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蛇神5-6-9

时间: 2019-03-27    进入日语论坛
核心提示:     9「僕があなたに預けた例の報告書と写真、まだ聖二兄さんには見せてないんでしょう?」 郁馬はせせら笑いながら言っ
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「僕があなたに預けた例の報告書と写真、まだ聖二兄さんには見せてないんでしょう?」
 郁馬はせせら笑いながら言った。
「……」
「というか、見せるつもりなんかはじめからなかったのかな。まあ、安心してください。あなたの双子の妹のことは、今のところ、兄さんの耳には入っていません。あの情報をもってきた弟の口も封じておきましたから、奴から漏れることもない。僕さえ黙っていればね。でも、このままだと、それも今夜限りってことになりそうだな」
「……脅しているつもり?」
 日美香は目の前の男を睨《にら》みつけた。
「そんな怖い顔しないでくださいよ。せっかくの美人が台なしだ。いや、怒った顔も悪くないけどな。でも、脅すというのは人聞きが悪いなぁ。どうせなら、取引と言って欲しいですね」
「……取引?」
「そうです。妹さんのことを兄には知られたくないんでしょう? もし、僕の言うことを聞いてくれたら、こちらもあなたの言うことは何でも聞きますよ。妹さんのことを兄にしゃべるなというならその通りにします。永遠に誰にもしゃべりません。他からも漏れないように僕の所で必ずガードします」
「……」
「あなたが——」
 日美香が無言のまま睨みつけていると、郁馬はなおも言った。
「なぜ、照屋火呂のことを兄に隠したがっているのか、僕には分かってますよ。本当の理由がね」
「……」
「妹の平凡でささやかな人生を守ってやりたいなんて、ウソ臭い奇麗事ではない本当の理由。要するに、あなたは妹の人生を守りたいんじゃなくて、自分の人生を守りたいだけなんだろ? もし、彼女のことが知れれば、あの兄が手をこまねいているはずがない。養女か何かにして、この村に連れてくるに決まっている。そうなれば、今まであなたがここで独り占めしていた地位も兄の愛情も何もかも、半分は妹のものになっちまう。そうなるのが嫌なんだろ? 怖いんだろ? 全部、自分のものにしておきたいんだろ?」
 郁馬の口調が急に下卑《げび》たものに変わった。
「正直にそう言えよ。妹の幸せなんて、そんな奇麗事並べずにさ。誰だって自分が可愛いんだ。自分が一番なのさ。僕だってそうだよ。あなたの気持ちは痛いほど分かる。だから、条件次第では協力するって言ってるのさ。それに、あなたの心配は当たってるよ。けっして取り越し苦労じゃない。もし、照屋火呂のことが兄に知れれば、おそらく、兄の関心と愛情はたちまちあっちの方に移ってしまうだろうな。半分どころか、ひょっとしたら丸ごと全部。そうなったら、あなたには何も残らないよ」
「どういうこと?」
「ねえ、もしかして、あなたは兄に愛されていると思ってる? 一人の人間として尊重され愛されていると?」
「……思っているわ」
「それが大いなる勘違いなんだよ」
 郁馬はあざ笑うように言った。
「確かに、『今』、兄はあなたを愛している。この家で一番、いや、世界中で一番かもしれない。実の娘以上に愛し大切にしている。兄自身、そのことを隠そうともしないし、それはまぎれもない事実だろうさ。だけど、違うんだよ。違うんだ。一人の人間として愛してるわけじゃないんだ。兄が愛してるのは、あくまでも人形としてなんだよ」
「……人形?」
「そう。人形だよ。奇麗でめったに手に入らない珍しい人形。兄にとって、あなたはまさにそういう人形、おもちゃのような存在なんだよ。だから、こんなに大切にされてるんだ。あなただけじゃない。兄にとっては、目に見えるものすべてが人形、おもちゃなんだ。いつだったか、母——耀子姉さんのことだよ——が言っていた。聖二さんは小さい頃、人形とかおもちゃとか使って一人遊びをするのが好きだったって。たとえば、兵隊のミニチュアを使って戦争ごっことかさ。大人になっても、それをやめない、まだ続けているって。ただ、大人になってからは、人形の代わりに、生身の人間を使って遊ぶようになっただけだって」
「……」
「あの人はそういう人なんだ。回りの人間を自分と同等だなんてはなから見ていない。退屈しのぎにもてあそぶ人形くらいにしか見てないんだよ。貴明兄さんだって、あの人にとっては、人形の一つなんだ。政権取りという今夢中になっているゲームに必要な……。
 でも、どんなに大切にされても、所詮《しよせん》人形は人形なんだ。飽きればアッサリ捨てられるし、汚れれば新しいものと代えられてしまう。世界にたった一つしかないような珍しい人形でも、もし、同じものが見つかれば、新しい方へ気が向いてしまう。古い方の人形はそのまま打ち捨てられてしまうんだ……」
 違う。
 日美香は思わずそう言いそうになった。
 勘違いをしているのは郁馬の方だ。何か大きく誤解している。被害妄想もいいところだ。 聖二は、緋佐子が作ったという襤褸《ぼろ》人形を今も捨てずにもっている。手垢《てあか》で真っ黒に汚れ、布が破れ、中の綿がはみ出しているような汚い古い人形を、ほかの人ならとっくに捨ててしまっているような、母が作ってくれたという以外に何の価値もない襤褸人形を今も大事に持ち続けている……。
「……僕だってそういう人形の一つだ。今まで弟たちの中では、一番可愛がられて目をかけられてきた。弟というより息子のように信頼されて、跡継ぎはおまえだって言われてもきた。こっちもすっかりその気になっていた。だけど、どうだ。武にお印が出たと分かったとたん、兄の関心は全部武に移ってしまった。今では、武を養子にして、自分の後継者にしたいと思っているんだ。僕のことなんか完全に忘れてるんだよ。そういう人なんだ。そういう冷たい人なんだよ、あの人は。普通の人間の気持ちなんて理解できないんだ。でも、それはしょうがない。だって、あの人は人間じゃないんだからな……」
「人間じゃない……?」
「そうだよ。あの人は人間じゃない。人間の姿をしているけれど、本当は人間じゃない。蛇なんだ」
 郁馬はそう言って、突然、日美香にむかって、
「あなたは転生という言葉を知っている?」と聞いた。
 日美香がどう答えようかと迷っていると、郁馬は答えを待たずに言った。
「家伝書を読めば、いずれ出てくる言葉だけど……。兄はこの転生者なんだよ」
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