このあいだの「アンアン」の表紙、よかったですね。神田うのちゃんが、うっとりするようなヌードを披露したあれです。ヘアメイクもごくナチュラルにして、うのちゃんのボディの美しさをひきたてている。私がもしこんな体を持っていたら、何でもしそうでコワイ。
図々《ずうずう》しいのはわかっているが、私がもしうのちゃんの顔とボディを持っていたら、あーしたい、こーしたい、というのを箇条書きにしてみた。
㈰街中をタンクトップとパンツという、さらっとした、それでいてスタイルのよくなけりゃ似合わない格好で毎日歩く。
㈪海外のリゾート地へ行き(うんと豪華なところ)、海辺、もしくはプールサイドで水着のまま一日過ごす。もちろん、いい男を二、三人はべらせておく。
㈫南国のコロニアルホテルのベッドで、ずうっと裸のまま横たわっている。一緒にいる男性が近寄ってきても何もさせない。時々、
「冷たい飲み物、持ってきて頂戴《ちようだい》」
と命令する。
㈬真夏のパーティに、うんとシンプルなスリップドレスで登場する。ノーアクセなんだけれども、それが素敵なボディをひきたててまわりからため息がもれる。
㈭セックスの途中、
「なんかさ、もうその気なくなっちゃった」
とか言って起き上がる。えー、そんなアという男を尻目《しりめ》に、バスルームへ行きシャワーを浴びる。タオルで髪をターバン風に巻き、バスローブをひっかけた格好で出てきてテレビをつける。それがものすごくサマになって、男の方は再びむらむらとする。けれども私は、
「何もしないで、って言ったじゃないの」
と叱りつける。
㈮アメリカの通販で買ったみたいな、どうってことのない木綿のワンピースを着る。が、私の体は最高なもんで、どんな人よりも目立って可愛い。
㈯これぞ、と思った男の人と必ずそういうことをしてしまう。したくなったら、自分から誘う。いやらしい媚《こ》びやテクニックは一切無用。ただ素足を組んで「しようか」と一言だけ言う。
他にもいろいろあるのだが、ま、こんなところで我慢しよう。
テツオによると、このうのちゃんの表紙の号は、なんと完売になったそうだ。完売というのは一冊残らず売れたということである。これは編集長として最高の喜びだ。就任間もなく、人望もそうないであろうテツオ編集長にとって、すんごいプレゼントを、うのちゃんはしてくれたわけである。
「いいボディしてたら、私がヌードになってあげてもよかったんだけどね」
とテツオに言ったら、
「ありがとう。その気持ちだけで充分だよ。何もしなくていいよ」
とおごそかに言われた。
さて、このところ私を悩ませていたお腹の肉について、新ニュースがある。かねてより私は、ドラッグストアへ行き、ダイエット食品や美容器具を買うのを趣味としていた。このあいだ近くの店へ行ったら、「とにかく痩《や》せる発汗ジェル」というものが置いてあった。手にとって私はしばし考える。このテのものを、今まで何十回、いや何百回と買ったことだろう。それで効いたことがあるか。私のボディは未《いま》だこんなもんである。が、「発汗」という文字にむやみに心ひかれて、私はレジに持っていった。一個九百円という安さでたいして期待していなかったのであるが、塗って朝起きると、お腹のまわりがじっとりと汗ばんでいるではないか。心なしかすっきりしたみたい。これだから、ドラッグストア通いはやめられないのだ。
そういえば、マツモトキヨシのCM、
「何でも欲しがるマミちゃんは〜」
あの歌が、私は大好きである。まるで、私のことを歌っているみたいではないか。私はいつもあのメロディーが流れるたびに、
「何でも欲しがるマリちゃんは〜」
と替え歌にして歌っているのである。
私は好きな男を友人に取られたことが一、二度ある。が、友人の彼氏を取ったことは一度もない。もし神田うのちゃんの体を、神さまが三日間だけ与えてくれるとしたら、やはりそういう悪さをしてみたい。
女ならいきがかり上、なんとなくつき合っているという女友だちを、誰でも一人か二人は持っているものである。きっぱりとつき合いをやめると、世間の人が「やっぱりね」なんて言いそうな関係。それがイヤなばっかりに、ついずるずると会ってしまう。もちろん相手の女の方が、性格が悪くてこちらを困らせているのだ。図々しかったり、男の人の前に出ると、コロッと態度が変わったりする。が、こういうのに限って、なかなかのレベルの男とつき合ったりするから腹が立つ。
㉀神田うのになった私は、ある日彼女の恋人を呼び出す。お酒の小道具なんか使わない。
「私、あなたが○○子の恋人なんてイヤッ。すごくイヤ!」
とだけ言って、目を見つめる。そして、こう言う。
「私を今すぐ抱いて。そして○○子と比べてみて。それから考えてくれればいいわ」……。
こんなことばっかり考えて、私は今日半日を過ごしたのである。