笑府
婚礼のとき、親戚の者や花婿の友人たちが大勢で、ことさらに卑猥な言葉を花嫁に投げかけるしきたりがある。これを「撒帳(さつちよう)」という。
さてその撒帳のとき、みんなが声をそろえて、
「めでたいな、めでたいな、花婿さんの一物は、釣鐘突きの大物だ」
とはやしたてた。すると帳(とばり)の中から花嫁が、
「わたし、そんなもの平気よ」
といい返したので、付添の婆さんがあわてて花嫁の口をふさぎ、
「そんなこと、おっしゃるものじゃありません」
というと、花嫁、
「だって、あんまり大ぼらを吹くものだから、わたし、癪(しやく)にさわって……」