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蛇神2-6-3

时间: 2019-03-24    进入日语论坛
核心提示:    3 あれは、昭和五十二年の正月が明けたばかりのことだった。 新庄家に婿入りしてからは、盆や正月でも、めったに実家
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 あれは、昭和五十二年の正月が明けたばかりのことだった。
 新庄家に婿入りしてからは、盆や正月でも、めったに実家には姿を見せなくなっていた貴明が、何の連絡もなく突然帰ってきた。一冊の雑誌をたずさえて。
 たまたま目にした雑誌に、二十六年前に失踪《しつそう》した緋佐子によく似た若い女の写真が載っていたというのだ。
 名前と年齢から考えて、赤ん坊のころ、母親と共に姿を消した緋佐子の娘の日登美ではないかと貴明は言った。
 父の琢磨と相談し、聖二はすぐに上京すると、新宿の探偵社に出向いて、「くらはし」という蕎麦屋のことを調べさせた。
 その調査報告から、緋佐子が既に亡くなっていたことを知った。さらに、日登美が結婚していて、二人の子供の母親になっていることも、そのうち一人が女の子であることも……。
 聖二は一見《いちげん》の客を装って、「くらはし」に行ってみた。そこには、若|女将《おかみ》として生き生きと立ち働く日登美の姿があった。
 そんな妹の姿を目のあたりにしたとき、聖二は、ふいにある感情に支配された。それは、赤ん坊の頃に生き別れた実妹に会えた嬉《うれ》しさ懐かしさなどというものとは全く異質の感情だった。自分でも理由の分からない怒りの感情に襲われたのだ。
 若日女として一生を大神に捧《ささ》げるはずだった女が、蕎麦職人|風情《ふぜい》の妻になって、二人の子供までもうけ、こんなちっぽけで平凡な生活に満足して生きている。
 そう思った瞬間、聖二は身体が震えるほどの怒りに襲われたのである。
 この女を日女として村に取り戻そう。
 そのためなら何をしてもかまわない……。
 聖二はこのときそう決心して店を出た。
 姉の耀子が子宮ガンにおかされていることがわかり、たとえ、手術をして助かったとしても、もはや日女としての役目はできなくなる恐れがあるという話を父から聞かされたばかりでもあった。
 妹の瑞帆はまだ日女としては幼すぎる。もう二、三年は待たなければならない。
 その年の大神祭で耀子に代わって神迎えの神事をつとめる新しい日女が必要だった。
 そんなときに、これまで行方《ゆくえ》が知れなかった妹の消息がわかったというのも、大神の導きによるものだと聖二は思った。
 だから、たとえ犯罪とよばれる手段を使ってでも、日登美とその娘を村に取り戻そうと決心したのだ。
 しかし、そんな暗い決意をかためさせた心理の奥底には、妹がしがみついているちっぽけな人間の幸せとやらを完膚《かんぷ》無きまでにぶち壊してやりたいという、得体の知れない残酷な衝動があったことを、聖二自身は気が付いてはいなかったが……。
 そして、その怒りの感情が、昔、妹だけを連れて村から逃げた母への彼の歪《ゆが》んだ思慕が起因となっていたということも……。
 むろん、日登美に村の窮状を訴えたところで、彼女が家族を捨てておいそれと村に戻ってくるとは到底思えなかった。
 それに、たとえ知らなかったにせよ、神の女、日女を妻にした男たちには死の制裁を与えなければならなかった。
 それが古くから絶えることなく続いてきた村の掟《おきて》だったからだ。
 そう……。
 日美香の言う通り、あの二十年前の事件は、衝動殺人にみせかけた計画殺人だった。
 聖二のたてた計画に直接かかわっていたのは、当時の宮司だった父琢磨と、兄の貴明、さらに太田村長の三人だった。
 日の本寺の住職は、直接かかわりはしなかったが、この計画のことを前|以《もつ》て知っていた一人ではある。
 いわゆる「鉄砲玉」に、十八歳になったばかりの矢部稔を使おうと言い出したのは、矢部の伯父である太田村長だった。
 その見返りというか交換条件に、太田は、聖二と娘の美奈代との縁談をほのめかしてきた。
 聖二はその条件をのんだ。
 太田美奈代には恋愛感情はもちろん、何の関心ももっていなかったが、後ろ暗い犯罪計画の共犯者である村長一家と姻戚《いんせき》関係になっておくことは、外部に対してより強い結束をかためるために必要なことだと判断したからである。
 計画は順調に進んだ。まず、貴明が「くらはし」の常連になり、頃合いを見計らって、矢部を雇い入れるように倉橋秀男にすすめた。この頃には、既に矢部とその母親は日の本村を出て群馬に移り住み、戸籍も移しておいた。
 むろん、こうしたのは、矢部を雇い入れるとき、その出身地が長野県の日の本村であることが分かれば、何も知らない秀男と日登美はともかく、倉橋徹三に疑念を抱かれる恐れがあったからである。
 それに、事件の背景に日の本村があることを隠蔽《いんぺい》する目的もあった。
 すべては聖二の計画通りに進んだが、ひとつだけ誤算があったとしたら、それは、日登美の幼い長男の命まで奪ってしまったことだった。これは最初の計画にはなかったものだ。矢部に命じておいたのは、倉橋徹三と秀雄の殺害だけだった。
 そのために、矢部に科せられた刑期が、若干見積もっておいたものよりは延長されてしまったが、それも大きな計画の狂いというほどではなかった。
 結局、矢部は、模範囚ということで、定められた刑期よりは二年ほど早く出所できたのだから、結果的には、ほぼ計画通りといってもよかった。
 そして、事件のほとぼりが冷めかけた頃、聖二は日登美の前に姿を現した。案の定、日登美は春菜を連れて生まれ故郷の村に帰ってくることを承知した。
 何も知らないままに……。
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