笑府
ある男、妻を迎えることになって、人から一儀の仕方を教えられたものの、いっこうに合点がいかない。
初夜の床で、勝手のわからぬまま、妻の腹のあたりをあちこち行き来させていたところ、そのうちに偶然、ぷすりとはいってしまったので、びっくりして引き抜き、床から飛び下りるなり着物をひっかけて逃げ出し、そのまま姿をくらましてしまった。
二、三日たってから、闇夜をさいわい、家の近くの横町まで行って、人にきいた。
「もしもし、この先の家で、二、三日前に花嫁が腹の皮を突き破られたという噂をきいたのですが、その花嫁、命に別状はなかったでしょうか」