A:ねぇ、昨日の同窓会どうだったんですか。結局一人いくらでしたか。
B:楽しかったですよ。班長さんが全部払ってくれました。
A:へー!すごいですね。日本の場合は、割り勘にしますから。
B:そうですね。私は日本人の親しい友人に「ご飯を食べに行きませんか」と最初に誘われたと時、当然私が御馳走してもらえるのだと思いました。しかし、食事が終わったら「あなたはいくらですよ」と言われてビックリしました。大勢の人との飲み会の時、割り勘をするのは分かりますが、二人だけでも割り勘にするなんて、人間関係がよそよそしくなってしまい、ケチだと思われたら、いやですよ。
A:日本人は友人であっても相手に負担をかけることを避けようとします。場合によりますが、相手に積極的に助けを求めたりしません。割り勘にすることには、他人に負担をかけないという気持ちが込められていると思います。一見冷たい気もしますが、そこには日本人ならではの思いやりがこめられていると思いますよ。また、割り勘にするのは公平ですし、わざわざ他人のためにお金を払ってしまうことは、相手に対する「施し」だと誤解される時もありますし、お互いの心理的な負担を大幅に減らすことができるのが割り勘の長所だとも言えます。
B:なるほど。しかし、日本で食事をおごるときはどんな場合でしょうか。
A:同僚が集まって飲食を行う場合に、社内の地位が上の人が下の人の分も支払うという習慣があります。これは年功制で部下のほうが賃金が低く同じ額を払うと部下のほうが賃金に対する負担の割合が高くなることと、上司が料金を払う=上司に従う、という上下関係の投影の2つの理由があると思います。また、交際している若い男女が料金を支払う場合、男性がおごる、あるいは、多めに払うという習慣があります。「男が女を食わせる」という女性の就職・社会進出がまれであった時代の思想を反映したものです。
B:ふーん。そうですか。話が変わりますが、夕飯を一緒に食べませんか。割り勘ですけど。
A:(笑う)はい、はい、いいですよ。