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愛人の掟 73

时间: 2019-10-29    进入日语论坛
核心提示:「結婚していてもいいの」と言う ひとりの魅力的な男性と出会い、そして恋に落ちる瞬間は、女性にとって最も感動的な出来事のひ
(单词翻译:双击或拖选)
 
「結婚していてもいいの」と言う
 ひとりの魅力的な男性と出会い、そして恋に落ちる瞬間は、女性にとって最も感動的な出来事のひとつである。彼のほうもあなたに好意を持っていることが感じられれば、誰もがこれこそわたしの待ち続けていた運命の恋なのかもしれないと心を震わせる。
ところが、天にものぼるようなまさに次の瞬間、崖《がけ》から突き落とされるようなショックがあなたを襲う。彼がすでに結婚していること、さらには子供を持つ父親であることを知らされる。あなたは決して避けては通れない最初の壁に突き当たり、不倫の恋の苦悩の扉を開くことになる。
あなたは何気ない会話の中でこの事実を知らされるかもしれない。「先週まで北海道にいたんですよ、妻の実家があるのでね」「そのイベントにはちょっと参加できないかもしれません、子供の幼稚園の運動会があって」。あなたは微笑《ほほえ》みを絶やさないまま、彼に気づかれないようにそろそろとため息をもらす。この人はすでにほかの女性と結婚しているのだ。わたしの運命の恋人などではなかったのだ。胸の中で、軽い絶望感が広がっていく。
あなたに彼を妻帯者だと知らせるのは彼の左手の薬指に鈍く光る結婚指輪や、彼のまわりの誰かのひと言かもしれない。「ああ見えてあいつは愛妻家なんだ、まあ、あんなにきれいな奥さんなら当たり前だけどね」「彼は子煩悩でいつも二歳の娘の写真を持ち歩いているよ」。また、出会ってからずいぶんあとになって、彼の口から言いにくそうに「実は結婚しているんだ。でも君に対しては本当に純粋な気持ちだ」と打ち明けられるかもしれない。たとえそれがどんなシーンでも、できることならかき消してしまいたいような記憶だろう。
特にはじめての不倫の恋では最初のショックは大きい。彼を妻帯者だと知った日から、あなたの脳裏には常に同じ悩みがつきまとい、片時も離れない。この恋に足を踏み入れるべきなのかどうか。ここで迷わない女性などいないのだ。けれど、迷いながらも、あなたの不倫の恋はもうすでにはじまっている。心にブレーキをかければかけるほど彼への想いは募る。彼をあきらめようとしてほかの独身男性に目を向けようとしても、彼の素晴らしさがかえって気持ちをかき立てるだけ。
今なら引き返せると思うこの時期に、実はもう戻れない場所まで来てしまっている。不倫の恋のはじまりは、それほど強烈なものなのだ。なぜなら、ここできっぱり彼のことなど忘れて、独身の男性だけに目を向ける努力ができるくらいなら、こんなに数多くの女性たちが不倫の恋に苦しむ必要はないのだから。
彼が妻帯者だということだけで、あなたの中で燃えはじめた恋の炎を吹き消してしまえるなら、そんな幸せなことはない。あなたと同じようにまだ一度も結婚したことのない男性はたくさんいるのだから。もともと不倫の恋に抵抗があるか、迷った揚げ句あきらめることにしたか、どちらにしろ、そこでやめられるのなら最初から大した想いではなかったのだ。
でも、彼が結婚していると知った上でも、そんな理由だけでこの恋をあきらめることなどできない、と心から思うのなら、不倫の恋をただのつらい思い出ではなく、あなたの人生でいちばん素晴らしい恋にしてほしい。
それにはあなたの深い愛情と真剣な想いと強い意志、そして絶え間ない努力が必要。彼でもなく、ふたりの共同作業でもなく、あなたが不倫の恋の中に幸せをつくりあげていくしかない。この恋のつらさやせつなさをやわらげることができるのは、あなた自身だけ、なのだから。
彼を特別な男性と意識した瞬間から、あなたは実に注意深くことを進めなくてはならない。ここで失敗すると、あなたと彼との関係は決していい恋に育たないのだ。
大切なのはまず、今自分の置かれている状況を客観的にきちんと把握することである。
はじめて不倫の恋をするあなたは、自分の気持ちを正当化しようと様々な言い訳を考えるかもしれない。「最初から結婚しているのを知っていて、それでもいいと思って恋愛をするのだからわたしは大丈夫」「結婚なんて望まない、彼とは今を楽しみたいだけ」「わたしは仕事に生きる女だからもともと誰かと結婚する気なんかないもの」「恋愛と結婚は別、そこら中の泥沼不倫みたいにはならないわ」「今恋人もいないし」。
ところが、不倫を強く意識したとき、同時にあなたの中で結婚願望も大きくなっている。どんなに強がっても、気持ちをごまかしても、何度自分に言い聞かせようと「結婚したいけどできない」という図式は永遠に続いていく。それはあなたの中できちんと受け止めなくてはならない最初のハードルである。
周囲の人に、彼の家庭についてそれとなく聞きまわり、「彼は奥さんとうまくいっていない」らしい、「何年も前から別居している」らしい、「彼は子供が欲しいのに奥さんのほうが仕事を続けたがっている」らしい、などという噂《うわさ》にお守りのようにすがってはいけない。あなたが受け止めるべきことは、彼がすでに結婚していてあなたとはできない、という事実だけ。
そして、彼のことをもう一度よく見ること。恋心にうるんだ瞳《ひとみ》ではなく、できるかぎり冷静な目で。彼が本当にあなたの恋にふさわしい人間かどうか、そしてあなたの想いが本物かどうか、しっかりと判断する。「恋は盲目」では、不倫の恋をはじめるには危険過ぎるから。
