厳選なる審査の結果、小倉市長の16歳の令嬢で、当時、学習院中等科に在学していた末弘ヒロ子が、みごと最初のミス日本に選ばれました。ところが、ここで事件が持ち上がりました。ヒロ子は華族の学校である学習院の生徒であり、しかも校長はあの乃木大将でした。乃木は「美人コンテストなどとは、けしからん」と激怒し、ヒロ子を退学処分にしたのです。
しかし、ヒロ子自身は、自分がコンテストに応募していたとは知らなかったのです。ヒロ子の義兄が、本人に内緒で写真を送ったのでした。それでもヒロ子は、退学処分を受け容れました。
その後、乃木大将は、意外な行動をとりました。彼みずからが媒酌人となって、ヒロ子を、陸軍元帥で伯爵の野津道貫の跡取り息子と結婚させたのです。伯爵夫人となったヒロ子は、当時としては最高の玉の輿でした。はたして乃木大将の真意や如何に?