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海嶺98

时间: 2020-02-28    进入日语论坛
核心提示:再び重右衛門日記九月二十一日晴天、風やや強く、波頭白し。糠《ぬか》喜びと言うは、喜ばざるより悪《あ》し、身心に悪し。夕刻
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再び重右衛門日記

九月二十一日
晴天、風やや強く、波頭白し。糠《ぬか》喜びと言うは、喜ばざるより悪《あ》し、身心に悪し。夕刻近く、櫓《やぐら》に登り居し久吉|慌《あわただ》しく叫ぶ。船見ゆると。急ぎ岩松、音吉、仁右衛門らと櫓に登る。南の方《かた》に確かに船影見ゆ。俗に、帆影七里船影三里と言うなれぱ、ともかく近き所に船あるなり。早速|舵《かじ》をまわして船影に吾が船を近づけんとす。彼方《かなた》よりも、こなたの船見ゆるならんと、久吉音吉狂喜して声を限りに叫ぶ。聞こゆる筈《はず》なしと言えども、手をふり叫びて止まず。
彼方の船、向きを変えたる如く見えたれば、さては気づきたるやと、胸|轟《とどろ》けり。何処《いずこ》の船なるか知らざれど、とにも角にも助け呉《く》るるべしと吾《われ》ら言う。然るに仁右衛門言う、必ず助け呉るるとは限らず。海賊船なるやも知れずと。帆の形、異国の船と思えど、彼の船に人ありと思えば、只《ただ》に心奮いて近づくを待つ。
ややありて一同、衣服を更《あらた》めんと言い、急ぎ水主《かこ》部屋に戻《もど》り着更《きが》えたり。部屋の内乱れ居るは、これ日本の恥と、部屋ぬちをも整え再び櫓《やぐら》に戻る。櫓に戻れば、こは何と言うことぞ、確かに此方《こなた》に向かいて進み来しと見えし船の、いつしか向きを変えて去り行くなり。
久吉言う。此方《このほう》に人影見えずして、無人の船と思いしならむと。さほどまでは近寄らざりしかば、さりとは思えず。いかなる故《ゆえ》に去り行きしならむや。一同声もなく櫓に坐《すわ》りこみたりき。
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