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透明怪人-晚上九点

时间: 2021-11-13    进入日语论坛
核心提示:午後九時 それから、つぎの日の午後九時、あの、怪人が約束した午後九時までには、いろいろのことがあったのですが、それを、く
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午後九時


 それから、つぎの日の午後九時、あの、怪人が約束した午後九時までには、いろいろのことがあったのですが、それを、くわしく書いていては、たいくつですから、ごく、あらましだけを、しるしておきます。
 警察に知らせますと、その夜から、島田君のうちのまわりに警官の見はりがつき、よく日は、警視庁捜査課の係長、中村警部が、島田家を訪問して、おとうさんと話をして帰りましたが、日がくれるころには、中村係長は三人の刑事をつれて、のりこみ、ひとりの刑事には、書斎のかくし戸のところに番をさせ、あとのふたりには、家のそとの見まわりをつづけさせ、係長は地下室の金庫の前にがんばることになりました。
 そのうえに、いよいよ、少年探偵団が活動をはじめることになったのです。透明怪人が島田君のうちをねらっているということは、島田君の学校友だちに知れわたっていたのですが、すると、同じ学校に、少年探偵団員がいて、これを小林(こばやし)団長に知らせました。小林団長というのは、名探偵明智小五郎(あけちこごろう)の、有名な少年助手なのです。この小林少年を団長とする、少年探偵団のことは、『少年探偵団』や『妖怪博士』の本をお読みになった読者諸君は、よくごぞんじのはずです。
 小林団長はそれを聞くと、島田君や木下君にあって、うちあわせたうえ、島田君のおうちの近くに住んでいる団員五人をえらび、小林少年がその五人をひきつれて、透明怪人の見はり役をつとめることにしました。
 見はりといっても、あいては目に見えない怪物ですから、ただ見ていただけでは、なんにもなりません。そこで、小林団長は、ひとつの妙案をかんがえつきました。それは、自分も、五人の団員も、てんでに懐中電灯を持ち、日がくれたら、ふたりずつ三組にわかれて、島田君のおうちのまわりや、庭の中を、懐中電灯で照らしながら、あるきまわるということでした。
 なぜそんなことをするのでしょう。透明怪人は、目には見えないけれど、影はあるからです。懐中電灯を、あちこちとふり照らしているうちに、その光の中に、みょうな影が、あらわれたら、そこに怪人がいるしょうこです。その影で、けんとうをつけておいて、いきなり飛びかかっていこうというわけです。
 小林君がこのことを、中村係長に話しますと、係長も感心して、自分の部下の刑事たちにも、同じやりかたを、すすめたほどでした。
 そこで、島田邸のまわりは、夜にはいると、懐中電灯の光があちこちに、チラチラして、まるで、ほたるが飛びちがうような、美しくも、ぶきみな光景となりました。
 さて、こちらは地下室です。時間は九時十分まえ、金庫のまわりに四つのイスがならび、もう一時間もまえから、島田少年、島田君のおとうさん、黒川記者、中村捜査係長の四人が、わき目もふらず、金庫のとびらを、見つめているのでした。
 四人がここへはいるときには、まえの晩と同じように、注意に注意をして、どうしても、怪人のはいりこむすきのないようにしました。ですから、この地下室には、怪人はぜったいにいないはずです。また、入り口の二重の戸には、中からかぎがかけてあるので、怪人は、あとから、はいってくることも、できないのです。
「わたしは、あいつに、いちどもおめにかかっていないせいか、みなさんが、そんなに、こわがっておられるのが、ちょっと、ふにおちないほどですよ。これほど用心をすれば、もう、だいじょうぶでしょう。九時にやってくるなんて、人さわがせなおどしもんくにすぎませんよ。」
 背広すがたの中村係長が、たばこの箱を、ポケットからとりだしながら、言いました。すると、黒川記者が、
「いや、あいつは魔物みたいなやつです。けっして、ゆだんはできません。いまに、われわれの見ている前で、金庫の戸が、ひとりでに、スーッとひらくようなことが、おこらないともかぎりません。」
「ハハハ……、それはだいじょうぶですよ。小林君がうまいことを、かんがえた。あいつには影がある。影さえ気をつけていればいいのです。この地下室には電灯がついている。もし、あいつが、はいってくれば、どこかに影がうつるはずですからね。」
「ところが、係長さん、あいつには影のないときもあるのですよ。いつか、あいつがクツみがきの少年をたすけたときには、ぼくはその場にいて、見たのですが、不良青年と、とっくみあっている、あいつの影は少しもうつらなかった。地面には不良青年が、ひとりで、もがいている影が、うつっていたばかりですよ。あいつは、だれかを、こわがらせたいときだけ、影をうつすという、魔法をこころえているのじゃないでしょうか。」
「ハハハ……、黒川君は、どうも、あいつを尊敬しているような、あんばいだね。」
 中村係長はそう言って、笑いましたが、その笑い声がまだ消えないうちに、どこかで、コトンと、みょうな音がしました。
