日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

美女入門70

时间: 2019-07-30    进入日语论坛
核心提示:オシッコまみれのバーキン この不景気に、バーキンが売れに売れているという記事を見つけた。 何でも予約待ちということで、注
(单词翻译:双击或拖选)
 オシッコまみれのバーキン
 
 
 この不景気に、バーキンが売れに売れているという記事を見つけた。
 何でも予約待ちということで、注文するまでに四、五年かかる。その合い間に女性たちは食べるもんも食べないで、節約するんだそうだ。
 ちょっとぉ、エルメスのバーキンといったら七十万円はするんじゃないの。ちょっとした国産車の値段である。国産車をぶら下げるには、若い女のコの腕はあまりに細すぎる。あれはやっぱり、がっしりと脂肪のついた中年女性のものだ、と言ったとしてもおそらくわかってはくれまい。
 欲しいものは欲しい、どんなことをしたって欲しい、と人の心をかき乱すのがブランド品の持つ魔力である。誰しも経験のあることだろうが、海外のブランド品店へ行くと鼓動の速くなっていくのがわかる。
「こんなに買い物していいのか……」
 ドキドキ、ドキ……。
「カードが落ちる時、どうやって払えばいいんだ」
 ドキドキ、ドキ……。
「でもどうにかなる。どうにかなる。きっとどうにかなる」
 心臓は高鳴り、手は震える。あの興奮状態をどういったらいいのであろうか。友人が証言するには、私は商品を手にしたままぴくりとも動かず、目はうつろになり、何ごとかつぶやいているそうだ。すごくおっかないとも言われた。
 こうして買ったケリーやバーキンが、家のクローゼットの中に、というよりも部屋のそこらへんに何個かある。何回かお話ししたかもしれないけれど、私はかなりのエルメス持ちざんす。が、使うことはめったにない。なぜならエルメスのバッグというのは、実はかなり持ちづらいものだ。ケリーはいちいち留め金をとめるのが面倒くさいし、開けっ放しにしていると、必ずといっていいぐらい通りすがりの人に「あぶないですよ」と注意される。バーキンにいたっては、重たいし、カサ高いこと腹立たしいぐらいだ。私の友人にパーティでも、オペラ観に行くのにも、いつもバーキンをぶら下げてくる女がいる。どうして小さいバッグに替えないのかと尋ねたところ、
「めんどくさいし、詰め替えると忘れ物するんだもん」
 という答えが返ってきた。私もそうであるが、バーキンを使うとかなり不精ったれになってくる。かなりの量が入るので、いっさい合さい入れて、いつのまにか同じバーキンばかり使うようになってくるのだ。
 話は変わるが、茶色が大流行した二年前、どうしてもベージュのバーキンが欲しくてパリの本店で買った。帰国してすぐのことだ。お客が来ている間、猫を部屋に閉じこめておいたところ、仕返しにオシッコをされた。しかも敵は、わざわざいちばん新しく、いちばん高価なバッグを狙ったようなのだ。オシッコの跡は、日本のデパートを通じてパリで磨いてもらったが消えることはない。今でもマダラになって残っている。ネコのオシッコ模様のバーキンを持っているのは、日本広しといえども私ぐらいかもしれない。
 ところでエルメスには、バーキンよりももっと重たい、使いづらいバッグが存在している。それは言わずと知れたオータクロアですね。今から十五年前のこと、ファッション雑誌のグラビア取材で、私はパリを訪ねた。そして、当時ローンを抱えていなかった私は、エルメス本店でバッグを三個買うという暴挙に出た。一個は白のケリーで、これは夏に着物を着る時に時々使っている。もうひとつは臙脂《えんじ》の大ぶりのケリー。これはもう早くも型くずれしてほぼ引退状態。そしてもう一個、真っ赤なオータクロアを買ったのである。よく芸能人が、機内用にこのオータクロアを持っているのをグラビアで見かけるが、どうしてあれほど力持ちなのか驚いてしまう。頑強な私をもってしても、中身を入れたオータクロアを持ち上げるのは至難の業《わざ》だった。
「よっこらしょ」
 とかけ声をかけて持つが、厚い丈夫な革のオータクロア+バッグの中身の重さといったら、もう手がちぎれそう。私は本気で底に滑車をつけようと思ったぐらいだ。私はそのオータクロアを持て余し、なんと「アンアン」の誌上バザールに破格の値段で出した。あの時は「なんと太っ腹」とまわりにびっくりされたものだ。応募者が多い時は抽選で、ということであったが、
「ズルをしてくれないか」
 という知り合いの電話が何本もかかってきたものである。
 今数々の思い出を胸に秘めて、私のケリーやバーキンは静かに眠っている。だらしない私のことだから、クローゼットや袋には入らず、仕事場のあちこちに置かれている。今、私の好きな洋服に、これらのバッグはちょっと重過ぎる。それよりも軽快なプラダやドルガバの方が似合うような気がする。お出かけの時は光りもんのフェラガモがある。
 しかしエルメスのバーキンを買った日のこと、買った場所のことははっきりと憶《おぼ》えている。スペインのあの店、当時円高のおかげで二十三万で買ったケリー、ロスの店で見つけたバーキンの新作……。他のバッグとのめぐり会いはすぐに忘れてしまうのに、やはりエルメスは違う。ずうっとずうっと、あの緊張感さえ記憶にある。みんなこの一生の出会いが欲しいんだ。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%