笑府
ある和尚、部屋へはいるといつも戸を閉め切って、しきりに、
「いとしい、いとしい」
といっているので、弟子たちが不審に思い、和尚が外へ出た隙に鍵をあけて部屋の中を見たが、格別のものはなく、ただ寝台の上に香袋が一つあるだけだった。弟子たちは、これにはきっとわけがあると思い、袋の中の香を取り出して、代りに鶏の糞をつめておいた。
和尚は外から帰ってくると、いつものように戸を閉め切り、
「ああ、いとしい、いとしい」
といったが、すぐ、
「おや、おまえどうしたのだい? 屁をひったのじゃないかい?」