 四人はハッとなって、顔を見あわせました。そして、室内はしばらく、シーンとしずまりかえっていましたが、そのとき、島田少年が、おとうさんの腕時計をのぞきこんで、思わず口ばしるのでした。
「おとうさん、あと一分で、九時ですよ。」
 係長も記者も、それぞれ、自分の時計を見ました。たしかに九時一分まえです。三人とも、まえもってラジオに時計をあわせておいたのです。
 だれも口をききません。係長も、今はしんけんな顔つきです。三つの時計の秒をきざむ音が、ハッキリきこえるほどの、しずかさでした。十秒、二十秒、またたくまに、時がたってゆきます。八つの目が、金庫のとびらを、くいいるように、にらみつけていました。
 島田少年は、そうして、じっとみつめていると、何かもうろうとした、人のすがたが、金庫のそばに立っているように感じました。
「オヤッ。」と思って、見なおすと、もう、何も見えません。気のせいだったのでしょうか。それとも……。
 そのとき、またしても、どこかで、コトッと、かすかな音がしました。金庫をみつめている四人の顔が青ざめてきました。島田君は、「ワッ。」とさけんで、いきなり、逃げだしたいのを、やっとのことで、ふみこたえているのです。いまにも、心臓が、のどのところへ、飛びあがってくるのではないかと思うような、なんとも言えない、へんな気持ちでした。
「ワハハハ……。」
 とつぜん、とほうもない笑い声が、部屋じゅうに、ひびきわたりました。中村係長がイスから立ちあがって、笑っているのです。
「諸君、九時はすぎた。もう二十秒で、一分すぎになる。そう言ってるまに、ホラ、九時一分になった。黒川君どうです。あいつはやくそくをまもらなかった。金庫には別状ない。あの紙きれは、こけおどしにすぎなかったのです。」
 係長は、さもゆかいそうに、言いはなちました。
「まってください。それでは、二度もきこえた、あのへんな音は、なんだったのでしょう。島田さん、ねんのために、金庫の中をしらべてごらんなさい。」
 黒川記者に言われるまでもなく、島田君のおとうさんは、立ちあがって、金庫に近づきました。そして、ダイヤルをまわし、かぎを入れて、とびらをひらいたのです。
 ひらいて、一目、なかをのぞいたかと思うと、島田さんは、「アッ。」と言ったまま、ぼう立ちになってしまいました。
「どうしたんです。」
 係長と記者とが、そのそばへ、かけよりました。
「アッ、真珠塔がない。」
 島田少年が、おとうさんにすがりついて、さけびました。金庫の中は、からっぽのガラス箱が、のこっているばかりでした。すると、そのとき、
「エヘヘヘ……。」あのいやな、いやな笑い声が、どこからともなく、聞こえてきたではありませんか。むろん地下室の中です。どこかに、あいつがいるのです。
 四人は、気でもちがったように、キョロキョロと、あたりを見まわしました。しかし、どこにも、人の影さえありません。
「わかった。あいつは、いま、島田さんが金庫をあけたとき、わきから手を入れてぬすんだのだ。ぼくには、ボーっと白い人のすがたが見えた。」
 黒川記者が、ものぐるわしく、さけびました。しかし、そうだとすれば、怪人は見えなくても、ぬすんだ真珠塔は、部屋のどこかに、ただよっているはずです。ところが、いくら目をこらしても、それらしいものは、イスの下にも、金庫のかげにも空中にも、どこにも見あたらないではありませんか。
 三人のおとなは、すばやく、目くばせして、両手をひろげ、部屋じゅうを、飛びまわるようにして、目に見えないやつを、さがしました。しかし、なにも手にさわるものは、ありません。
 中村係長は、コンクリートの階段をかけあがって、入口の鉄の戸の下で、耳をすましました。すると、またしてもあのいやな笑い声が、かすかに聞こえてきたのです。
「オヤッ、鉄の戸のそとだ。あいつは、そとにいるぞ。」
 いかにも、それは、そとからの声でした。さっきは、たしかに室内できこえた笑い声が、いつのまにか、かぎをかけた鉄の戸を、すどおりして、そとから聞こえているのです。すると、透明怪人は、けむりか幽霊のように、からだまで、自由自在に、かえることが、できるのでしょうか。
「わかったか。おれは、やくそくしたことは、きっとやってみせるのだ……。」かすかな声でした。鉄の戸のそとから、透明怪人が、あのたどたどしいことばで、そんなことを言っているのが、聞こえてきました。
 それから、しばらくして、四人が地下室を出ますと、そこへ、小林少年が、いきをはずませて、かけつけてきました。そして、いきなり、こんなことを、報告したのです。
「ぼくたち、あやしいやつを、つかまえました。いけがきの塀のそとに、ルンペンみたいなやつが、うずくまって、ブルブルふるえていたのです。ぼくたちが、たずねると、おそろしいことを言いました。うそかほんとうか、わかりません。でも、そいつは、まだ、ふるえがとまらないほど、おそろしいものを見たらしいのです。ここへ、つれてきましょうか。」
 係長はそれを聞くと、すぐ、つれてくるようにと、答えました。それにしても、少年探偵団は、何者をとらえたのでしょう。そして、そのルンペンが見たというのは、いったい、どんなおそろしいことだったのでしょう。

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