返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

私の部屋に水がある理由42

时间: 2019-12-07    进入日语论坛
核心提示:選 ぶ 権 利私の田舎の長崎には、ついこないだまで「夜這い」なんてものがあった。とは言ってももちろん市街地の話ではなく、漁
(单词翻译:双击或拖选)
選 ぶ 権 利

私の田舎の長崎には、ついこないだまで「夜這い」なんてものがあった。とは言ってももちろん市街地の話ではなく、漁師なども住む海辺のあたりのことだが、その「夜這い」というのは全く失礼な風習なのだった。
知らない者から見ると、お互い好き合った男女がこっそり逢うためのもののように思えるが、それは幸運なケースで、男の側が勝手に、
「あれにきーめたっと」
とやってきて、
「ひっ、あんた、だれ」
「しー、親に聞こえるぞ」
となしくずしになってしまうことがけっこうありそうなの、話聞いてると。
長崎市内の旅館に住み込みで働いてたとき、海辺の土地の子から、おねえさん(それも身重)が、だんなさまの留守に夜這いに遇ってしまい、必死で追い返した話を聞いたときは、あきれてしまった。鍵をかけろよ、鍵を! と言いたいところだが、長崎では、街中でさえ、のんきな人は戸締まりしない。つまり、夜這いに来られてしまった方には、何の意志もないのだった。そして、やって来る方は、行きさえすれば女の体が自分の思いどおりになることを、少しも疑ってはいないのだった。
「あたしにだって選ぶ権利はあるんだから」
という言葉は、すっかり死語になってしまったと思っていたが、現実はそうでもなかったりする。これは別に、長崎に限ったことでもないと思う。
 選ぶためには吟味しなくちゃならない。顔を合わせてるだけじゃどんな人かわからないし、話もしたいし、いろんな場面でのその人を見たい。
でもさ、
「外国では、男の車に乗り込んだら、もう寝てもいいっていうことなんだ」とか、
「外国では、いっしょに食事をしたらもう……(以下同文)」
なんて言われません? こういう外国の風習を、自分に都合のいいとこだけクローズアップして使用する人って、けっこういるような気がする。ほら、
「外国では、三十代四十代のデビューは当たり前なんだよ」
なんて言って、それを希望にして努力するんじゃなく三十代四十代まで|何もしない《ヽヽヽヽヽ》人っているでしょう。
そういう使用法って、外国の人にも失礼だしやめてほしい。
車に乗り込んだら寝てもいいだなんて、そんな訳ねーだろ。車に乗って、食事をして、お酒を飲んで、たとえ一緒の部屋に朝までいても、性交渉の相手というジャンルに限って最終選考で落ちるってことも、あるはず。逆に、たとえ関係しても、レギュラーでつきあう人にはできなかったり、それが本当の「選ぶ権利」ってことだし、とても自然なことだし、たぶん男女を逆にしたら「今さらそんなこと言われなくても」と言われそうな話だし。
ところが話を長崎に戻すと、夜這いの風習などない市街地でも、あいかわらず「女は男に選ばれて、男の所有物になる」ものだと思われているのだった。その証拠に、合わないと思った男と別れて次の男とつきあっていると、すぐに「だれにでもやらせる女」と言われるのだった。
そのくせ東京にいくと言うと、
「東京にはあんたの想像もできないような男がいるんだからね。絶対男にだまされるよ」
とみんなが言うのだった。そのセリフに、男女が逆になるヴァージョンはなかったようなので、地元の女を外に出すのが嫌だったとしか思えない。
やあねえ。なんかものすごく昔の話をしてるみたいでしょ。でも、ついこないだ、私の会社にやってきた名古屋出身の二十歳の女の子が、家族に同じことを言われていたの。土地はどこであれ、心が田舎の人ってのは、どうもそうやって「女は同じところでじっとしてて、男に選ばれるのを待っているもの」という考えが好きらしい。男の人で、
「一回仲良くしたらもう女は自分のもの」
だと思っているような人は、きっとそういう人たちに育てられたのね。なるべくそういう男とぶつからないよう、がんばって逃げ回りたいものだ。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%