日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 作品合集 » 正文

蛇神5-6-13

时间: 2019-03-27    进入日语论坛
核心提示:     13 その頃、新庄武は、神家の広大な敷地の北端を占める物置小屋の中に潜んでいた。 自分が割った薪《まき》の山に囲
(单词翻译:双击或拖选)
      13
 
 その頃、新庄武は、神家の広大な敷地の北端を占める物置小屋の中に潜んでいた。
 自分が割った薪《まき》の山に囲まれ、積み上げられた藁《わら》の上に仰向きで寝そべり、太い梁《はり》をめぐらせた高い天井を見上げているその両目からは、拭《ぬぐ》っても拭っても、いっこうに止まらない涙がこぼれ落ちていた。
 なんでこんなに後から後から、涙が滝のようにあふれ出てくるのか分からない。
 信頼していた叔父に裏切られたという悔しさからなのか、好きになりかけていた女が異母姉《あね》だと知ってしまった悲しさからなのか、それとも、最後までやり通そうと思っていた大役を途中で放棄して、宿なしの野良猫みたいに人目を避けてこんな所に隠れている自分が情けないのか……。
 理由も分からないままに、小さな子供のように声を殺して泣きじゃくり続けていた。
 それでも、やがて、身体中の水分が全て涙となって流れ尽くしてしまったのではないかと思われるほどの時が過ぎた頃、武はようやく泣き止んだ。
 時計がないので、どのくらいの時間がたったのかはさっぱり分からなかった。
 ここで落ち合って、身に着けていた蛇面と蓑笠を渡したあと、郁馬は、事が終わったら、もう一度ここに戻ってくると言った。
 あれから少なくとも一時間以上は軽く過ぎているような気がした。
 ということは……。
 日美香には、二人がこっそり交替したことがばれなかったということか。
 もし、交替がばれてしまったら、機織り小屋を叩《たた》き出されて、郁馬はもっと早くここに戻ってくるだろう。
 それがまだ戻ってこないということは、何も露見せずに、順調に事が進んでいるということの証《あか》しなのか。
 それを喜ぶべきか悲しむべきか。
 複雑な心境だった。
 心のどこかで、自分たちの企みがすぐにばれて、郁馬が何もせずに叩き出されてくればいいと願う気持ちもあった。
 でも、郁馬は戻らず、刻一刻と時だけが無情に過ぎていく。それを、ここでじっと隠れて待っているのは、見えない時計の秒針で身体を切り刻まれるような痛みを伴っていた。
 こんな思いをするくらいなら、あんなことを郁馬に頼むんじゃなかった。家々を回ったあと、機織り小屋には戻らず、役を放棄することもできたはずだ。
 郁馬にあんなことを頼んだのは、叔父とぐるになって自分には何も知らせずに事を進めようとした日美香への軽い復讐《ふくしゆう》心からだった。人を子供扱いして手玉に取ったつもりかもしれないが、そう簡単には操られないぞ。神事の相手が蛇面を脱いだとき、俺じゃなかったことを知って驚くなよ……とでもいうような。
 でも、そんな復讐心から出た企みも、結局、それは鏡に反射するようにすべて我が身にはねかえってきて、自分自身が苦しむものでしかなかった。
 明日……。
 もはや涙も涸《か》れ果てた乾いた虚《うつ》ろな目で天井を見上げながら、次第に身体の奥底からこみあげてきた怒りの感情に身をまかせながら、武は心に誓った。
 この村を出よう。
 朝一番のバスで。
 叔父が止めようが誰が止めようが、それを振り切って。
 東京の家に比べるとずっと居心地が良かった。ようやく自分の居場所を見つけたと思っていた。祭りが終わったあとも、ここに居るつもりだった。少なくとも、来年の正月が過ぎるまで。
 でも、もうそんな気はなくなった。
 それに……。
 この村はなんだかおかしい。何かが狂っている。居心地は良いが、その居心地の良さには、何か恐ろしいものが潜んでいる。
 そんな気がしてならない。
 叔父にしても……。
 東京にいる頃は叔父が好きだった。たまにしか会えなかったが、会うのをいつも楽しみにしていた。でも、ここに来て、今まで知らなかった叔父の素顔というか裏の顔を見てしまったような気がする。
 あの顔はなんだか好きになれない……。
 ここは出た方がいい。
 よくわからないが、とにかく早く出た方がいい。
 武の中でそんな警戒警報のようなものが鳴りはじめていた。
 明日、東京に帰ろう。
 そして、もう二度とここには来ない。
 そう決心すると、ようやく、藁床から起き上がる気力が沸いてきた。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%