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铁人Q-无人快艇

时间: 2022-01-30    进入日语论坛
核心提示:モーターボート ポケット小僧は、小林少年の耳に口をつけるようにして、ささやきました。「鉄人Qと人形じいさんは、秘密の通路
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モーターボート


 ポケット小僧は、小林少年の耳に口をつけるようにして、ささやきました。
「鉄人Qと人形じいさんは、秘密の通路から川の方へおりていったにちがいないよ。この西洋館の下には川の水がはいりこんでいるんだぜ。だから、そこに船がつないであって、あいつらは、船に乗って逃げるかもしれないよ。」
「あっ、そうだね。いいことを教えてくれた。すぐ中村さんに話して、その方の見はりをすることにしよう。」
 小林少年はそういって、向こうに立っている中村警部のところへ、かけだしていきました。そして、ポケット小僧の話を、くりかえすのでした。
「よしっ、それなら、西洋館の裏の川っぷちの見はりをふやそう。それから水上警察に頼んで、ランチをまわしてもらうんだ。」
 中村警部は、そばにいた警官にそれぞれさしずをしました。すると、三人の警官が裏手の川っぷちへいそぎ、もうひとりの警官は近くにいるパトロールカーのそばへとんでいって、無電で警視庁へ連絡し、水上警察に、ランチのことをつたえてもらいました。
「さあ、われわれは川っぷちで、ランチの来るのを待つことにしよう。」
 中村警部と小林少年とポケット小僧は、門を出て、西洋館の並びにある川の荷あげ場へいそぎました。
「さっき、鉄人Qはここから、ザブザブと、川の中へはいっていったんだよ。」
 ポケット小僧は、石の段々を、まっくらな川の方へおりながら、説明するのでした。
 すると、そのときです。
「ピリピリピリリリリリリリ……。」
 西洋館の裏手から、するどい笛の音が聞こえてきました。警官たちが吹きならす、合図のよびこです。
 ――さては……。
と、くらやみの川をじっと見つめますと、一そうのモーターボートが、へさきで白い水を切って、向こうへ遠ざかっていくのが、かすかに見えました。モーターボートは、あかりを一つもつけておりません。人目をしのぶ鉄人Qのボートにちがいないのです。
 水上警察のランチは、どうしたのでしょう。モーターボートは、みるみる向こうへ遠ざかっていきます。おそろしいスピードです。ぐずぐずしていたら、見失ってしまいます。中村警部と小林少年は、石段を水ぎわまでおりて、川上の方を見つめました。
「あっ、あすこから来たっ。あのあかるいライトをつけたランチが、そうにちがいない。おうい、ここだぞう。」
 中村警部は、おどりあがるようにして、そのランチに呼びかけるのでした。
 パトロールカーのおまわりさんは小型のサーチライトをこちらに向けて、中村警部たちをてらしだしました。ランチの方でも、それと察して、荷あげ場へ近づいてきました。それはやっぱり、水上警察のランチでした。
 中村警部と小林少年とポケット小僧は、水上警察のランチに乗りこみました。ランチには水上署の六人のおまわりさんが乗っています。
「鉄人Qとじいさんが、モーターボートで逃げたのだ。もう二百メートルも川をくだっている。サーチライトをつけてください。」
 中村警部のことばに、おまわりさんはいそいで、サーチライトのスイッチを入れました。
 サーッと、白い光の棒が、くらやみを切って走りました。
「あっ、小さく見える。あれだ、あれが鉄人Qのモーターボートだ。全速力を出してください。あれに追いついてください。」
 いくら、モーターボートが早いといっても、警察のランチにはかないません。ふたつの船のへだたりは、みるみるちぢまっていきました。
 ランチには、双眼鏡がそなえてあったので、中村警部は、それを目に当てました。
「あっ、鉄人Qがボートの上に立ちはだかっている。たしかに、あのきみの悪い鉄の顔だ。ああ、もうこれ以上、速力が出ないのか。何をぐずぐずしているんだ。」
と、じだんだをふまんばかりです。
 そのとき、ボートとランチの間は、ぐっとちぢまりました。なぜか、モーターボートが速力を落としたからです。
 もう双眼鏡でなくても、鉄人Qの姿がよく見えます。かれはサーチライトの光を受けて、ボートの中に立ちあがり、右手を顔の前にひろげて、指をへらへらと動かしています。
「やあい、ざまをみろ。」
と、こちらをからかっているのです。
「ちくしょうめ、いまにみろ。」
 中村警部が、くやしそうに叫びながら、手をふって、おどかすようなかっこうをしました。
「ワハハハハハハハ……。」
 かすかに、鉄人Qの笑い声がひびいてきました。そして敵のボートは、また、にわかに速力をましたのです。間が、みるみる遠ざかって、モーターボートは、サーチライトの光の外へ逃げだしてしまいました。
 そうしてまた、二そうの船の競走がつづきましたが、しばらくするとなんだかへんなことがおこりました。あんなに離れていたモーターボートが、またしても、ぐんぐんこちらへ近づいてくるではありませんか。
「あっ、エンジンをとめてしまって、流れにまかせている。機械にこしょうがおこったのかな。」
 中村警部がふしんそうに、つぶやきました。
 ごらんなさい。ボートの中に立ちはだかった鉄人Q、その横に、うずくまっているじいさんの姿。二人は、エンジンがとまってもべつにさわぐようすもなく落ちつきはらっているではありませんか。
 ランチはたちまち、モーターボートに近づきました。そして船と船とがくっつくと、ふたりのおまわりさんが、ピストルをかまえて、ボートの中へ乗りこんでいきました。
 しかし、ボートのふたりは、手向かいもしなければ、逃げようともせず、じっとしています。いったい、どうしたというのでしょう。
 すると、また、へんなことがおこったのです。おまわりさんたちは、鉄人Qとじいさんのからだを、さもかるがると持ちあげて、グルグルふりまわしているではありませんか。
「あっ、どうしたんだ。それは服ばかりじゃないか。」
 こちらから、中村警部がどなりました。
「ボートの中に棒を立て、服と仮面が引っかけてあったんです。ボートには、だれもいません。」
 おまわりさんが、大きな声で答えました。
「それじゃあ、ふたりとも水の中にとびこんで、逃げてしまったんだな。」
 中村警部は、がっかりしていいました。鉄人Qたちは、さっきサーチライトの外へ逃げたとき、服をぬいで、こんなしかけをしておいて、水の中へとびこんでしまったのにちがいありません。
 それから一晩、川筋(かわすじ)のそうさくをつづけましたが、どうしても、ふたりを見つけだすことはできませんでした。
 鉄人Qと人形じいさんは、いったい、どこへ逃げたのでしょうか。そして、このつぎには、どこで、どんなおそろしいことを、たくらむのでしょうか。

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