あの目に見えないやつは、宝石商から首飾りをぬすんだそうですが、あの首飾りの何十倍という、ねうちのあるものです。あいつは、それを知って、つけねらっているのじゃないかと思うのですよ。」
「その真珠塔はどこにおいてあるのですか。」
「だれも知らない場所にかくしてあります。わたしが真珠塔を持っていることは、世間でも知っているでしょうが、それがどこにあるかは、わたしと家内のほかは、だれも知りません。一郎も知らないのです。」
「このおうちの中ですか。」
「そうです。あなたには、いろいろ、お力をかりなければならないので、うちあけて、お話しますが、じつは、防空ごうを改造した地下室の中の金庫に入れてあるのです。」
「防空ごうですって? そんなところにおいては、あぶないじゃありませんか。」
「ところが、そうではないのです。防空ごうと言っても、厚いコンクリートでできた、がんじょうなものです。戦争中は庭からも、はいれるようになっていましたが、今では、その入り口をコンクリートでふさいで土をかぶせてしまいました。ですから、入り口はたった一つ、わたしの洋室の書斎にあるだけです。
 書斎のゆかが、あげぶたになっているのです。それも、じゅうたんの下ですから、わたしでなければ、どこにあげぶたがあるかさえ、わかりません。そのあげぶたをあけて、ゆかの下にはいると、そこにもう一つ厚い鉄のとびらがあります。それはわたしの持っている特別のかぎでなければ、ひらきません。そこをはいって、だんだんをおりると、四畳ほどのコンクリートの部屋があり、そのまんなかに、金庫がすえてあるのです。金庫にも特別のかぎがいります。そのうえ、暗号錠ですから、かぎがあっても、暗号を知らなければ、ひらくことができないのです。
 あれがねらわれているなと思ったとき、銀行の金庫にあずけることも考えてみました。むろん、銀行のほうが安全にはちがいないのです。しかし、銀行へ持ってゆく道がしんぱいです。あいては目に見えないやつですから、少しもゆだんがなりません。やっぱり、このまま地下室においたほうがいいように思うのです。」
「なるほど、それだけ、げんじゅうになっていれば、だいじょうぶでしょう。あなたの書斎のあげぶたを、とうぶんひらかないことですね。あいつは、目には見えないけれども、幽霊とはちがって、からだがあるのですから、入り口がしまっていれば、はいることはできません。しかし、あいつはなかなか知恵のあるやつですから、どんな計略をめぐらすかしれませんよ。うっかり、あいつの手にのらないことが、たいせつですね。」
 話がここまで進んだとき、どこかでコトッと、かすかな音がしました。黒川記者は、ハッとしたようにおそろしい顔つきになって、いきなりイスから立ちあがって、ひらいたドアのほうへ、飛びついてゆきました。まるで気でもちがったようです。しかし、かれが入り口のところへかけつけたときには、ドアがひとりで動くように、大きな音をたてて、しまってしまいました。
 黒川記者はそのとき、「ちくしょうッ。」とさけんで、まるで、だれかに、つきとばされたように、ヨロヨロとあとじさりましたが、なぜかまだ両手を前にだしたまま、何かをつかもうとしています。
 見ると、かれの目の前の空間を、一枚の白い紙が、ヒラヒラと舞いおちていました。黒川記者はそれがゆかにおちるまでに、両手でつかみとって、じっと見ていましたが、また「ちくしょう。」とつぶやきながら、テーブルのところにたちもどり、島田君のおとうさんの前に、その紙きれをおきました。それには、鉛筆の大きな字で、こう書いてありました。

轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

热门TAG: