□マンション入り口
でも来る。
土砂降りだろうが大雪だろうが、今日の午前中はアルクェイドに会うと決めたからには実行あるのみ!
でも来る。
土砂降りだろうが大雪だろうが、今日の午前中はアルクェイドに会うと決めたからには実行あるのみ!
□マンション廊下
ぴんぽーん、とチャイムを鳴らす。
……この時間、アルクェイドが出てこないのはいつもの事なので、合い鍵を使って中に入る。
……この時間、アルクェイドが出てこないのはいつもの事なので、合い鍵を使って中に入る。
□マンションキッチン
「おーい、生きてるか〜?」
ドアを閉めつつ、奥の部屋へ声をかける。
「……んー、起きてるよ〜」
いかにも今まで眠っていたような声が返ってきた。
「よし、じゃあお邪魔するぞー」
勝手知ったる人の家、とためらう事なく奥の部屋へ移動した。
ドアを閉めつつ、奥の部屋へ声をかける。
「……んー、起きてるよ〜」
いかにも今まで眠っていたような声が返ってきた。
「よし、じゃあお邪魔するぞー」
勝手知ったる人の家、とためらう事なく奥の部屋へ移動した。
□アルクェイドの部屋
「んー、おはよ〜」
「っ!?」
びくっ!と思わず体が止まった。
「っ!?」
びくっ!と思わず体が止まった。
【アルクェイド】
「志貴がこんな早くから来るなんて珍しいね。休みの日はいつも夕方に来てくれるのに」
んー、と背中を伸ばして眠気を払拭しようとするアルクェイド。
「—————————」
う……今更といえば今更のくせに、なんか妙にドキドキする。
んー、と背中を伸ばして眠気を払拭しようとするアルクェイド。
「—————————」
う……今更といえば今更のくせに、なんか妙にドキドキする。
【アルクェイド】
「よし、ちゃんと目が覚めたかな」
ふう、と一度だけ深呼吸をして目をパチクリさせる。
「おはよう志貴。なんか顔が赤いけど、ここまで走ってきた?」
走ってきた、というのをどう解釈したのか、アルクェイドは嬉しそうだ。
……まあ実際早く会いたくて走ってきたわけだけど、その———
「よし、ちゃんと目が覚めたかな」
ふう、と一度だけ深呼吸をして目をパチクリさせる。
「おはよう志貴。なんか顔が赤いけど、ここまで走ってきた?」
走ってきた、というのをどう解釈したのか、アルクェイドは嬉しそうだ。
……まあ実際早く会いたくて走ってきたわけだけど、その———
「—————————」
こっちはアルクェイドと違って、すぐさま思考を切り替えられない。
「あ、また走りっぱなしで無茶したんでしょ?志貴は持久力がないんだから、長距離走は止めておいたほうがいいんだって」
「—————————な」
それは自分でもよく解っている、と返答しようとして、あやうく別の言葉が出そうになった。
「—————————な」
それは自分でもよく解っている、と返答しようとして、あやうく別の言葉が出そうになった。
「? 志貴、なんかヘンだね」
だから、それはおまえのせいなんだってば。
「—————————なまあし」
「なまあし? 聞いた事ないけど、なにそれ?」
だから、なまあし。
なまあし。
なまあし。
なまあしなまあしなまあしなまあしなまあし!
だから、それはおまえのせいなんだってば。
「—————————なまあし」
「なまあし? 聞いた事ないけど、なにそれ?」
だから、なまあし。
なまあし。
なまあし。
なまあしなまあしなまあしなまあしなまあし!
「志貴?」
「ちょっとタイム。一分ほど話しかけないでくれ」
「ちょっとタイム。一分ほど話しかけないでくれ」
誘惑を断ち切るように目蓋を閉じる。
……くそ、あんなの何度も見てるっていうのに妙に意識してしまって、頭には同じ言葉しか浮かばない。
寝崩れたシャツ一枚、というのは、反則だ。
なまじ隠されてるからヘンに妄想が膨らむというか、いつも以上に曲線がキレイに見えるというか。
こう、思わずこのまま押し倒してなだれこみたい衝動に駆られるぐらいに扇情的だ。
恐るべしワイシャツ効果。くわえて朝の光にシャツが透けているという効果も見逃せまい。
「ねえ志貴、一分経ったけど?」
「ええい、あと一分延長!」
ハア!と両手を合わせて精神統一する。
禁止禁止、なまあし禁止!
だいたい、いくらなんでも朝からそうゆうコトをするのはどうかと思う。
自分は健全な学生なんだ。若さゆえの勢いにまかせてしまっては、いずれ肉欲の日々に落ちてしまうのは明白だって。
うん、なにしろ若いんだから。
「———————」
……まずい。なんか、自分を冷静にするはずの理屈が破綻しかけてる気がする。
気を取りなおして、雑念を払うために深呼吸をする。
————と。
ばふ、という柔らかい音がした。
……まずい。なんか、自分を冷静にするはずの理屈が破綻しかけてる気がする。
気を取りなおして、雑念を払うために深呼吸をする。
————と。
ばふ、という柔らかい音がした。
「……アルクェイド……?」
□アルクェイドの部屋
恐る恐る目蓋を開けると、予想通りというか、最悪の事態というか、アルクェイドはベッドに横になっていた。
「……んー、やっぱり無理みたい。なんか凄く眠いから、今日はこのまま寝ちゃうねー……」
むにゃむにゃと寝言一歩手前の声を出すアルクェイド。
「寝ちゃうって、おまえ———」
「ね、一緒に寝ない? 今日も悪い夢を見るだろうから、志貴もわたしに付き合ってよ」
「い、一緒にって、別にいいけど———」
っていうか、いいのかそれ。
このままなし崩し的にベッドに入ったら、それこそ———
むにゃむにゃと寝言一歩手前の声を出すアルクェイド。
「寝ちゃうって、おまえ———」
「ね、一緒に寝ない? 今日も悪い夢を見るだろうから、志貴もわたしに付き合ってよ」
「い、一緒にって、別にいいけど———」
っていうか、いいのかそれ。
このままなし崩し的にベッドに入ったら、それこそ———
「待った。悪い夢を見るって言うけど、それってどんな夢なんだ?」
「んー、志貴がわたしに殺される夢ー」
あっさりとアルクェイドは言いきった。
「………おまえ、最近質が悪いぞ。夢ってのは無意識下の願望なんだって知ってるか」
「それは貴方たちの理屈でしょう。元々夢を見ないわたしが見る夢はそういうものじゃないもの」
「そういうものじゃないって、じゃあどういうものだよ」
「そんなの知らない。……ああもう、眠いんだから早く決めて! 志貴はわたしと寝てくれるの、寝てくれないの!?」
「んー、志貴がわたしに殺される夢ー」
あっさりとアルクェイドは言いきった。
「………おまえ、最近質が悪いぞ。夢ってのは無意識下の願望なんだって知ってるか」
「それは貴方たちの理屈でしょう。元々夢を見ないわたしが見る夢はそういうものじゃないもの」
「そういうものじゃないって、じゃあどういうものだよ」
「そんなの知らない。……ああもう、眠いんだから早く決めて! 志貴はわたしと寝てくれるの、寝てくれないの!?」
ぐわー、と火を吐く怪獣みたいな癇癪を起こすアルクェイド。
……そりゃあ一緒に寝るのはむしろ望むところなんだけど、今の状況でベッドに入るのはまずいと思う。
ああもう、どっちにするんだ志貴————!