笑府
花婿、初夜の床で花嫁を抱き、
「わたしたちの結婚には、おまえのお父さんはずいぶん反対なさったが、やっとゆるしてもらえて、こうして夫婦になることができた。よかったねえ」
といって一儀を行なった。ところが、しばらくするとまたきざしてきたので、
「おまえのお母さんも、はじめはずいぶん反対なさったが、やっとゆるしてもらえて、こうして夫婦になることができた。よかったねえ」
といい、二つめを行なった。ところが、またしばらくするとまたきざしてきたので、
「おまえの兄さんは、お父さんやお母さんが反対なさっても、とりなしてもくれなかったが、それでもこうして夫婦になることができた。よかったねえ」
といい、三つめを行なった。しばらくすると、こんどは花嫁がいった。
「あなた、うちの嫂(ねえ)さんも、ちっともとりなしてくれなかったのよ。それなのにこうして夫婦になることができて、ほんとうによかったわねえ」