きちんと見極めなくてはならないのは彼のことだけではない、あなた自身のことももう一度見つめ直すのもこの時期に大切なこと。あなたは今、なぜ不倫の恋をしようとしているのだろうか? あなたが不倫の恋に落ちたのは、「彼にたまたま奥さんがいたから」ではない。
世間のイメージとは裏腹に、不倫の恋に落ちる女性のほとんどが、自分の将来をきちんと考えている賢く真面目《まじめ》な女性たちである。彼女たちに共通するのは向上心が非常に強いことだ。もっと大人になりたい、もっといい女になりたい、もっといい仕事がしたい、もっといい生活がしたい、という向上心が女性たちを不倫の恋に走らせる大きな要因になっている。
何事もあまり深くつきつめて考えたりせず、ものごとを楽観的にとらえ、そのときその場を楽しめるタイプの女性は「不倫だけは絶対にしない」と口を揃《そろ》えて言う。自分に対する向上心が希薄だから、同年代の男性や気心の知れた仲間たちとの恋でじゅうぶん満足できる。あえて障害のある苦しい恋愛を選ぶ女性の気が知れない、のである。
それに対して向上心の強い女性は、思春期を過ぎた頃から、彼女たちのような恋愛に物足りなさを感じている。恋愛の対象となる男性に、尊敬や、自分などはるかに超えた完成されたものを求める。自分のまったく知らない世界に導かれたいという願望がとても強い。
そこにちょうど当てはまるのが妻帯者の男性なのだ。妻帯者は、少なくともあるひとりの女性の心を射止め、結婚することのできる人間性と社会性、そして子供をつくる能力、それを養っていく経済力がすでに証明されている存在だ。まわりの同年代の独身男性たちはそのどれひとつまだ証明されていないのだから、向上心の強い女性たちが妻帯者により強く引きつけられてしまうのは本能と言ってもいい。逆にそうでない女性は本能で不倫を避けている。
特に、まだ自分にはっきりとした人生の目的や仕事や生き方などが確立されていない十代後半から二十代前半にはじめての不倫の恋と出会う女性が多いのは、彼女たちの向上心が最大になっているときだからだ。このあたりの年齢で不倫の恋をはじめると、続けて何人かの妻帯者と恋に落ちるケースも多い。この頃は、体力、精神力、そして時間の余裕もある貴重な年代。不倫の恋をするには多大なパワーが必要だからこの年代を過ぎてしまうと少々遅い。
二十代後半から三十代になって最初の不倫の恋をするのは、年齢的にも社会的にもリスクが大き過ぎる。精神的にも肉体的にもぼろぼろになってしまう可能性が非常に高い。結婚や出産までのタイムリミットも短く、不倫の恋から立ち直ってもう一度やり直すだけの時間もない。自《おの》ずと相手への執着心が強くなり、あまりいい結果を生まない。人によっては一生|癒《い》えない傷を抱えてしまうこともある。その年齢まで不倫の恋をせずにいられたということは、一生しなくても生きていける性質かもしれないから、もう一度よく自分の気持ちと向きあってほしい。もちろん若過ぎてもうまくいかない。まだ自分を見つめることのできない少女には、不倫の恋は早過ぎ、これからの素晴らしい恋の蕾《つぼみ》を摘みとってしまう。恋愛に年齢など関係ないとはいえ、はじめての不倫の恋だけは「適齢期」があることを覚えておいてほしい。
女性たちがいくつものハードルを乗り越え、これだけの覚悟をして不倫の恋をはじめようとするとき、男性側はまだ何もしていない。あなたに好意は持っていても、あなたの想いとは比べものにならない。もしかしたらあなたの気持ちに気づいてもいないかもしれない。「奥さんとうまくいっていない」はずの彼は、次の連休に家族旅行の計画を立てたり、マイホームを建てるために貯金をはじめたりしているかもしれない。
そんなとき、あなたのほうから誘いをかければ、彼はもちろん乗ってくる。あなたのことを可愛《かわい》い子だな、と思っているし、自分がまだまだ男として魅力があることを確認したいという願望もあるし、女の子から誘われればまんざら嫌な気はしない。そしてあなたは何度か彼とセックスすることになるだろう。据膳《すえぜん》食わぬは男の恥などという言葉をいまだに信じている男性がほとんどなのだから。
でも、あなたのほうから彼にアプローチをして不倫の恋をはじめれば、あなたは必ずほんの数週間か数か月後、彼の変わり果てた態度や冷たい言葉に深く傷つくことになる。あなたは一日中鳴らない電話を待っていることになる。彼があなたの職場に関係している人なら、気まずくなって仕事もやりづらくなる。あなたは被害者意識でいっぱいになる。女性はどんな恋愛でも「据膳」になっていいことなど何もないけれど、不倫の恋では特にいけない。ただでさえ女性にリスクが大きいこの恋愛を、最初から不利に進めては絶対にうまくいかない。
だからこそ、あなたの気持ちがどんなに燃え上がっても、決してこちらからアプローチしてはいけない。彼に電話をしたり、デートに誘ったり、「ずっと好きでした」と告白したりしてはいけない。ましてや彼の気持ちをつかもうとして「結婚していてもいいの」などと間違っても言ってはいけない。それでは不倫の恋をしたことにもならない。
今、あなたにできることは、彼からデートに誘われるのをじっと待つことだけ。彼にあなたを食事に誘うほどの情熱もないのなら、この恋をはじめるべきではないのだから。
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