八四 松崎村字駒木、真言宗福泉寺の住職佐々木宥尊氏の話に、この人の生家の附馬牛村大出などでも、狩の神様だという者が多い。昔は狩人が門出の時にオシラ様に祈って今日はどの方面の山に行ったらよいかを定めた。それには御神体を両手で挟み持ち、ちょうどベロベロの鉤《かぎ》をまわすようにまわして、その馬面の向いた方へ行ったものである。だからオシラ様は「御知らせ様」であろうと、思っているということであった。今でも山の奥では胞《え》衣《な》を埋める場所などを決めるために、こうしてこの神の指図を伺っている者があるという話である。