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輪(RINKAI)廻14

时间: 2019-11-21    进入日语论坛
核心提示:     * 時は江戸の初期、慶長十七年(一六一二)に遡る。下総国《しもうさのくに》豊田郡羽生村の百姓|与右衛門《よえも
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 時は江戸の初期、慶長十七年(一六一二)に遡る。下総国《しもうさのくに》豊田郡羽生村の百姓|与右衛門《よえもん》は、添って間もない妻に先立たれた。与右衛門には鬼怒川沿いに田畑が七石。肥沃な土地で作柄もよい。やもめ暮らしは何かと不自由、親戚筋の勧めもあり、やがて与右衛門は後添えを迎えた。相手の名は杉、同じくつれあいと死に別れた身の上の女だった。二人の相性は悪くなかった。夫婦として暮らすうち、男女の情も自然と通い合うようになった。ただ杉には、前夫との間に女の子がいた。名前は助。この子は生まれつき脚が不自由なうえ、とりわけ顔が醜かった。もともとが潰れた猿のような黒くて扁平な顔をしているうえ、顔中ひどい痘痕《あばた》がある。与右衛門は、どうしてもこの子のことが好きになれなかった。
日に日に与右衛門の助への厭悪は募るばかり、我慢しようと思えば思うほど、癇に障ってならなくなり、ついつい手を上げ足蹴にする。終いには杉にまで腹が立ち、当たり散らさずにはいられない。この子さえいなければ……心の中で与右衛門は、いつしかそんなことを思うようになっていた。
口に出して言わなくても、与右衛門の思いは杉にも伝わる。このままでは助を嫌うあまり、杉と別れるとも言いだしかねない。杉は不安にうち震えた。杉にしてみれば、与右衛門との暮らしはようやく掴んだ幸せ。むろん豊かな作物に恵まれた安定した暮らしも失いたくはないが、何より与右衛門を失いたくない。夫婦として肌を重ねるうち、杉の中では狂おしいまでに、与右衛門への情が募っていた。助がいるばかりに、それが損なわれようとしている。この子さえいなければ……杉もまた、与右衛門と同じことを思うようになっていた。
やがて杉は肚を決めた。助がいては、この先与右衛門と夫婦ではいられぬ。ならばこの子を殺すより法がない。
杉は助を鬼怒川へと連れて出た。母親のからだから湧き立つただならぬ気配を感じてか、みちみち助はほとんど口を利こうとしなかった。いよいよ川べりまでやってくると、杉は鎌を取り出し、半ば目をつぶるような勢いで一気に助の咽喉首を掻っ切った。血が潮の如く噴き上がり、杉の顔に降りかかる。杉は肌に助の血の温かみを感じながらも、まだ息のある助を川の中へと投げ捨てた。
助が消え、再び夫婦に蜜月が訪れた。一年後には子も生まれた。女の子。しかし二人は生まれた子供を見て色を失くした。脚は悪くない。とはいえ扁平な顔も肌色の黒さも落ち窪んだ眼も、助を彷彿とさせずにはおかない。しかもその子は四歳の折、疱瘡にかかって顔が崩れた。そうなってみればまさにありし日の助そのもの、生まれ変わりとしか思えなかった。夫婦はその子に累と名づけた。累と書いて「るい」。しかし、もはやその子を「るい」と呼ぶ者はいなかった。疱瘡のかさを掛けて「かさね」、いわば「醜女」の代名詞。杉は助の無念と怨念を、今さらのように思い知った。与右衛門も、助が紛れもないわが子として甦ってきたことに戦《おのの》き脅えた。とまれ二人は過去の罪業の恐るべき報いを身に受けて、累を大事に育てていくよりほかなかった。
だが、それで助の怨念はおさまらなかった。累が十八の年、与右衛門と杉は相次いで流行り病に斃《たお》れて命を落とした。結果、累には醜いわが身と七石の田畑だけが遺された。いかに肥えた土地とはいえ、十八の娘一人で田畑を維持していくことはかなわない。とはいえ、婿を取るにも村の男で累と添おうと思い切れるだけの人間はいなかった。その容貌の醜さもさることながら、助に瓜二つという因縁が恐ろしい。
そこに旅の六部《ろくぶ》がやってきた。ただし真の法華《ほつけ》の行者ではない。どこかの土地で喰いつめて、あちこちの土地を渡り歩きながら家々の戸を叩き、米や銭を乞うて世過ぎをしている流れ者だ。この先喰っていくあてのない六部ならと、縁者が婿入り話を持ちかけた。渡り歩きに疲れていた六部は、七石の田畑に釣られて話に乗り、婿となって義父与右衛門の名前を継いだ。
旅の垢を落としてみると、与右衛門は女泣かせのなかなかの美男だった。もともと遊びを心得た男で、それがゆえに身を持ち崩した。じき与右衛門の性は表に出て、よその女の許へと通い始めた。与右衛門に心底のぼせ上がっていた累は夫の色事が堪忍ならず、焼き餅を焼いては与右衛門のことを責め立てた。次第次第に与右衛門は、累の醜怪さと嫉妬深さが、どうにも疎ましくてならなくなった。とはいえ七石の豊かな田畑は命綱、これを手放す訳にはいかない。累さえ消えてくれたら……この女ならと思い定める相手ができた時、与右衛門は肚を括った。累を連れ出し鬼怒川べりで首を絞め、川に死体を投げ捨てた。与右衛門は知る由もなかったが、奇しくもそこは杉が助を殺した場所、かつて杉が犯した罪業を、与右衛門はそっくりなぞっていた。
鬼怒川に捨てられた累の遺体は淵に上がった。からだは水にふやけて倍にも膨らみ、目玉は魚に喰われて洞《ほら》となっていた。崩れる肉、藻の如く揺らぐ長い黒髪、漂う腐臭、澱んだ淵の深さ……いつしかそこは「累ヶ淵」と呼ばれるようになり、誰一人足を近づける者はいなくなった。
与右衛門は、早速新しい妻を娶《めと》った。だが、たちまちのうちに女は病に斃れて命を落とした。その次の妻も次の次の妻も同じだった。これも累の怨念か……しかし六人目の妻だけは病を逃れ、やがて女の子を産み落とした。菊、幸いにしてこの子は与右衛門に面差しのよく似た、見目麗しい女の子だった。
菊は十四にしてはや匂うような娘盛りとなり、与右衛門は菊に婿をとった。その直後、眠りを貪っていた累の死霊が目を覚まし、いきなり菊にとり憑いた。累は菊の口を借り、過去の与右衛門の罪業を口を極めて罵り散らす。愛しいわが子に自らの悪行をあげつらわれ、与右衛門は気も狂わんばかりに懊悩した。おまけに死霊にとり憑かれた菊は、形相までもが醜いものに変わってしまっている。このままでは、菊もいずれとり殺されてしまう……。
近隣の村に修行僧祐天がやってきていると聞き及んだ与右衛門は、祐天に一切の事情を話して救いを求めた。祐天は法力によって菊に「南無阿弥陀仏」の六字を唱えさせ、何とか累の死霊を駆り出し調伏《ちようぶく》した。かくして三代に及ぶ因縁の糸は断たれた。累は解脱を果たし、助の霊は成仏した。菊ももとの美しい娘に戻った。
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