日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 江户川乱步 » 铁人Q » 正文

铁人Q-恩将仇报

时间: 2022-01-30    进入日语论坛
核心提示:鉄の怪人「どうだね、おどろいたろう。こんな、人間とそっくりのロボットなんて、世界のどこをさがしたって、いやあしないよ。わ
(单词翻译:双击或拖选)

鉄の怪人


「どうだね、おどろいたろう。こんな、人間とそっくりのロボットなんて、世界のどこをさがしたって、いやあしないよ。わしは、これを発明するのに、五十年もかかったのだからなあ。」
 おじいさんは、鼻を動かして、じまんするのでした。
 北見君は、ほんとうにおどろいてしまいました。
 そして、このしらがのおじいさんが、なんだか、神様のように、えらく見えてくるのでした。
「鉄人Qは、歩いたり、ものをいったりするほかに、何ができるのですか?」
「なんでもできるよ。こいつは、知恵があるのだ。ものを考える力があるのだ。字も書けるし、本も読めるし、算数だって、きみよりうまいかもしれないよ。」
「へえ! 算数ができるの? ほんとう?」
「ほんとうとも。じゃあ、ひとつ、きみと計算の競争をやらせてみようか。掛算(かけざん)だよ。ここに紙と鉛筆があるから、きみもやってごらん。」
 おじいさんは、こういって、そばの机の上に、紙と鉛筆をおきました。紙は一枚しかありません。鉄人Qには、紙をやらないのかと、北見君がふしぎそうに、おじいさんの顔を見ます。おじいさんは、にっこりわらって、
「Qは、紙も鉛筆もいらないのだよ。頭の中で計算するのだ。紙や鉛筆がなけりゃ、計算できないなんて、人間の方が、よっぽど不便だね。」
 それから、北見君が、鉛筆を持つのを待って、おじいさんは、問題を出しました。
「いいかい。Qもよく聞いているんだよ。五二七六、五千二百七十六に、三八、三十八をかける。さあ、はじめっ! どちらが早く、正しい答えを出すか、競争だよ。」
 その声がおわるかおわらないうちに鉄人Qの赤いくちびるが、パクパクと動いて、あの電話のような声がひびきました。
「二、〇、〇、四、八、八……。」
「よろしい。北見君はどうだね。まだ、できないのかね。」
「うん、ちょっと待って。」
 北見君は、紙に数字を書いて、いっしょうけんめいに計算しました。そして、やっとできました。
「ええと、二十万四百八十八です。」
「よろしい。ふたりとも正しい答えだ。しかし、北見君は、Qよりも、一分もおくれたね。だから、Qの勝ちだよ。ハハハ……。どうだね、わしの発明した鉄人Qの頭は、すばらしいだろう。」
 北見君は、いよいよ、おどろいてしまいました。そして、この鉄でできた怪物が、おそろしくなってきました。
「これは、ほんの小手(こて)しらべだよ。まだまだおどろくことがある。さあ、何をやらせようかな。うん、そうだ。将棋(しょうぎ)をさすことにしよう。Qは将棋がうまいのだよ。いつも、わしが相手になって、さすのだが、負けたり勝ったりだ。じゃあ、見ててごらん。」
 おじいさんは、部屋のすみから、将棋ばんを持ちだしてきて、鉄人Qの前におき、それをはさんで、Qもいすにかけさせ、自分も、こちらがわのいすにこしかけました。
「Qはね、将棋が大好きなんだよ。わしに勝つと大よろこびで、笑いだすが、負けると、とてもふきげんになる。こわい顔をして、わしをにらみつけ、ものをいわなくなってしまう。きょうは、どちらが勝つかな。Q、しっかりやるんだよ。」
 おじいさんは、Qの方の将棋のこまも、ならべてやって、
「さあ、きょうは、おまえが先手(せんて)(先にこまをうごかす)だ。このまえ、わしに二度も負けているんだからね。」
 そして、人間と機械との、ふしぎな勝負がはじまるのでした。
 北見君は、将棋ばんのわきに立って、このきみょうな勝負を見ていました。
