日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

蛇神1-2-3

时间: 2019-03-24    进入日语论坛
核心提示:    3 日登美は伯母の顔を穴があくほど見つめていた。すぐに声が出なかった。「それじゃ、わたしは」 ようやく掠《かす》
(单词翻译:双击或拖选)
     3
 
 日登美は伯母の顔を穴があくほど見つめていた。すぐに声が出なかった。
「それじゃ、わたしは……」
 ようやく掠《かす》れた声で言った。
「父の子供ではないってことですか?」
 伯母は黙って頷《うなず》いた。
「で、でも、父がO型だというのは間違いないんですか」
 食い下がるように聞く。何かの間違いということも考えられる。日登美の血液型のことは学校で調べて貰《もら》ったものだから、たぶん、間違いはないだろう。しかし、父の方は……。
「間違いないと思うわ。若い頃、徹三は交通事故に遇《あ》って輸血を必要としたことがあったのよ。そのとき、病院で調べて、徹三の血液型がO型だと分かったんだから……」
 伯母はきっぱりとそう言った。
「それに、あんたは東京で生まれたんじゃないのよ、本当は」
「え……。でも、わたしの戸籍はあの家の住所になっていますけれど」
 日登美は驚いて言った。
「緋佐子さんが徹三のもとに来たとき、既に生まれたばかりのあんたを連れていたらしいのよ。たぶん、あんたは、緋佐子さんの郷里であるヒノモト村というところで生まれたんじゃないかしら。ところが、緋佐子さんは、徹三のもとに来て、すぐに病気で亡くなってしまった。それで、徹三はあんたを自分の娘として籍に入れて今まで育ててきたのよ……」
 日登美は言葉もなく伯母の顔を見ていた。伯母のこの突然の告白に大きなショックを受けてはいたが、心のどこかで、ああ、やっぱりと思っている自分もいた。
 徹三も祖父母も、この二十六年、日登美を血のつながった我が娘、我が孫として接し続けてくれたが、成長するにしたがって、日登美の心のどこかで、自分が父にも祖父母にも全く似ていないということが小さなわだかまりになっていたのだ。
 日登美は死んだ母親似だから……。
 父や祖父母にそう言われるたびに、わたしはたまたま母の血が濃く出ただけなのだと思い込もうとしていたが、それでも、漠然《ばくぜん》と感じはじめた疑惑は、日登美の心の一番柔らかいところに抜けない刺《とげ》のように食い込んでいた。
 だから、伯母の突然の告白にショックを受けたというよりも、今まで漠然とした疑惑として抱き続けてきたことが、伯母のこの告白によって厳然とした事実になってしまったということに、日登美はショックを受けたのだ。
「こんなときに追い打ちをかけるみたいに残酷なことを言うと思うかもしれないけれど……」
 姪の顔色が目に見えて変わったことに、伯母は心苦しさを感じたように、言い訳めいた口調で言った。
「こんなときだから打ち明けておこうと思ったのよ。さっきも言ったように、このことを知っているのは、亡くなった父母と徹三とわたしだけなんだから。徹三がこんな形で亡くなってしまわなければ、わたしだって決して打ち明けようとは思わなかったんだけれど……。でも、日登美ちゃんの本当の父親は別にいるんだよ。ひょっとしたらまだ生きているかもしれない。緋佐子さんの郷里だという、その長野県のヒノモト村という所に今も住んでいるのかもしれない。昔、その人と緋佐子さんの間で何があったかは知らないけれど、もし、あんたが訪ねて行けば、実の娘なのだから……」
「わたしの父は倉橋徹三だけです」
 伯母の言葉を遮るように日登美はきっぱりと言い切った。
「…………」
 伯母は鼻白んだように黙った。
「たとえ、父との間に血のつながりがなかったとしても、わたしにとっては、倉橋徹三だけが父なんです」
「そ、それは、そうね。生みの親より育ての親って言うものね。ただ、わたしが言いたいのは、徹三が亡くなったからといって、あんたは天涯孤独になったわけじゃないってことなのよ。この先、まだ小さい春菜ちゃんを抱えて、誰かの助けを借りたくなるときもあるでしょう。そのとき、もし、あんたさえその気になったら、ヒノモト村を訪ねてみたら……って思ったもんだから」
 伯母は、幾分慌てたようにそれだけ言うと、その場の気まずい雰囲気にいたたまれなくなったのか、これみよがしに和服の袖《そで》をめくりあげて腕時計を眺め、「あ、もうそろそろ行かなくては……」と、伝票をつかんで腰を浮かした。
 空港まで見送ると言う日登美を「ここでもういいから」と振り払うようにして、伯母は急ぎ足で喫茶店を出て行った。
 伯母の口紅のついたティカップをぼんやりと見つめながら、日登美は虚脱したように座っていた。すぐに立ち上がることができなかった。
 わたしは父の本当の娘ではなかった……。
 伯母がいなくなってみると、その事実の重さがあらためて日登美を打ちのめした。
 それなのに、この二十六年もの間、父はそんなことはおくびにも出さず、実の娘として、いや、実の娘以上の愛情を注いでわたしを育ててくれた。自分の半生を犠牲にして……。
 そう思うと、わけもなく涙があふれてきて両頬《りようほお》を濡《ぬ》らした。空のカップを片付けにきたウエイトレスは、声もたてずに静かに泣き続ける若い女客を不思議そうな目付きで眺めていた。
 
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%