A:疲れましたね。ちょっとお茶にしましょうか。
B:いいですね。ところでお茶を飲む習慣は、日本人にすっかりしみこんでいますね。
A:そうですね。日本のお茶は中国から伝わってきて、ただ飲むことから、作法を持った茶道へと独自の発展を遂げてきました。お茶は日常生活に欠かせない憩いを与え、人の心を豊かにしたとも言えます。
B:日本人が普段よく飲むお茶と茶道に使うお茶は同じですか。
A:ううん、日本人は日常ではよく煎茶を飲みますが、茶道には抹茶を使います。
B:そうですか。茶道にはどんな作法がありますか。
A:流派によって多少違いがありますが、大体は、茶碗に抹茶を入れて、釜の湯を注ぎ、茶せんでかき回し泡立てます。そして、手で茶碗を取り、左の手のひらにのせ回してから飲みます。茶碗には正面があり運ばれてきたときに向けられた側が正面になります。お茶をいただくときに、この正面を避けるため、茶碗を回して飲みます、飲んだ後、指先でぬぐい、指は懐紙で拭きます。あ、懐紙って、茶席で、菓子を取り分けたりするのに用いるもので、たたんで懐に入れておく紙のことです。
B:いろいろ難しそうですね。茶道はどんなとことで、どんな人がやりますか。
A:普通は4畳半の畳の茶室でやります。大昔は、茶道は男性だけのものでしたが、女性も嗜むようになったのは明治以降のことです。また、女学校教育に茶道を取り入れたのが女性への普及の始まりとされ、昭和のころから女子教育が盛んになるとともに急激に普及したとされています。昭和の頃には茶道を習って茶道具を嫁入り道具とした若い女性も多かったんですよ。
B:なるほど。日本人は茶道を行う時にはどんな心境ですか。
A:茶道では「一期一会」と言う言葉があります。これは、「人との出会いを一生に一度のものと思い、相手に対し最善を尽くす」といういもの言葉です。茶道ではこの精神に則ってお茶をたてる事を大切にしています。
B:一期一会ですか。いい言葉ですね。