艾子後語
艾子(がいし)の旧友に虞任(ぐじん)という人がいて、今年二歳になる娘がいた。艾子がその娘を、将来自分の息子の嫁にもらいたいと申し込むと、虞任は、
「君の息子さんは幾つだ」
ときいた。
「今年四歳だ」
と艾子がいうと、虞任はむっとして、
「君はわしの娘を老人に添わせる気か」
「それはどういう意味だ」
「だってそうだろう。君の息子は四歳、わしの娘は二歳、ちょうど二倍じゃないか。もしわしの娘が二十歳で嫁に行けば、君の息子は四十歳だし、二十五歳で嫁に行くとすれば、君の息子は五十歳だ。幾つで嫁に行こうと、わしの娘は老人の嫁になるわけじゃないか」