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透明怪人-地下室

时间: 2021-11-13    进入日语论坛
核心提示:地下室 島田少年と、島田君のおとうさんと、黒川記者は、その紙きれの、おそろしい文句を読んで、ただ、青ざめた顔を見あわせる
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地下室


 島田少年と、島田君のおとうさんと、黒川記者は、その紙きれの、おそろしい文句を読んで、ただ、青ざめた顔を見あわせるばかりでした。もう日がくれて、室内はまっくらになっていました。三人は電灯をつけることさえわすれていたのです。
「アッ。」
 とつぜん、島田少年がおとうさんのうでに、すがりつきました。目の玉が、まぶたから飛びださんばかりに、まんまるにひらいて、部屋の一方をみつめています。おとうさんと黒川記者は、おどろいて、そのほうをながめました。
 島田君がみつめていたのは、しめきったガラス窓でした。それは西洋ふうのおしあげ窓で、スリガラスがはめてあるのですが、そのスリガラスに、ボンヤリと人の影がうつっていました。実物の二倍ほどもある大きな横顔が、口を三日月がたにひらいています。
「エヘヘヘヘ……。」
 あの、しわがれた、身の毛もよだつ笑い声が、かすかにきこえてきました。笑うたびに、影のくちびるが、ヘラヘラと動くのです。ふつうの人間の影ではありません。透明怪人特有の、うすぼんやりした、幽霊のような影です。
 黒川記者は、さすがに勇敢でした。それを見ると、「うぬ。」とさけびざま、飛鳥(ひちょう)のような早さで、窓に飛びついていきました。そして、おしあげ戸に手をかけると、いきなり、ガラッとひらきました。しかし、窓のそとには何者のすがたも見えません。見えるわけがないのです。
「エヘヘ……。」
 あの、いやないやな笑い声だけが、くらやみの庭のどこからかただよってきました。やがて、その笑い声がとだえ、しばらくは、シーンとしずまりかえっていましたが、とつぜん、
「あすの、晩の、九時をわすれるな。」と言う、しわがれ声が、天からふってくるように聞こえました。透明怪人がはじめてものを言ったのです。なんという、うすきみの悪い声でしょう。まるで外国人が日本語をしゃべっているような、まのびのした、たどたどしいことば、みょうにしわがれた声、それをきくと、室内のふたりのおとなと、ひとりの少年は、魔法にでもかかったようにたちすくんだまま、身うごきもできなくなってしまいました。
「おじさん、早く、早く、窓をしめなくっちゃ。」
 島田少年が黒川記者にささやきました。でないと、透明怪人は窓からはいってくるかもしれないからです。はいってきても、だれにもわからないからです。黒川記者も、なるほどと思ったのか、いそいで窓のガラス戸を、バタンとしめました。すると、またしても、
「エヘヘヘ……。」と言う、あの笑い声が、窓ガラスのそとからきこえ、それが、だんだん、遠ざかっていくように、かすかになり、やがて、もう、きこえなくなりました。
「あいつは地下室の、ひみつの入り口を、知っているのでしょうか。」
 島田君のおとうさんが、青ざめた顔で、しんぱいそうに言いました。
「あなたの書斎のじゅうたんの下に、かくし戸があるのでしたね。あなたは、ちかごろ、そこをひらかれたことがありますか。」
 黒川記者がたずねます。
「つい四―五日まえに、真珠塔がぶじにあるかどうか、しらべるために、地下室にはいりました。月に一度ぐらいは、金庫をひらいて、たしかめてみるのです。」
「フーン、その四―五日まえのときに、あいつが、もし、あなたのあとにくっついて、地下室にはいったとすれば……。」
「エッ、なんですって?」
 島田さんは、ギョッとしたように、黒川記者の顔を、見つめました。言われてみれば、あいては目に見えないやつですから、そういうことが、なかったとも、かぎりません。「あすの九時」ではなくて、そのときに、もうぬすまれてしまったのではないかと思うと、島田さんは、にわかに、しんぱいになってきました。
