*s212
ほう、箪笥の中身ですか。
それはもちろん箪笥に隠された先輩のヘソクリが目当て、なんていう当たり障りのないオチではなく、もっと箪笥の本質に迫る中身が目当てなのですね。
それはもちろん箪笥に隠された先輩のヘソクリが目当て、なんていう当たり障りのないオチではなく、もっと箪笥の本質に迫る中身が目当てなのですね。
□シエルの部屋
「—————フン、蛇に憑かれたか」
箪笥を前にして、口が独りでに動いた。
それは邪な気配を察知し、脳漿の隙間を縫って正常なる人格を変貌させる毒に他ならない。
古では啓示。
理では衝動。
所によっては電波とも呼ばれる擬似人格。
ソレに汚染された人間は、わずかの間ながら別人として活動する。
箪笥を前にして、口が独りでに動いた。
それは邪な気配を察知し、脳漿の隙間を縫って正常なる人格を変貌させる毒に他ならない。
古では啓示。
理では衝動。
所によっては電波とも呼ばれる擬似人格。
ソレに汚染された人間は、わずかの間ながら別人として活動する。
「……というわけなので、失礼します」
パンパン、と手を叩いてから引き出しを引いた。
パンパン、と手を叩いてから引き出しを引いた。
「おおーーーー!?」
□シエルの部屋
ピカー、とか光らないのが不思議なぐらい、引き出しの中は素晴らしかった。
さすが先輩、このコレクションはちょっと普通じゃないぜ。
オーソドックスな白からはじまって微妙な色彩変化とモデルチェンジを加えて、実に一段百を超える幅広さ!
ちゃんと仕切りで区切られているのも高ポイントです。ぱっと見、一口チョコがつまった高級セットを連想させます。
さすが先輩、このコレクションはちょっと普通じゃないぜ。
オーソドックスな白からはじまって微妙な色彩変化とモデルチェンジを加えて、実に一段百を超える幅広さ!
ちゃんと仕切りで区切られているのも高ポイントです。ぱっと見、一口チョコがつまった高級セットを連想させます。
「———————やば」
くらり、と眩暈をおこしそうな意識を支える。
ヘヴンだ。引き出しの中には天国があるってマンガは本当だったんだ! ありがとう、ありがとう未来の科学!
くらり、と眩暈をおこしそうな意識を支える。
ヘヴンだ。引き出しの中には天国があるってマンガは本当だったんだ! ありがとう、ありがとう未来の科学!
□シエルの部屋
「うわ、これなんか紐だぞ紐! ……そっか、法衣の時はぱんつ履かないでこーゆーのつけてたんだー。なんとなく布なのかなー、と思ってたんだけど、なかなかどうして先輩も女の子ですなー」
ふむふむ、とさらに下の引き出しを開けてみる。
下はブラジャーが基本で、さっきの段ほど一目でくらっと来るものはない。
「うわ、これなんか紐だぞ紐! ……そっか、法衣の時はぱんつ履かないでこーゆーのつけてたんだー。なんとなく布なのかなー、と思ってたんだけど、なかなかどうして先輩も女の子ですなー」
ふむふむ、とさらに下の引き出しを開けてみる。
下はブラジャーが基本で、さっきの段ほど一目でくらっと来るものはない。
「……意外。わりとスポーツタイプ少ないんだ」
「はあ。なんで意外なんですか、遠野くん」
「いや、だってさ。先輩いつも動きまわってるから、てっきり動きやすさ重視かと思ってた」
「はあ。なんで動きやすさ重視なんですか、遠野くん」
「だーかーらー、先輩胸おっきいじゃん。戦う時に邪魔んならないよう、しっかり固定しとかないとやられちゃうぜ」
「あはは、そんなの巨大なお世話です」
「そっか、巨大なお世話かー」
あはは、と一緒になって笑う。
「はあ。なんで意外なんですか、遠野くん」
「いや、だってさ。先輩いつも動きまわってるから、てっきり動きやすさ重視かと思ってた」
「はあ。なんで動きやすさ重視なんですか、遠野くん」
「だーかーらー、先輩胸おっきいじゃん。戦う時に邪魔んならないよう、しっかり固定しとかないとやられちゃうぜ」
「あはは、そんなの巨大なお世話です」
「そっか、巨大なお世話かー」
あはは、と一緒になって笑う。
—————さて。
そろそろ、この絶体絶命のピンチを切り抜けるきっかけを作らないと命に関わる。
「…………………」
ギチギチギチ、と音をたてて首だけを後ろに向ける。
そろそろ、この絶体絶命のピンチを切り抜けるきっかけを作らないと命に関わる。
「…………………」
ギチギチギチ、と音をたてて首だけを後ろに向ける。
【シエル】
「———それで。そろそろいいですか、遠野くん」
先輩。それはそろそろ死にますか、という意味ですか。
「まあ、待った。何も悪気があったわけでは、ない」
そろそろと引き出しの中に両手を入れる。
「彼が悪ではなく、彼は悪魔ではなく、彼は罪人ではない。だが、許される事はなかった、ですか。墓碑銘に刻むには悪くないですね」
「うわー、先輩ったら本気だー。シエル短気、シエルおとなげなーい!」
【シエル】
「っ! あ、あの馬鹿女ですかあなたは!」
ぐわっ、と火を吐くシエル先輩。
ちゃんす!
「っ! あ、あの馬鹿女ですかあなたは!」
ぐわっ、と火を吐くシエル先輩。
ちゃんす!
「てや!」
引き出しに突っ込んでいた両手を目一杯広げて万歳をする。
ぶわさ、と撒き散らされる下着の束。
「——————!」
「隙ありーーー♪」
引き出しに突っ込んでいた両手を目一杯広げて万歳をする。
ぶわさ、と撒き散らされる下着の束。
「——————!」
「隙ありーーー♪」
しゃっ、と素早く先輩の横をすり抜け、そのまま台所を突破、階段を転がるように下りて外へと脱出する。
□アパート
「待ちなさい遠野くんっ——————!」
ものすごい剣幕で部屋から出てくるシエル先輩。
が、このアドバンテージを渡す訳にはいかないのだ。
「あはは、待ちません。ほとぼりが冷めた頃に会いましょう!」
「こ、このぉ………! 明日五体満足で学校から出られると思わないでくださいねっっっっ!」
背中にかけられる罵詈雑言を振り払ってアパートを後にする。
……で、先輩が追いかけてこない事を確認して立ち止まった。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
荒くなった呼吸を正す。
「やばいなあ……ちょっとしたイタズラ心だったのにどうしてこうなったんだろう……?」
タイミングが良かったというか魔が差したというか、逢魔が時の魔力というか。
ま、済んでしまったコトをくよくよ考えても仕方がないか。
「しばらく先輩には会えないな、こりゃ」
明日は先輩の挙動に注意しよう、と心に留めて屋敷への帰路についた。
明日は先輩の挙動に注意しよう、と心に留めて屋敷への帰路についた。
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