笑海叢珠
むかし、ある人が客を招いてご馳走をしたが、料理人に、客にはなるべく小さい魚をつけるようにといいつけておいた。
さて、魚がつけられると、客はいった。
「わたしはかねがね魚を飼う方法を研究しております。澄んだ水の中へ放して、十分に餌をやり、池の中に幾つも洲をつくって、その間を自由に泳ぎまわらせておくと、魚は必ず大きく育ちます」
「そううまくいくものですか?」
と主人がきくと、客は自分につけられた魚を箸でつまみ上げて、主人のとくらべ、
「さよう、たとえばこんな小さな魚でも、一年もたたないうちに、ご主人のその魚と同じくらいの大きさになります」