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歌月十夜120

时间: 2019-11-28    进入日语论坛
核心提示:*s149 ラーメンがいい。琥珀さんは中華も作ってくれるけど、あの人の中華料理は上品でいけない。育ちざかりの学生には脂が浮い
(单词翻译:双击或拖选)
*s149
 
 ……ラーメンがいい。
琥珀さんは中華も作ってくれるけど、あの人の中華料理は上品でいけない。
育ちざかりの学生には脂が浮いた豚骨スープとか、これでもかっていうぐらいニンニクをいれた醤油ラーメンが必要なのだ。
 
□公園前の街路
ラーメンを食べる時はラーメンしかない店を選ぶ。
餃子や炒飯があると心が揺れるので、ここはビシッと男らしく屋台を選んだ。
 
「そういうワケで、今日は趣向を変えてこんなトッピングをしてみたわけだが」
「うわ、趣味わる! なんだそのひまわりみたいなラーメンは!」
「お、うまいコト言うね遠野。……うーむ、チャーシューのかわりにタマゴを八つほどのっけてみたんだが、これがなんともタマゴの味しかしねえなあ」
有彦のどんぶりは、黄色い大輪の花が咲いたようなラーメンだった。
麺を覆い尽くすほどのタマゴタマゴタマゴタマゴ。シャレでやったのかと思いきや、本人は美味そうに食べていた。……時折、この男の趣味が本当に解らなくなる。
「んでどうしたんよ今日は。マーク㈼でメシ食おうだなんて、おまえが有間んところにいた以来じゃんか」
「別に他意はないよ。久しぶりにここのラーメンが食いたくなっただけだ」
ぼちゃん、と音をたててどんぶりにチャーシューが落ちてきた。
「あれ? 俺焼き豚頼んでないですよ」
「……………」
店主であり違法改造バイク夢五萬のライダーである高田くんのお兄さんは、菜ばしを“サービス”という形に動かした。
「あ、きったねー! 遠野だけ贔屓だ贔屓—!」
「……………………」
“君はまた今度”、と菜ばしを動かす店主。
———ここは機動屋台、中華反転マーク㈼。
ムリムリにチューンナップした軽のバイクで北へ南へラーメンを運ぶ神出鬼没のラーメン屋さんだ。
その正体はクラスメイトである高田陽一くんのお兄さんが趣味でやっている道楽である。もちろん道楽なので、お兄さんは調理免許など持っていない。
「ちぇっ、サービスは一日一度だけだもんなあ。いいよ、今日は遠野に譲ってやらあ」
何個目かのタマゴを口に放る有彦。あんなにタマゴを食べて腹を壊さないんだろうか、こいつは。
「んで話を戻すけどよ、なんだって今日は外食なんよ。うちにいられなくなるドジでも踏んだか?」
「うーん、うちの場合そういうドジを踏んだら命に関わるね。……まあ、本当に他意はないんだよ。なんとなく有彦とメシ食いたくなっただけ。
で、そういうおまえはどうなんだよ。イチゴさん帰ってきてるんだろ。夕飯時に出てきていいのか」
「あー、まあちょっとな。いま乾家は何かと込み入ってるんだわ。一人でいるとキレちまいそうだから、遠野からの電話は渡りに船だった」
有彦の言い分は歯切れが悪い。
「……ふーん。なんだ、また女関係でもめてるのか?」
「ばか、そんなんじゃねえ———って、あー、そういえなくもないか。アレゃあ女っていうより雌って感じなんだが、いっちょまえに反論だけは的確で困ってる」
むむ、と眉を寄せてタマゴを食べる有彦。
「へえ、おまえが女の子相手に困ってるなんてすごいな。女は何やっても可愛いっていうの、持論じゃなかったっけ?」
「ばか、そりゃあ自分が惚れた女は、ってコト。でもまあ、たいていの女の人は好きですよ、オレは」
 さらにタマゴを食べる有彦。
……食べても食べても麺が見えないあたり、本当に入っているタマゴは八個だけなのだろうか?
「ふーん。それじゃいま有彦くんを悩ませている女の子は好きな部類じゃないってコトですか」
「……それがなあ。なんとも複雑怪奇でね、あんまり相手にしたくない。遠野は幽霊とかお化けとか、そういった話を信じる方か?」
……む。その手の質問は難しい。
そっちの世界にどっぷり浸かっている遠野志貴の場合、真面目に答えると嘘だと思われるし、嘘を言うと真面目だと思われるからだ。
「………そうだな、ミステリーは悪くないと思う。ほら、神秘と浪漫は同意語だろ?」
「浪漫! すげえな遠野、あのばか馬を浪漫ときたか!」
ツボにはまったのか、有彦はゲラゲラと笑う。
「馬……? なに、今度の子ってポニーテールなのか? 最近ポニーの子って見ないけど、俺はわりと好きだなぁ、あの髪型」
「んー、俺はストレートのが好きだね。……っと、髪は短いぞアイツ。けど確かに尻尾はついてたな。こう、ひょこひょこ動くんだ」
「へえ。ネコみたいで可愛いじゃないか、それ」
「そりゃあ、動物ってのは見てる分には可愛いさ」
さらにタマゴを食べる有彦。
……顔をしかめているあたり、そろそろ黄身の味に飽きてきたようだ。
「けどまあ贅沢な悩みかね。オレんところは遠野ほど百鬼夜行じゃないから気楽なもんだ」
「……む。百鬼夜行とはまた言い得て妙な表現を。なかなかの落語ですな、乾亭」
「ひひひ、そうだろそうだろ。んじゃざぶとんはいいからチャーシュー一枚くれ、チャーシャー」
しゅっ、と疾風の速度で人のどんぶりに侵入してくる有彦の箸。
それを迅雷の速度で弾き返して、有彦のどんぶりからタマゴを一つ頂戴した。
 
