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歌月十夜36

时间: 2019-11-27    进入日语论坛
核心提示:*s40□廊下授業を受ける気にはなれなかった。「よし、裏庭からブッチするか!」そうと決まれば話は早い。有彦ご用達、校舎裏の秘
(单词翻译:双击或拖选)
*s40

□廊下
———授業を受ける気にはなれなかった。
「よし、裏庭からブッチするか!」
そうと決まれば話は早い。
有彦ご用達、校舎裏の秘密ルートを使って学校から脱出しよう。

□校舎裏
 人目につかないようにコソコソと移動して校舎裏に辿りついた。
さて、あとは茂みに隠れている柵から外に出るだけだ。
知る人ぞ知る、誰がやったか知らないが鉄柵が一本曲がっている脱出路へと足を進ませる。
 
「————————っ」
茂みに入った途端、強い陽射しに視界を焼かれた。
「なんだ、眩し—————」
それでも前に進もうと足を踏み出す。
 
——————ぐちゃり、と。
 なにか、巨大な生き物のハラワタに、足を着けたような感触が、した。
 
        メガネが外れた。
 
「——————え?」
それは錯覚か。
踏み出した場所は、見たコトのない世界だった。
 
 鐘の音が鳴り響く。
                かーん、かーん。
 これはなんの鐘だろうか。
随分と遠くから聞こえてくる。
はるかな眼下。
崖の下、狭い谷間に横たわる村から届いてくる、埋葬の儀礼の報せ。
「—————————」
まずい。
ここにいてはまずい、と脳髄ではなく眼球が理解する。
何故ならここは見慣れた世界だ。
静かに腐りだし、誰にも気付かれないように崩壊している世界の端。
 この先に場所はない。
いうなれば、ここは世界の果てだった。
—————ずるり。
 後ろに下がろうとした足が滑る。
「やっ———————」
ばい、と思った時には遅かった。
背中からハラワタの中に沈みこむ。
「うそ———ちょっと、おい—————!」
突き出した腕も沈んでいく。
とっかかりなんてない。
なにしろ足場である世界そのものが沈んでいるんだから、俺にどうこうできる筈がない。
「なん————————で?」
あまりに唐突だ。
 だが———どこか。これと似たようなコトを、昨日体験した気がする。
 まあもっとも昨日のコトを思い出せない以上、ここから逃れる方法も思い出せない。

沈む。










体は底無し沼にはまったように、なす術もなく世界の果てに呑まれていった。
 
□校舎裏
鳴り響くチャイムの音で目が覚めた。
「あ……五時限目、終わったんだ」
ぼんやりと呟いて、自分が地面に倒れている事に気が付いた。
「……? なんで倒れてるんだ、俺」
きょろきょろとあたりを見渡すと、足元にはバナナの皮があった。
「い———————た」
おまけに後頭部には痛みがある。
「この状況。まさか転んで頭を打って気絶してた、なんて言いたいんじゃないだろうな」
……返事はない。ま、当たり前か。
「それじゃあさっきのは夢だったのか」
世界の果ての幻視。
いやにリアルだったハラワタの感覚。
「———————」
確かめる方法は簡単だ。
さっきと同じように茂みに入って抜け道を通ればいい。
 
□学校の外
「————————」
思案した後、茂みに入って外に出た。
異状なんてある筈がなく、やはりさっきのは夢だった。
「…………なんか、白けた」
外に遊びに行く、という気分でもない。
大人しく教室に戻って、六時限目の授業を受ける事にしよう————
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