 北見君も、将棋のこまの動かし方ぐらいは知っていたのです。
 はじめのうちは、おじいさんも、何かじょうだんをいいながら、のんびりと、こまを動かしていましたが、勝負が進むにつれて、口をきかなくなり、こわい顔で、ばんをにらみつけ、ただこまを打つ音だけが、ぴしりっぴしりっと、うすぐらい部屋に、ひびきわたるのでした。
 鉄人Qの方も、なんだか、ひどくしんけんな顔になっていました。鉄のからだを少しねこぜにして、じっと将棋ばんを見つめているようすは、いかにも生きているようで、なんともいえないおそろしさです。北見君はいよいよ、きみが悪くなってきました。
 ふと、うしろの窓を見ると、外はもう夕ぐれどきで、うすぐらくなっていました。それに、風が吹きだしたらしく、大きな木が、はげしくゆれているのが見えます。
 もう、おうちへ帰りたくなりました。しかし、このふしぎな勝負も見とどけたいのです。
 いったい、どちらが勝つのでしょう。鉄でできた人形に、どうして、こんなにうまく将棋がさせるのでしょう。
 北見君は、小学校の友だちと将棋をさしたことはありますが、まだ、おとなとさすことなんか、とてもできません。将棋というものは、それほどむずかしいのです。そのむずかしい将棋を、鉄人Qは、やすやすとさしているではありませんか。鉄人の頭は、いったいどんなふうに、できているのでしょうか。どうして、これほどの知恵があるのでしょうか。
 北見君は、ふしぎでならないので、きみの悪いのもわすれて、将棋ばんを、のぞいていました。何かの魔力にひきつけられたように、おうちへ帰ることができないのです。
 ヒュウウッ……という音が、聞こえました。風の音です。あらしがやってくるのでしょう。
 窓の外は、いよいようすぐらくなっていました。大きな木が、いまにも倒れそうに、吹きつけられているのが見えます。そして、この古い西洋館ぜんたいが、いやなきしみ音をたてて、ゆらゆらとゆれているのです。
 部屋の中は、もうまっくらで、将棋のこまも見わけられないほどですが、おじいさんは、電気をつけることもわすれて夢中になってさしています。
 なんだか、おじいさんの方が、はたいろがいいようです。おじいさんはてきのこまをたくさん取って、ばんの横にならべています。
 Qの方には、小さなこまが、二つおいてあるだけです。
 ばんの上でも、Qの王様は、まん中へんに追いつめられて、いまにも、討ち死にしそうに見えるのです。
 えのぐをぬったQの顔が、おそろしく青ざめていました。そして、プラスチックの目が、まっかに血ばしっているのです。
 ぴしりっ。おじいさんが、こまを打ちました。すると、鉄人の肩が、がくんとゆれて、
「ウウウウ……。」
といううなり声が、聞こえました。いよいよ、負けそうになってきたのでしょう。
 ぴしりっ! また、おじいさんが、打ちました。
「王手!」
と、おしつけるような声で、叫びました。
「ウウウウ……。」
 鉄人のうなり声は、だんだん、はげしくなってきます。
 また、ぴしりっ、そして、
「王手!」
 鉄人のからだが、がくんと、くずれました。いよいよ、勝負がついたのです。
 すると、ああ、これはどうしたというのでしょう。おじいさんの目が、とびだすほど見開かれ、前にいるQの顔を、まるで、おばけでも見るように、見つめているではありませんか。
 北見君は、ハッとして、Qの方を見ました。
 Qは、いすから、腰を浮かして、立ちあがりそうにしていました。両方の手の、大きなにぎりこぶしが、頭の上にふりあげられていました。そして、
「ウウウウ……。」
といううなり声とともにQの鉄のからだぜんたいが、グーッと、おじいさんの上に、倒れかかっていったのです。
 おじいさんは、下じきになって、必死にもがいています。