「———なあ有彦。一つ、おかしな事を言うんだけど」
こっちが二つ目、有彦が三つ目の替え玉を注文した頃、なんとなくいつもの質問をする気になった。
「昨日見た夢がさ、なんだか今日の出来事みたいな気がするって言ったら信じるか?」
「—————」
む、と目を細める有彦。こいつの凄い所は一秒前まで馬鹿話をしていても本気と冗談を読み取れるという所だ。
「信じるも何も、オレは遠野じゃないから答えられない。……まあ、デジャヴュとかそういった物ならたまに見るけど」
「……うーん、俺も始めはそう思ったんだけど、どうもデジャヴュとは違うんだ。アレは夢で見た出来事を現実に迎えた瞬間に、ああこれって夢で見たな、と思うコトだろ?」
「そうだな。既に知っている感覚、つまり既知感だ」
「それが俺の場合は違うというか。昨日見た夢が今日起こる、んじゃなくて、今日の出来事が昨日の夢になるっていうか……」
「———? なんだそりゃ、矛盾してねえかその言い方」
「してる。だからよく解らないんだ。それもさ、こう思うのは決まって夜なんだ。朝になるとどうでもよくなるっていうか、昨日の夢を忘れているっていうか」
「……へえ。またおかしな夢を見てるなおまえも。オレはアレだね、最近は昔のコトばっかり夢に見るぜ」
ずずー、とどんぶりをあおる有彦。
「昔のこと……?」
「おう。オレはあんまり思い出したくなんだけどな、夢に見るもんはしょうがねえ。ガキん頃はしょっちゅうおまえと殴り合ってたコトとか、ひとんちの屋根に登ってつまんねー話をしたコトとか。
まあ、次から次へとあるわあるわトラウマってヤツは」
「トラウマ? それって悪い夢なのか?」
……悪い夢。考えた事もなかったけど、今の自分が見ている昨日の夢、というのも悪い夢と言えるのかもしれない。
「んー、トラウマっていうか死んじまう事への恐怖っていうかなー。オレは同い年のヤツラよりその覚悟だけは別格だと思ってたんだ。だからまあ、人より何かを理解してるつもりだったわけ。
そんな時に自分以上に壊れてるヤツとクラスが一緒になっちまってさー、まあ色々衝突したワケですよ。それでまあ、オレは人間ってのは簡単に死しんじまうんだ、と覚悟していたなんていうのは嘘っぱちで、本当は一生懸命になって否定していただけだったんだな、と気が付いたわけだ。
……まあ、そういった一から十まで青臭い出来事を夢で見る。不出来な思い出だから見たくねえんだが、まあ、アレはアレでいいものかもしれない」
「……そうか。こっちも関係ない話になるけどさ、有彦と同じクラスになったヤツ? そいつもさ、おまえと同じような事考えてるよ、きっと」
「へへー、そいつは良かった。将来有望なヤツだからな、恩を売っとけば役に立つ」
ひひひ、といつもの笑みをこぼす有彦。
————ああ、確かに恩にきている。
このクラスメイトがいなかったら、遠野志貴はかけがえのない幼年期を無駄にしていた筈だ。
一人で悟ったつもりになって、外界と断絶するコトで必死に自己を守ろうとして。
人生で一番輝いている、おそらくは無条件で笑顔を許される唯一の時間を、子供の浅知恵で棒に振ろうとしていたんだから。
「じゃ、オレからも一つ訊くけどな。遠野。おまえ、以前オレが聞いた質問の答えは今でも変わらないか?」
「———————」
有彦の目はいつも通りで、ただその口調だけがひどく優しかった。
……そんな声で問われたのはいつの頃だったろう。
お互いがまだ小学生で、互いを目障りだと感じていた最後の日か。
「うーん、どうも変わってないみたいだ。そういう有彦はどうなんだ?」
「あー、実はオレも変わってない」
「なんだ。お互い進歩がないな」
「はっ、腐れ縁もここまでくるとドロドロだな。ここまできちまうと、手を切るには殺すしかなくなってそうだ」
「なに言ってるんだ。殺しちまったらそれこそ一生手が切れないぞ」
「—————————」
有彦はぽかん、と口を開けたあと。
「違いない。おまえのそういうトコ、おっそろしいよなあ」
心底おかしそうに笑い声をあげた。
 
