笑林広記
三人の男がいっしょに寝た。
一人の男が、股がかゆくてならないので、うつらうつらしながら二番めの男の股を掻いたが、いっこうにかゆみがとまらないので、きつく掻いているうちに、とうとう血がにじみ出てきた。
二番めの男は血のにじみ出たところをさすってみて、三番めの男が寝小便をもらしたのだと思い、
「おいおい、起きて小便に行け」
とゆすぶり起こした。
三番めの男はしぶしぶ起きて外へ小便をしに行ったが、隣家の造り酒屋から酒をしぼる音がぼたぼたときこえてくるのを耳にして、自分の小便の音だと思い、明け方までそのまま立ちつくしていた。