ここで、ついでに予約とチェックインのことで注意事項を書いておきましょう。
いつの場合でも、フロントに電話を入れて予約をしておいたほうがいいのは当然のことです。予約なしで入ってチェックインすることをホテル業界用語で「ウォークイン」といいますが、お泊まりする予定はなかったのに、なんとなくその気分になっちゃって、夜なんかにいきなりフロントに行く場合、デポジット(預け金)を取られることになります。
つまり、夕方七時ごろにウォークインするとすると、それから食事をする可能性があるわけですよね。そうすると、二万円くらいの部屋だったら四万円くらい、チェックインの段階で置いておかなくちゃいけない場合があるわけです。九時以降だと三万円くらい、とか。なにしろ、予約なしの�夜の訪問者�なわけですから、信用度がいまいちってことなわけです。
だから、クレジットカードじゃない人の場合だと、部屋の料金プラス税金・サービス料金だけと思って行くと、デポジットがサイフの中身じゃ足りなくて赤っ恥をかくというケースも考えられるわけです。クレジットカードは、丸井のカード以外に、何でもいいから一枚でも持っていたほうがいいですね。
予約する場合は、特にいい方法なんて別にありません。ただ、部屋が満室で予約できないとき、親しくしている旅行代理店がもしあれば、そこから手をまわしてもらう、という方法がありますね。旅行代理店の営業マンが仲良くしているホテル側の営業マンがつねに押えている部屋数って、必ずあるものなんですよね。
それから、女のコの「声が大きい」場合などは「角の部屋」と指定したほうがいいかもしれません。こういうことは、ちゃんというべきでしょうね。
それから、シングル、ツイン、ダブルの使い分け。もちろん、二人で泊まるのならダブルが一番いいでしょう。シングルを取って、二人で泊まっちゃえ、というセコい手に出ても、往々にしてバレます。若い男がチェックインすると、ホテル側では、
「これはラブアフェア使用じゃないか」
という疑いの目を、まず向けて見るものですから、ロビーに女のコを待たせておいて、一緒にエレベーターに乗ったりすると、即バレます。
ダブルを借りるお金がどうしても足りない、という場合は、ツインルームのシングルユースという手がありますが、これもバレないようにやらないといけません。シングルは部屋数が少ないので、外国からのビジネスマンが、一人で泊まる場合に、ツインルームを提供するということがよくあります。これだと、シングルとツインの間くらいのレベルの料金になりますが、たとえ、うまく部屋に二人で入れたとしても、ルームサービスを二人分受けることがむずかしくなります。
たしかに、一泊二万円ちょっとというのは、安くはありませんが、でも、ホテル恋愛を楽しんでみたいですね。前にも書いたように、ホテル空間というのは、生活から切り離されている、ということが大きな意義なわけですから、金の心配をするくらいなら、もう少し余裕ができるときまで待ったほうがいいでしょう。
月に一回でもいい。三か月に一回でもいい。ホテルに女のコと二人で行って、昼間から夜、深夜、翌朝から正午くらいまで、生活感を払拭《ふつしよく》した形で、ゴージャスに遊ぶ、というのが理想形ですね。
こういう遊び方ができると、普段は別に、二人で一〇〇〇円のごはんでも、まったく気にならないんですよね。ボクも学生時代はそうだったし、いまだって霞《かすみ》町あたりの定食屋みたいなところで、お腹一杯になって千円未満のごはん食べてますよ。別に恥ずかしいことないわけです。安いものを食べても、惨《みじ》めったらしくならないですむ。
それは、自分に余裕がある、と思い込んでるからです、自分自身でね。
ホテルへ行って、生活切り離して遊ぶっていうことが、普段の生活のリフレッシュになってるわけです。心豊かに、十分に余裕がある、という状態でなければ、恋愛を楽しもうというムードには、なれっこありません。ホテル恋愛は、その恋愛自体だけではなく、その次の恋愛の「芽」を育てるためにも、非常に有効だ、ということができるわけです。