「……ひぃ、はあ、いやー笑った。こんなに笑ったのは今日の昼以来だ」
「……すごいセリフだな。安っぽいにもほどがある」
「だろ? あんまり重苦しいのもなんだからな」
ひひひ、という笑い声。
それがこの男なりの照れ隠しだと分かっているけど、まあ、それは一生黙っていよう。
「ま、難しいこと考えんなよ。人生なるようにしかならねえんだから」
「なんだ。最後にはたいそうシャレた言い回しをするだろうなって期待したのに、オチは十人並みなんだ」
「お、それじゃ言いなおそうか。そうだな、人間なんて所詮このラーメンと同じなのさ」
「へえ、その心は?」
「熱いと美味い。冷めるとゴミだ」
「……おい。どこもオチてないぞ、それ」
「オチないてねえよ、こりゃあ当たり前のコトだからな。どうあがいても最後には冷たくなるんだから、熱いうちに平らげちまわねえといけないワケ。
ほら、生き物なんてみんなそんなモンだろう?」
 
□志貴の部屋
「……ふわあ、食った食った」
結局有彦に付き合って四杯も食べてしまった。
時間もじき零時。
四時間近くバカ話をしていたもんだから、今夜は夢を見る体力さえ残っていないだろう。

ばふっ、とベッドに倒れこむ。
「———————ん」
意識がしぼんでいくような感覚。
急速に闇へと転がり落ちていく直前。
……その、俺たちの話がうけたらしく、高田くんのお兄さんが半分以上ツケにしてくれてラッキー、なんて安っぽいコトを思っていた。
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