ドクター、医師――ドラマの主人公なんかでは、とてもカッコいいですね。高額所得の代表的な職業でもあり、将来、医師を目指す若者は多いと思います。しかし、医師は、人の生命に直接関わる仕事です。緊急な場合でも的確な判断によって診療を行わなければならず、高い技術と何ものにも動じない冷静沈着さが求められます。また医師は、死んでいく人と最後まで会話を交わす極めて情緒的・倫理的な職業で、単なる秀才には向かない仕事だということも心しておかなくてはなりません。
医師は大きく分けて、患者とじかに接して診療にあたる臨床医と、病気の原因をつきとめるために基礎医学を研究する研究医に分けられます。ほとんどは臨床医ですが、臨床医はさらに、勤務医と開業医に分けられます。医療技術は日進月歩の速さで進んでいますから、医師になった後も、常に勉強を続けなければなりません。知的向上心の高い人でなくては、すばらしい医師になれないのです。
[なるための進路]
医師になるには、大学の医学部に進学し、国家試験に合格しなくてはなりません。国家試験の合格率は高いのですが、そもそも大学の医学部進学が大難関です。卒業して国家試験に合格した後は、指定の病院で2年間の研修医としての研修・経験が必要です。
ただし、今後は医師の数が増えつづけ、近い将来、医師過剰時代が来ると予想されています。いまでも、とくに都市部の大きな病院では希望者が集中し、競争はたいへん厳しいようです。医者になったから安泰、という時代でなくなるかもしれません。