 あらしは、ますますはげしくなり、西洋館が、舟のようにゆれていました。ヒュウッ、ヒュウッという風の音。どこかで、バタンと、窓の開く音。そして、ピカッと、部屋の中がまひるのように明るくなり、しばらくして、おそろしい、かみなりの音が、おどろおどろと聞こえてきました。
 ロボットの鉄人Qは、からだぜんたいが鉄でできているのですから、それに上からおさえつけられたおじいさんは、どうすることもできません。
「たすけてくれえ……。」
と、叫びながら、手足をばたばたやっているばかりです。
 北見少年は、おじいさんをたすけようとしましたが、とてもかなうものではありません。人間とそっくりの顔をしたQに、じろっとにらみつけられると、ゾーッとして、やにわに、西洋館から、逃げだしてしまいました。
 外は、日がくれて、もうまっくらです。それに、おそろしいあらしで、たきのような雨が、横なぐりに、吹きつけてきます。いまにも、吹き倒されそうです。
 北見君は、その中を、むがむちゅうで走りました。
 ときどき、ピカッと、いなびかりがして、あたりがまひるのように明るくなります。そして、ごろごろごろごろ……と、おそろしいかみなりの音。
 どこを、どう走ったのか、少しもおぼえがありませんが、ふと気がつくと、目の前で、ピカッと光ったものがあります。いなびかりではありません。懐中電灯の光のようです。
「おい、おい、きみ、どこへ行くんだ。雨でびしょぬれじゃないか。」
 よく見ると、そこに立っているのはおまわりさんでした。すぐそばに、交番があります。北見君が、雨にぬれて走っているので、ふしんに思って、出てきたのでしょう。
 北見君は、いいところで、おまわりさんに会ったと思い、いままでのことを、すっかり話しました。
「おじいさんが、殺されてしまうかもしれません。早く、行ってみてください!」
「よし、行ってみよう。ちょっと待ちたまえ。パトロールカーも呼んでおくから。」
 おまわりさんは、そういって、交番に引きかえすと、そこにいた、もうひとりのおまわりさんに、何かいっておいて、すぐにもどってきました。
 おまわりさんと、北見君とが、西洋館にかけつけ、あの部屋にはいってみますと、そこには、おじいさんが、ただひとり、いすにかけて、グッタリしていました。
「鉄人Qは、どこへ行ったんです?」
 北見君が、あわただしく聞きますと、おじいさんは、
「どこかへ逃げてしまった。わしは、もう少しで、しめ殺されるところだった。だが、やっとたすかった。あいつはおそろしいやつだ。わしが作ったロボットだが、もう、わしのいうことをきかなくなった。あいつを自由にしておいてはあぶない。なにしろ鉄の人間だから、ばか力がある。それにピストルのたまが当たったぐらい、へいきだからね。どんなおそろしいことをやりだすか、知れたものじゃない。警官、あいつをつかまえてください。でないと……。」
 おじいさんは、おびえた声で、きれぎれに、そんなことをいうのでした。
「そのロボットは、電池かなんかで、動くのですか? そんなら、電池が切れたら、何もできなくなるでしょう?」
 おまわりさんがききますと、おじいさんは、かぶりをふって、
「いや、電気ではありません。わしが発明した、とくべつの力で動くのです。その力は、切れるということがないのです。だから、あいつは生きた人間と同じことです。しかも、良心を持たない鉄人ですから、どんな悪いことだってやります。どうか、あいつをつかまえてください。でないと、いまにおそろしいことがおこります。」
 それから、大さわぎになりました。警視庁にも知らせ、東京じゅうに非常線をはりましたが、その夜はもちろん、あくる日になっても、二日たち、三日たっても、鉄人Qの姿は、どこにも発見されないのでした。

轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

热门TAG: