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美女入門109

时间: 2019-07-30    进入日语论坛
核心提示:ブスと老けは、伝染《うつ》るんです このあいだ、鹿児島へシンポジウムに行った。夜は地元の人たちと交流する宴会が開かれた。
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 ブスと老けは、伝染《うつ》るんです
 
 
 このあいだ、鹿児島へシンポジウムに行った。夜は地元の人たちと交流する宴会が開かれた。鹿児島はいい人ばかりで、自分のところで焼いた黒砂糖菓子やカルカンを持ってきてくれる。私が地元の女のコたち(女のコじゃない人もいたが)とぺちゃくちゃ喋《しやべ》っていたら、そのうちのひとりがこんなことを教えてくれた。
「ハヤシさん、鹿児島でいま話題になっている化粧品があるんですよ。桜島の石灰岩でつくった石鹸《せつけん》でキンゴ・キンゴっていうんです。これで顔を洗うと、すっごく白くなるんですよ」
 その時はへぇー、怪獣みたいなヘンな名前と思って聞いていたのであるが、その後わが家に、二人の方からキンゴ・キンゴが送られてきた。あの宴会に出席した女性からである。ホントにありがとう。
 サンフランシスコから、友人が一時帰国した。錠剤の箱を四つもくれた。
「ハヤシさん、これ、アメリカで話題になっている薬ですけど、安全だしすごおく痩せるんですよ。うちの夫も信じなかった人なのに、一ヶ月で三キロも痩せました」
 う、う、嬉しい、と私は涙にむせんだ。日本全国、いや世界が私の美と体重について心配してくれているのである。これで頑張らなければ、女がすたるというものである。ここのところ私は甘いものを我慢し、夕食も抜いている。会食が入っている時はめいっぱいいただくが、何も予定が無い時はリンゴを半分|齧《かじ》ったりする。実は今日、テツオと久しぶりにデイトをすることになっているのであるが、彼も心配して当初のフランス料理を取りやめた。比較的カロリーの少ないイタリアンということになったのである。
 さて話は突然飛ぶが、先週のこと、私はA子ちゃんと歌舞伎に出かけた。A子ちゃんというのは私の妹分で、とても素直なよいコである。一度も勤めたことがなく、東京の大学を出た後も、うちからの仕送りで習い事をしている結構な身分だ。今どき珍しいぐらいおっとりとしたコで、顔だって正統派美人。
 何かのきっかけでテツオに紹介したところ、
「お、すごく可愛いじゃん」
 と、あの口の悪い男が珍しく誉めた。いや、珍しいというよりも、テツオが女のコのことを誉めたのを初めて聞いたので、びっくりした記憶がある。なにしろ彼ときたら、美人でも「頭がワルソー」「ビンボーたらしい」とすぐケチをつける。このあいだは文句のつけようのないぐらい素敵な美人のことを「インランが入っている」なんて言っていた。じゃあ綺麗《きれい》で性格もよく感じのいいコに会わせて、これで文句ないだろうと思ったところ、
「ヤラせてくれそうもない女だから、嫌い」
 だと。開いた口がふさがらなかった。その彼がA子ちゃんの電話番号を教えろと、私にしつこく喰《く》い下がってきたのである。そのしつこさときたら、まさに�本性見たり�という感じであった。私が彼女のことをエッセイに書いた生の原稿を渡したところ、
「これ、A子の電話番号が、あぶり出しででてくんだろうな」
 などと脅す始末である。A子ちゃんの方もまんざらでもないようで、
「教えて下さって、結構ですよ」
 なんてそわそわしていたのであるが、あれから月日はたった。二十代半ばだったA子ちゃんも今や三十路《みそじ》。恋人も出来た。バツイチの四十幾つのオジさんである。これを機に彼女の雰囲気がちょっと変わってきたのも事実である。普通オジさんとつき合うと、いろいろものを買ってもらい派手になるものであるが、彼女の場合は地味になっていった。もとがお嬢さんなので、田舎のお母さんが買ってくれたちょっと野暮ったいブランドを着ている。その日歌舞伎座に現れた時、A子ちゃんはグレイのスーツ(下はフレアスカートとちょっとレトロ)に髪を後ろでお団子にし、近眼の眼鏡をかけていた。
「A子ちゃん、悪いけど、マガジンハウスまでイラストを届けたいんだけど、一緒に来てくれる?」
 歌舞伎座の後、テツオのところへ行くことになっていた。ちなみにマガジンハウスは歌舞伎座の真裏である。社内の喫茶店にやってきたテツオは、A子ちゃんを見てひと言、
「老けたね──」
 と叫んだ。からかいでも意地悪して言っているのでもない。本当に実感として口を滑らしたという感じだから、始末が悪い。
「ひ、ひどーい」
 A子ちゃんは泣き出しそうになった。可哀想に、シロウトの女のコにこんなことを言うなんて。
「仕方ないわよね、A子ちゃんはオジさんとつき合ってるから、ちょっと地味になるのも」
 私は心配で慰めたが、まるっきりフォローになっていないかも。
「ダメだよ、あのねぇー、ブスと老けは伝染するから気をつけなきゃ」
 テツオは説教を始めたが、乙女心をどんなに傷つけているか気づかないようである。
 私は思った。女のコにアドバイスをするのってなんてむずかしいんだろうか。特にデリケートな年頃の女のコはなおさらだよね。
 が、私はデリケートな年頃をとっくに過ぎ、みんなアドバイスと同時に具体的なモノを送ってくださる。なんてありがたいんだろう。が、キンゴ・キンゴを十回使ったが、石灰岩はやはり年増にはきつ過ぎて、乾燥しちゃったよ。
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