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歌月十夜56

时间: 2019-11-27    进入日语论坛
核心提示:*s64□遠野家居間 夕食が終わって夜。定番となった食後のお茶会は居間で開かれ、メンバーは秋葉と翡翠と琥珀さんと自分の四人だ
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*s64

□遠野家居間
 夕食が終わって夜。
定番となった食後のお茶会は居間で開かれ、メンバーは秋葉と翡翠と琥珀さんと自分の四人だった。
これが場合によっては五人になったり六人になったり七人になったりするあたり、この屋敷も人の出入りが多くなったというものだ。
【翡翠】
「志貴さま、二杯目はいかがですか?」
「ありがとう。砂糖は一杯、レモンはいいから」

はい、と翡翠がティーカップに紅茶を注いでくれる。
こっちのソファーには俺と翡翠、あっちのソファーには秋葉と琥珀さんがいる。
こっちは何をするのでもなく窓から中庭を眺めているだけだけど、あっちは何やら物騒な話をしているようだった。
【琥珀】
「それでは秋葉さま、久我峰家のご長男さまはご婚約を諦めたのですか?」
【秋葉】
「ええ、向こうの方から頭を下げて断らせてやりました。父親ともども何か勘違いをしていた愚図どもだから、今回の件はいい薬になったでしょう」
【琥珀】
「それは久我峰さまも災難でしたね。秋葉さまのいじめはそれはもう蛇のように徹底していますから、あちらも今ごろはどうお詫びすればよいか悩んでいる事でしょう」
【秋葉】
「———あのね琥珀。あんまり人聞きの悪いコト言わないでくれない? 兄さんには冗談が通じないんですから、信じられたら困ります」

こちらを気にしているのか、秋葉は琥珀さんをたしなめる。
「あー、それなら気にしなくていいよ。秋葉が陰湿で冷酷で女王さまなコトなんてとっくに知ってるって。さ、そういうわけなんで気にせず悪だくみを続けてくれー。俺は何を聞いても関わらないように聞き流してるから」
ソファーに座ったままで片手をあげる。
【翡翠】
「……志貴さま。あの、そのような事は秋葉さまの前では———」

【秋葉】
「兄さん。私としては今の言葉こそ聞き流せないのですけど」
【琥珀】
「そうですよー志貴さん。悪巧みをしているのは秋葉さまお一人なんですから、わたしは関係ないんです」
【秋葉】
「……そっか。兄さんの前にまずこっちの敵をどうにかしないといけなかった」

はあ、とため息をつく秋葉。
あっちはあっちでやっぱり楽しんでいるようである。
【琥珀】
「あ、そういえば志貴さん、今日は隣街の方に出向いていませんでした?」
「隣街? ……いや、そんな暇はなかったけど。学校だって真面目に出てましたから」
「あ、やっぱり。それじゃあアレはわたしの見間違いですね。間違えて声をかけなくて正解でした」
【秋葉】
「なに、また兄さんに似た人でもいたの? なんでも前の偽者はシエル先輩と一緒にこらしめたそうですけど?」
「……う、その話はもう止めようって言っただろ。まったく、のけ者にされたからっていつまでも拗ねるなんて秋葉らしくないぞ」
【秋葉】
「———違いますっ! 私が気に食わないのはですね、あれからまだ兄さんが瀬尾と電話のやりとりをしているというコトです! 浅上女学院は規律に厳しい所なんですから、異性と電話しているなんてバレたら停学ものなんですよ!?」
「異性って、別にそういう電話じゃないって。あ、そういえばアキラちゃん、学園祭は遊びに来るってさ」
【秋葉】
「なっ……! だから、いつのまにそういう話をですね……!」

……うーん、どうしてアキラちゃんの話になると秋葉はここまでご機嫌斜めになるんだろう。
【翡翠】
「あの、志貴さま。アキラさまというと、以前の殺人事件の際に襲われた方でしょうか?」
「そうだよ。ちょっとしたきっかけから知り合う事になって、今はたまに話すぐらいだけど。それがどうかした?」
「あ、いえ——殺人事件といえば、また隣街で通り魔が現れたという話を聞いたので、つい」
「——————」
 隣街で、また、通り魔殺人事件。
「……ああ、そういえばそんな話を聞いたっけ。たしかに物騒だよね、最近」
 
 そう、確かに聞いた覚えがある。
だが何処で聞いただろう。
朝か。昼か。夜か。
学校か。街中でか。屋敷でか。
それは。
昨日か。今日か。明日だったか。

□遠野家居間
【秋葉】
「兄さん? その話でしたら昨日もしたじゃないですか。昨日のお茶会、覚えてらっしゃらないんですか?」
「え? あ、いや。ちょっとど忘れしてるだけ」
【秋葉】
「もうっ。ただでさえのんびりしてるんですから、昨日のコトぐらいはきちんと把握していてくださいね」
呆れて唇をとがらす秋葉。

「むっ。いいんだよ、忘れるってコトは大事なコトじゃないんだから。その代わり、大事なコトとか好きなコトは絶対に忘れないよ。秋葉の事だって翡翠の事だって琥珀さんの事だって、何一つ忘れられない。そっちが嫌がったってぜーんぶ覚えていてやるんだからな」
ふん、と拗ねる。
【翡翠】

【琥珀】
【秋葉】
と、何か反論がくると思っていたのに、みんなは申し合わせたように視線を逸らして無言になってしまっていた。
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