笑林
姚彪(ようひよう)が張温(ちようおん)といっしょに武昌(ぶしよう)へ行ったときのこと、呉興(ごこう)の沈〓(しんこう)が揚子江の岸に船をとめて風を避けていたが、食糧が尽きてきたので、使いの者に手紙を持たせて姚彪に塩百石(こく)を貸してほしいとたのんだ。姚彪はその手紙を受け取ったまま回答もせずに張温と話をしていたが、しばらくすると、部下の者にいいつけて、塩百石を揚子江の中へ投げ入れさせた。そして張温に向ってこういった。
「わたしは物惜しみをするのではない。人に物をやることが惜しいのだ。そのことをはっきりさせたまでだ」