「しらべてみましょう。あなたも、いっしょに来てください。一郎も来なさい。三人ではいれば、たとえあいつが、しのびこもうとしても、ふせぐのは、わけありません。」
「そうですね。一度、たしかめておくほうが、いいかもしれませんね。」
 そこで、三人はいそいで書斎にはいり、まず、ドアに中からかぎをかけ、窓もみな、かけがねで、しまりをしました。こうしておけば、透明怪人は、はいってくることができないからです。
 三人が書斎にはいったときには、怪人はとっくに、先手をうって、書斎の中に、かくれていたかもしれません。しかし、それをふせぐ、てだてがあったのです。
 島田さんは、イスをのけて、ゆかにしいてあるじゅうたんをめくり、ゆか板に手をかけて、グッと持ちあげました。ゆかが四角く切りぬかれ、あげぶたとなっているのです。島田さんは、それをごく少しひらいて、やっと人間が、はいこめるほどの、すきまをつくりました。
「さあ、ふたりは、このすきまから、はいってください。わたしは、あとから、はいって、これをしめます。そうすれば、あいつが、すぐそばにいたとしても、だいじょうぶです。とてもわたしたちに、さわらないで、はいりこむことは、できません。」
 そのとおりにして、三人はゆかの下に、はいりました。あげぶたを、おろすと、まっくらになりましたが、島田さんが、床下にしかけたスイッチをおして、パッと電灯をつけました。見ると、そこは、コンクリートのかべにかこまれた、一メートル四方ほどの、箱のような場所です。足の下もコンクリートで、その一方のすみに、六十センチ四方ほどの、鉄の板があります。それが、深い地下室への入り口なのです。
 箱のような場所は、三人がはいると、いっぱいになってしまって、首をちぢめないと、頭がつかえるほど、せまくて、きゅうくつでした。島田さんは天井のあげぶたに、中から、しまりをしながら、
「どうです。これなら、だいじょうぶでしょう。ここは、わたしたちで、いっぱいなのだから、いくら透明怪人でも、はいるすきがありません。こうしておいて、それから、この足の下の鉄の戸をひらくのです。」
と、とくいらしく言うのでした。そして、鉄の戸をひらき、三人がはいってしまうと、また、下からその戸にかぎをかけました。
 そこは、ひとり、やっと通れるほどの、せまいコンクリートの階段になっていて、それを六段ほどおりると、金庫のまえに出ました。上下四方とも、厚いコンクリートでかこまれた、四畳じきほどの地下室です。むろん、そこの天井にも電灯がついています。
「さあ、ここです。黒川さん、これほど用心しても、あいつはわれわれといっしょに、はいってきたと、思いますか。」
 島田さんが、金庫のかぎをポケットから、とりだしながら、言いました。
「いや、これなら、だいじょうぶ。透明怪人だって、からだはあるのですから、とても、はいれっこありません。もう安心ですよ。」
 黒川記者も、やっと笑い顔になって、答えました。
 島田さんは、金庫のダイヤルを、なんどもまわして、暗号文字をあわせてから、かぎでそのとびらをひらきました。
「アッ、あった。別状ありません。これが真珠塔です。」
 島田さんの顔に、はれやかな笑いが、うかびました。見ると金庫のまんなかに、細長いガラス箱が立っていて、その中に、美しい真珠のつぶでできた、かわいらしい五重の塔が、かがやいていました。
「フーン、これはすばらしい。ぼくは、こんな美しいものを見たのは、はじめてですよ。」
 黒川記者は、思わず、ためいきをついて、言うのでした。
「これでは、あいつが、ねらうのも、むりはありませんね。しかし、もうだいじょうぶです。これからすぐに警察にもとどけ、できるだけのことをして、この宝物をまもりましょう。」
「そうです。警察に知らせなければなりません……。わたしもこれで安心しましたよ。」
 島田さんは、そこで金庫のふたをしめ、かぎをかけて、ダイヤルをグルグルと、まわしました。
 それから三人は、もとの書斎にもどったのですが、地下室から出るときも、さっきと同じ用心ぶかさで、れいの鉄の戸に、げんじゅうにかぎをかけたことは、言うまでもありません。

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