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歌月十夜59

时间: 2019-11-27    进入日语论坛
核心提示:*s66□遠野家居間 夕食後のお茶会。今日は珍しくみな疲れていて、あまりゲームや話をしようという状況ではなくなっていた。【翡
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*s66

□遠野家居間
 夕食後のお茶会。
今日は珍しくみな疲れていて、あまりゲームや話をしようという状況ではなくなっていた。
【翡翠】
「……あの。志貴さま、どうかなさいましたか?」
「え……? いや、別にどうもしてないよ。ただぼんやりしているだけだけど」
「……それならばいいのですが。どこか昨日と比べて気分が優れないようでしたので」

翡翠は紅茶を淹れながら気を遣ってくれる。
……まあ、こっちから言わせてもらうと俺よりみんなの方が元気がなさそうなのだが。
「そういう翡翠はどうなんだ? 夜になったら急に元気がなくなったようだけど」
【翡翠】
「————————」
核心をつかれたのか、翡翠は目をみはって黙り込む。
【秋葉】
「……へえ、翡翠もそうなの? 琥珀も元気がないって言ってたけど、姉妹そろって風邪でも引いた?」
「いえ、体調に問題はありません。ただ少し、昨日から夢見が悪くて寝つけないだけです」
「……夢見が悪い? ちょっと翡翠、それってどういうコト?」
「? いえ、言葉通りの意味ですが。悪い夢を見てしまって、少し気分が優れないだけなんです」
【秋葉】
「……へえ。琥珀だけじゃなくて翡翠もそうなんだ。まあ、かくいう私も似たようなものなんですけど」
はあ、と重苦しいため息をこぼす秋葉。
「秋葉。それって、つまり悪夢を見ているってコトなのか」
その、悪い夢という単語が気になって声をかけた。
【秋葉】
「はい? ……ええ、ちょっと昔のコトを夢に見たんです。私が一番見たくない風景が夢に出てきて、目覚めた時はすごく嫌だった……あれ、おかしいですね。そんなイヤなコトをどうして忘れていたのかしら」
はて、と首をかしげる秋葉。
【翡翠】
「……………………」
翡翠も秋葉とまったく同じ心境なのか、どこか納得のいかない顔をしている。
「……ふうん。一番見たくない悪夢を見たのか」
それはつまり、一番怖れているイメージという事だ。
「……………………」

悪夢。
その人間にとって最も出会いたくない相手。
無意識に封じてあるくせに、なによりも強く投影される罪の咎め。
【秋葉】
「……兄さん? どうしたんですか、急に恐い顔をしてしまって」
秋葉が心配そうに顔を覗き込んでくる。
それになんでもないと答えて、ソファーから立ちあがった。

「————そうか。俺だけじゃなかったんだ」
 無意識にそんな言葉をこぼして居間を後にする。
 
————さて、言うまでもないが。
 核心をつくそのセリフは無意識にこぼした言葉にすぎないので、やはり今の俺にはその意味も意図も分かるはずがないワケである。
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